藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

物事の本質


大阪で弁護士と司法書士がモメている。
債務整理における「訴額140万」をめぐる攻防。
自分は一般人ながら「債権額が140万なのか、圧縮後が140万なのか、複数業者の場合はバラバラにカウントするのかしないのか」についてかねてから疑問に思っていた。


というか、そんなことにすら「いろんな説」が跋扈し、議論百出の「法律」というものは、一般人には理解しにくい厄介なものだワイ、と感じている。
そもそも司法書士の簡裁代理権が140万円、というのも何か中途半端な数字ではないか。
それはともかく。

 神戸地裁は昨年11月の判決で、司法書士がわざと圧縮額を140万円以内に収めて解決を図ろうとする可能性を指摘し、「債務者の利益が害される事態を招く危険がある」として受益説を否定。
司法書士の代理業務が違法な非弁行為に当たると判断した。

とのことだが、債務整理において「140万以下に収めて解決しようとする」のはあざといことだが、そもそもこと債務整理について言えば、あまり訴額の大小は、手続きの本質に関係はないのではないか。

保守派はこういう場合、常に「例外ケースを引いた極論」に焦点を当てようとするが、重要なのは国民の債務整理が進むことである。


非弁行為で刑事告発、などと業際の摩擦は激しい限りだが、外野席から見れば「利権団体の陣取り合戦」さながらである。
少し国民目線に議論を戻してもらいたい。


<MSN記事全文>

弁護士VS司法書士 債務整理の境界は 大阪高裁で訴訟加熱


 司法書士の「裁判外代理権」として法律で認められている「訴額140万円以内」の解釈をめぐり、弁護士と司法書士民事訴訟で激しい闘いを繰り広げている。
弁護士側に軍配を上げ、司法書士の「職域」を狭める判断を示した1審神戸地裁判決に対し、司法書士側が控訴。
舞台が大阪高裁に移ったところ、大阪弁護士会は新たに弁護団を結成した。弁護士の大幅増員で仕事の奪い合いが現実化するなか、仕事の境界を争う訴訟は、弁護士会司法書士会の代理戦争の様相を呈している。


 訴訟のきっかけは、神戸市内の司法書士事務所で勤務していた男性が平成19年1月、司法書士債務整理の和解業務が裁判外代理権の範囲を逸脱しているとして神戸地方法務局に内部告発したことだった。


 男性は司法書士に迫られ退職したが、19年7月に解雇の無効を主張し、地位確認と損害賠償を求めて提訴。裁判では男性の通報が公益通報者保護法の対象になるかが争点になり、その前提として、司法書士の代理業務の適法性が争われることになった。

 法律では、司法書士に認められた代理業務の範囲は「訴訟の目的の価額が140万円を超えない」と定められている。
ただ、この解釈をめぐっては弁護士会司法書士会がかねてから対立。単純な債務整理の場合、「整理の対象になる全債権額」(債権額説)とする弁護士会に対し、司法書士会は「整理によって圧縮される債権額」(受益説)を主張し、実際に受益説に基づき業務を行っている。



 神戸地裁は昨年11月の判決で、司法書士がわざと圧縮額を140万円以内に収めて解決を図ろうとする可能性を指摘し、「債務者の利益が害される事態を招く危険がある」として受益説を否定。
司法書士の代理業務が違法な非弁行為に当たると判断した。


 また、事務員の地位確認は認めなかったものの、慰謝料など170万円の支払いを命じたことから、司法書士側が控訴し、今年2月に大阪高裁で控訴審が開始された。

 司法書士債務整理業務に非弁行為があるとの認識を強めていた大阪弁護士会がこの訴訟に着目。
非弁問題などを扱っている弁護士5人が原告側に加わった。満村和宏・同会副会長は「1審判決が確定すれば、司法書士らの非弁行為を調査し、刑事告発などの厳しい対応も予定している」と話す。

 一方、司法書士側は元法務省民事局課長らが執筆した「注釈司法書士法」に受益説が掲載されていることを証拠提出し、「1審判決は債務整理現場に混乱を与える」と主張した。
日本司法書士会連合会は裁判には直接関わっていないものの、「これまで司法書士が多重債務者の救済に大きな役割を果たしてきたことを忘れないでほしい」と実績を強調している。

 法務省民事局もこの裁判を意識しつつ、「注釈司法書士法の内容は公式見解ではなく私見。法解釈について法務省としての見解はない」と中立の立場。
原告と被告の関係者はこうした状況に「事務所内のトラブルがこんな風に注目されるとは」と困惑しているという。


裁判外代理権 司法制度改革で平成15年4月から司法書士簡易裁判所での訴訟代理権が認められた。
認定試験に合格した司法書士は訴額140万円以下の民事訴訟に限り、法定外での和解交渉もできるようになった。

ただ、認められた範囲外の代理業務を行えば、非弁行為を禁じた弁護士法72条違反とみなされ、2年以下の懲役または300万円以下の刑事罰を受ける。