藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

技術のもたらす未来。

産経より。
*[ウェブ進化論]5Gの先に
5G時代の通信の凄さについて。
事実上「通信の遅延ゼロ」の時代がくる。
「一平方キロあたり百万台のセンサー接続」も現実になる。 
これまで3G、4Gとそれぞれ衝撃的な技術革新だったが、さらに進む。
 
通信速度が100倍。
さらにこうした変化が十年ごとに起こるらしい。
「自動運転」「(ゴーグルの要らない)ホログラム通信」「空飛ぶタクシー」「触感も伝わる仮想旅行」「ロボット作業員」。

通信が一世代進むということが、一気に技術を加速させる。

さらに十年後には何が起こるのだろうか。
 
6Gとか7Gの世界に、自分たちができていることはなんだろうかと考えると心が弾む。
本当の技術革新は、いよいよこれからなのではないかとさえ思う。
さて量子コンピューターは何を実現してくれるだろうか。
 

第6部 5Gの衝撃(1)3000キロ離れた患者に脳手術 経済効果1300兆円。5Gは国家の競争力となる

2019.7.3
 次世代の移動通信インフラ、いわゆる5Gによる新時代の幕が上がる。「超高速大容量」「超低遅延」「多数同時接続」という5Gの特長は、私たちの生活や産業構造を一変させるインパクトを持つ。
 中国・北京。まだ寒さの残る3月、人民解放軍総合病院で、パーキンソン病を患う男性(68)の脳に刺激電極を埋め込む手術が行われた。
 「電極をもう少しだけ右へ」。3時間におよぶ手術を担当した執刀医は、北京から3千キロ以上離れた海南島海南省)の同病院の分院にいた。患者を映す画像やデータをにらみながら手術機器を遠隔操作し、執刀したのだ。
 中国初となる5Gを活用した遠隔手術。全面協力したのは、通信事業者の中国移動(チャイナ・モバイル)と、通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)だった。手術は大豆より小さい大脳中心部の視床下核を刺激するため、正確な位置に電極を埋め込む高度な技術が必要とされる。
 遠隔手術が成功したのは5Gの特性が生かされた結果に尽きる。人間の毛髪一本一本や細かな皺(しわ)を鮮明に映し出す4Kの高解像度な像を伝送するには4Gの通信速度では遅延が生じ、手術では重大なミスを招きかねない。これに対し、5Gでは遅延が1千分の1秒以下に抑えられ、遠隔地の機器を完全リアルタイムで操作できる。担当医師は「これで離島や僻地(へきち)の患者に(遠隔診断だけでなく)遠隔手術を行うことが可能になった」と中国メディアに述べた。
 「私たちは世界で初めて5Gの商用化に成功した」
 韓国の文在寅ムン・ジェイン)大統領は4月、同国の通信会社が始めた5Gのスマホ向けサービスが米国の通信会社より数時間早かったことにこだわりをみせた。国を挙げて競い合うのは、5Gがもたらす変革が国家の競争力をも左右するからだ。
 2017年に世界の基地局シェアで首位となった華為は中国政府の強力な後押しを受けてきた。これに米政府は危機感を強め、華為排除を各国に呼びかけるなど対抗意識をあらわにする。
 5Gの経済的なインパクトは巨大だ。5Gによって実現するさまざまなサービスや製品の全世界での売上高は35年までに最大で12兆3千億ドル(約1300兆円)に達するという(IHSマークイット試算)。
 5Gは100万台の通信機器を一定条件下で同時接続できる。つまり、あらゆるモノがインターネットにつながる「IoT」の世界を実現させ、過去に存在しなかった全く新しいサービスを生み出すインフラとなる。
 5Gの世界では、人間が一切関与しない究極の自動運転「レベル5」も当たり前となる。オフィスへの移動中も運転はすべてクルマ任せで、食事や仮眠をしているうちに目的地に着く。
 そもそも5G時代にはオフィスで働くという概念自体がなくなるかもしれない。仮想空間技術を開発するNTTドコモの担当者は、未来の働き方について「ホログラム(立体映像)でコミュニケーションがとれる姿」を描く。
 ゴーグルやメガネ型端末などを装着しなくても、声をかければ、自宅のリビングに仮想のオフィス、そして同僚の立体映像が映し出され、あたかも同じ空間にいるように会話ができるようになる。地方にいながら都心で働けたり、家で育児をしながら働けたりするなど、多様な働き方が実現するわけだ。すでにNTTドコモはゴーグルなどを使った仮想空間で分身(アバター)を通じて会議が行える実験に乗り出している。
