藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

ネットでも貫くこと

*[ウェブ進化論]モノだけでは足りない。

日経より。

コミュニティマーケッター。
カスタマーサクセス。
ピープルアナリスト。
エバンジェリストにデーターサイエンティスト。
 
耳慣れない職種のネーミングだが一体何をする人か。
実は「新しいサービスとお客」を結ぶ人たちがほとんどだ。
端的に言えばネットの発達で「商品の数とお客の数」が急激に増えたことが原因だと思う。
ネット販売で消費者の様々な動向を分析するサービス。
商品の説明を細かくSNSで発信するサービス。
そして、いろんなソフトウェアを使ってみて評価を集め、開発者にフィードバックするサービス。 
商品の数が増えただけ、消費者とメーカーの間の空気は薄くなってきた。
これまでは「ご町内の商店」でやってきたことを、世界中に広げようという話だ。
つまり「御用達の極意」はあまり時代を経ても変わっていない。
顧客の声を注意深く拾い、
謙虚に受け止めて、
「作る側」に届けること。  
そんな基本的なことをネット世界でもやりきった人たちが支持されるのに違いない。
結局、あんまり原則って変わっていないものなのだと思う。
 
令和、羽ばたく新職種 データ社会で変わる販売・人事
2019年8月2日 4:30

NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞

コミュニティーマーケッターやカスタマーサクセス、ピープルアナリスト――。聞き慣れない言葉かもしれないが、いずれも最近存在感を高めている新たな職種だ。商品を売り切る形から、サブスクリプションなど定額制で顧客とつながるサービスが現在急速に広まっている。新職種はそんな令和の時代を支える担い手たちだ。その仕事ぶりを探ってみた。

会計ソフトのfreee(フリー、東京・品川)に、売上高10倍の法則がある。同じソフトでも売り方の違いで差が出るのだという。好成績に貢献する立役者が「コミュニティーマーケッター」と呼ぶ人たちだ。
この職種は商品やサービスに魅力を感じるファンを見つけるのが仕事だ。その上で対話やイベントを通じてファンの熱量を高め、ファンが周囲に口コミで商品を広める台風の目になってもらう。
「24時間365日、ファンと対話している」と語るのは、フリーの川崎緑コミュニティーマーケティングマネージャー。フリーの会計ソフトを使う会計士のコミュニティー「マジカチ」を仕切る中心的人物だ。
マジカチは地域別に5つの拠点があり、2~3カ月ごとに会計士らが集まり事務所の運営事例を共有している。川崎さんはマジカチの各拠点にいる3人のリーダーと毎日連絡を取り合うほか、マジカチに参加しそうな人のSNS(交流サイト)を日々確認している。

トラブル仲裁も

参加者同士のトラブルが起きれば、泥臭く立ち回る。あるとき、リーダー同士が意見の食い違いで仲たがいした。川崎さんは「リーダーを降りる」と返送されてきたマジカチのTシャツを握りしめ飛行機に乗り、2人を仲裁しに駆けつけた。
マーケッターのきめ細かい働きがファン拡大につながり、マジカチに参加する会計士は今や全国に約300人。フリーの商品を広める伝道師になっている。
「合理性より共感で顧客を動かす、まさに現代の仕事だ」と、企業のマーケティングを支援する小島英揮氏は指摘する。小島氏は米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)の日本立ち上げ期にコミュニティーマーケッターなどを統括していた。
インフルエンサーと違い、コミュニティーの参加者に報酬を支払わないため、サービスに愛着を抱いて周囲を巻き込む人を見つけるのは難しい。だが成功すれば参加者が自ら商品を売ってくれる。AWSのコミュニティーは1万人以上が参加するなど、AWS躍進の原動力になっている。
この職種を置く企業は日本オラクルや人材サービスのビズリーチ(東京・渋谷)など、IT(情報技術)業界を中心に広がっている。あらゆるモノ(X)をサービスとして提供する「XaaS」の台頭が、新職種を重用する背景にある。
サービスを継続利用してもらうにはコミュニティーマーケッターのような販売面だけでなく、顧客サポートの充実も欠かせない。

クラウドサービス大手、米セールスフォース・ドットコムは、「カスタマーサクセス」と呼ぶ職種を日本で設けている。
この仕事は、顧客からの問い合わせを待つカスタマーサポートより能動的な仕事だ。セールスフォースでは契約後にカスタマーサクセスが顧客企業の担当者と会い、ソフトを活用して顧客の事業を伸ばす手助けをしている。

事業に活用提案

日本法人でカスタマーサクセス統括本部に所属する坂内明子サクセスプログラム部長は「短期の売り上げでなく、顧客の最終的な成功が我々の成功に直結する」と強調する。顧客と共に商談成約率などの目標を決め、達成に必要なソフトの活用方法を提案する。
自社ソフトが使われ続けているかを常に確認するのも仕事だ。遠隔でソフトのログイン率やデータ更新頻度などを自動で点数化している。
「一定の点数を下回った顧客をフォローする。解約前に改善点を探る」(坂内部長)。スコアは解約率の低下だけでなくカスタマーサクセス担当の評価につながる。
日本法人の社員約1500人(4月末時点)のうち、カスタマーサポートは数百人いるとされる。販売後の顧客接点の充実が、同社の成長につながっている。
データが価値を生み出すこともXaaSの特徴だ。経験や勘で行っていた業務もデータを駆使する動きが相次いでいる。人事や採用で、データ分析を通じて戦略を練る「ピープルアナリスト」が活躍し始めている。
「現場の言われるがままの人事はしない」。LINEで2人いるピープルアナリストの1人、田中賢太さんは語る。
同社は常時400以上の職種で求人するなど、中途採用が多い。現場からは常に人員増を求めてくる。だが言われるまま採用募集することが解ではない。データを使って最適な戦略を考えるのがピープルアナリストだ。
例えば職種ごとに応募数と内定率の相関関係を調べる。応募数の割に内定者が少ない場合は、募集広告の説明が不十分で、採用のミスマッチがあるのではないかと分析する。
採用時の選考過程ごとの歩留まりや、自社メディアで募集した求人による応募増加数などをモニタリングしている。「採用に関して50以上の項目をデータで示せるようになった」(田中さん)という。

顧客との関係や人事のあり方を変えることに難色を示す企業もあるかもしれない。ただあらゆる業種でビジネスのあり方が変わりつつある令和時代、社内組織もその変化に対応することが企業の成長には欠かせない。
(企業報道部 吉田楓)