藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

命と値段。

*[医療]医療の意味。
日経より。
厚労省は2018年、延命治療にいくらまで公的医療保険から支出すべきかを問う調査を計画。
日本医師会常任理事(当時)の松本純一(67)は「命に値段をつける性格のもので断固反対だ」と批判し、調査が中止に追い込まれた過去もある。

 医療とお金の話。

一見タブーな、昔話にもよく引かれる話題である。
人の命はお金では計れない、と。
けれど、自分たちは民法や刑法ですでに多くの「人間的な犠牲」をお金で置き換え流、というルールを採用してしまっている。(これはこれですごい決断に違いない)
 
今さら医療だけが「お金で計れない聖域だ」というのはむしろおかしいだろう。
どんどん進む医療や研究開発と、それに伴う費用の負担をいつまでも曖昧にしておくべきではないと思う。
世界に誇る、日本の国民皆保険制度は「どこまでが限界か」ということをはっきりと議論するべき時期にきているのではないだろうか。

 楢山節考を生んだ日本は、実はどうもそうした問題に慎重すぎるのではないだろうか。

問題点をはっきりさせて、いよいよ皆がそれについて考える時期だと思う。
 
がんは克服できるか(4) 公的保険「何とかしないと」
2019年8月2日 2:00
「何とかしないと」。厚生労働省保険局と財務省主計局の担当者は今春の打ち合わせで、ともに表情を曇らせた。公的医療保険の下での血液がん治療薬「キムリア」の公定価格(薬価)が3349万円に決まる方向になったためだ。先に販売された米国での価格は下回るが、国内で最も高い薬が誕生した。

 
キムリアの薬価は3349万円に決まった(5月15日の中医協)
普段は予算編成でぶつかる厚労省財務省だが、相次ぐ高額薬が医療保険財政を逼迫させるとの危機感を共有する。両省は調整の難航を覚悟のうえで、公的医療保険でどうカバーしていくか検討を進めている。
人の生死にもつながるセンシティブな問題だ。厚労省は2018年、延命治療にいくらまで公的医療保険から支出すべきかを問う調査を計画。日本医師会常任理事(当時)の松本純一(67)は「命に値段をつける性格のもので断固反対だ」と批判し、調査が中止に追い込まれた過去もある。
財務省財政制度等審議会では16年、高額がん治療薬「オプジーボ」の登場を受け、患者に年齢制限を設ける意見が出た。オプジーボは効果が期待できるかわからないのに投薬期間の明確な基準がなく、何度も使うことが可能だ。100歳の患者への投与実績もある。だが「年齢制限を言い出せる政治家はいない」と立ち消えになった。厚労省オプジーボの使い方を示したガイドラインに年齢規定を盛り込むことはなかった。
厚労省は18年度に高額薬の価格を機動的に下げる仕組みを導入。薬価は原則2年に1回しか見直さないルールだが、販売額の急増など条件を満たすと速やかに値下げできるようにした。オプジーボの価格は当初の4分の1程度に下がった。高額薬を対象に費用対効果を分析して薬価に反映する仕組みも始まったが、十分とはいえない。
「(公的医療保険は)個人が負担しきれないリスクに重点化する方向にかじをきるべきだ」。健康保険組合連合会の理事、幸野庄司(60)は5月15日の中央社会保険医療協議会中医協)でキムリアの薬価が決まった直後の記者会見で訴えた。湿布や花粉症など軽症向けの医薬品の保険給付を縮小すべきだと指摘した。この1週間前には、日本医師会会長の横倉義武(74)が「何が何でも保険適用という時代ではなくなるだろう」と発言した。
キムリアなどの治療薬の登場は公的医療保険制度の形も変えるかもしれない。
(敬称略)