 5Gは、生活や仕事、医療、移動、娯楽など、これまで想像できなかった新たな社会を提供する可能性を持つ。それは人々の概念すら変えてしまうかもしれない。
 ■5G覇権争いが始まった
 空飛ぶタクシー/触感も伝わる仮想旅行/数百台ロボを無線制御する工場
 1年前の9月下旬。カタールの首都ドーハのリゾート島「ザ・パール」で、1台の無人機が上空にフワリと浮かび上がった。
 運転手が存在しない機体を飛ばせているのは、第5世代(5G)移動通信システムだ。カタールに拠点を置く通信会社、オーレドゥーが世界で初めて5G技術を活用した「空飛ぶタクシー」の実験を成功させた。
 「5Gの本当の力を実演したかった」(同社最高経営責任者)。機体は地上の操縦室から遠隔操作し、成人2人の乗客を乗せて目的地まで移動する-。時速130キロまで速度が出る機体が、安全に飛行するにはセンサーやカメラで気流の変化や障害物を検知し、地上と遅延なく超高速でデータを受送信することが必要だ。5Gがなければ重大事故につながりかねない。
 空飛ぶタクシーは米ライドシェア大手のウーバー・テクノロジーズも米通信大手のAT&Tと組み、開発を進めており、2023年のサービス開始を目指す。オーレドゥーも数年以内の実用化を想定するなど、5Gを活用した空の移動革命は着実に前進している。
 青い空と海が広がる小笠原諸島の父島。海岸にたたずむガイドの女性が、155センチのロボットと握手を交わした。
 「おおー」。感嘆の声を上げたのは、1千キロ離れた東京都内にいる男性。身につけた手袋を通じて、女性の手の感触やぬくもりを確かに感じていた。遠隔地にいるロボットに人の感覚をつなぎ、ロボットの目や指を通じて現地の様子を体験する「テレイグジスタンス」と呼ばれる新技術の実証実験だ。
 男性は手袋だけでなく、ゴーグルやヘッドホン、ベストも装着し、ロボットと視覚や聴覚、上半身の動き、指の感覚を共有。手を振れば、ロボットにも同じ動きをさせることができる。父島で差し出されたヒレをばたつかせるウミガメに触れ、男性は再び驚きの表情をみせた。この技術の根幹も5Gだ。
 父島での実証実験を行ったベンチャー企業のテレイグジスタンス(東京都港区)には、KDDIやJTBなどが出資する。彦坂雄一郎最高執行責任者は「4Gでは酔いを感じるくらいの映像伝達の遅延があるが、5Gになればほぼ影響のないレベルになる」と話す。将来的な宇宙旅行の疑似体験にもつながる技術だ。
 だが、実際には娯楽だけでなく「建設・土木業界で危険作業を置き換えようというニーズが強い」(彦坂氏)。5Gと、ロボと感覚を共有できる環境さえあれば、日本の工場の作業に世界中の作業員が加わることも夢ではない。地球上の昼間の地域の作業員が遠隔操作に加わり、工場を24時間フル操業させることも可能で、これまでの常識では測れない社会が実現する。
 「5Gはいずれ工場の中枢神経系となる」。4月にドイツで開催された世界最大の産業機械見本市「ハノーバーメッセ」。来場者を前に独自動車部品大手ボッシュの幹部はこう強調した。
 同社は5Gを用いた3Dプリンターの無線制御デモを披露。5Gを使えば無線で、数百台のロボットを制御することができる。膨大な数のケーブルが不要になり、受注に合わせ製造ラインを柔軟に変更させ生産性を高めることが可能だ。
 5Gによる製造業の高度化は独自動車大手アウディなども取り組む。第4次産業革命を打ち出すドイツ政府が主導し、産官学の連携体制を整える。日本も「製造立国」と呼ばれるが、工場に5Gを導入する動きは本格化していない。
 移動通信技術の世代交代で、産業の主役は大きく変わってきた。3Gでは携帯電話によるネット接続サービスで日本勢が世界をリードしたが、動画配信や交流サイト(SNS)がスマホ上で展開される4Gの時代になると、「GAFA」と呼ばれる米IT大手4社がプラットフォーマーとして台頭した。
 5Gでもゲームチェンジは確実に起こる。革新的なサービスが誕生し、業界の競争ルールが変われば、既存の序列や企業規模は意味をなさない。5G時代にどんな企業がユーザーの支持を集め、次のGAFAのような存在になるのか。その覇権争いは、すでに始まっている。
【用語解説】第5世代(5G)移動通信システム
 約10年ごとに世代交代してきた無線通信の国際規格で第5世代にあたる。Gは「Generation」(世代)の頭文字。通信速度は現行の4Gの約100倍。通信時間の遅れは1千分の1秒程度とほとんど発生しない。1平方キロ当たり100万台の機器を同時につなぎ、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」の基盤となる。日本では、来春から本格的な商用サービスが始まる。