藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

ニッチキング

 
*[ウェブ進化論]商機はこれから。
日経MJより。
ニッチ市場というのは以前から注目されていたが、それがウェブ全盛の時代になって却ってチャンスが増えているような気がする。
営業利益率が30%を超えるという三つの企業はどれも「あっ」と驚くような仕組みではないけれど、「リース切れで長距離の中古車の値付け」とか「複数の予約サイトの情報整理」とか「適性テストのクラウド化」とか実に隙間だ。

 こういう記事を見ていると、実はこれからが「なんでもwebの時代」だからいくらでも事業のチャンスはあるのに違いないと思う。

そういうチャンスを生かして起業してみるのもよし。
目の前に見えるチャンスよりも、もっと大きな流れにチャレンジしてみるのもよし。
 
ユーザー目線で欲しいものを考えてみれば、むしろこれからの方が商機は多いのに違いない。
若い人はぜひそんな目で時代を見てもらいたいと思うのです。
 
 
高収益な新興企業「ニッチキング」、3つの秘密

NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞

営業利益が30%以上の高収益企業は、ジャスダック東証マザーズなど新興市場にも15社ある(9月13日現在)。IT(情報技術)系の企業が多いが、製造業も含まれている。今回は新興市場から独自の事業モデルで成長する3つの企業の高収益の秘密に迫る。
 

リースバック車のオークション主催

 
システム・ロケーションの千村岳彦社長
ジャスダック上場のシステム・ロケーションは自動車の車種データベースや中古車の価値をビッグデータを基に算定するサービスを手掛ける。19年3月期の売上高は9億3000万円、営業利益は3億1500万円。売上高に対する営業利益率は33.9%と高い。
 
日本IBM出身の千村岳彦社長が92年に設立、リースを終えた中古車は走行距離が長く、国内では売れなかったが海外からは引き合いがあった。千村社長はそこに目を付け、入札会と呼ぶオークションを始めた。
 
売り手からは出品料、買い手からは固定の落札料を得る仕組みだが、利益の源泉は実はオークションから得た売買データの活用にある。千村社長が中古車のオークションを始めた当時は、自動車の車種などオークションのデータが整備されていなかった。
 

データ蓄積、残価算定の仕組み編み出す

 
手間いらずの渡辺哲男社長
宿泊施設向けのシステムを手掛ける手間いらずは、上場企業全体でも2位につける高収益企業だ。19年6月期の売上高13億5800万円に対し営業利益は8億8300万円。売上高に対する営業利益率は65.0%だ。
 
同社は現社長の渡辺哲男氏が03年に起業した比較・comが前身だ。同名の比較サイトを運営し業績を伸ばし、06年6月期は営業利益率46%に達した。同年、東証マザーズに上場した。
 
だが、その後の業績は芳しくなかった。カカクコムなどとの競合環境が厳しいことや金融商品の比較サービスが低調だったことなどが要因だ。旅行サイトの運営も始めるが「既に競合が多く、時期が遅かった」(渡辺社長)。07年から3期連続の営業赤字に陥った。旅行サイトからは撤退し、代わりに強化したのが宿泊施設向けのサービス「TEMAIRAZU(手間いらず)」だ。
 
ホテルなどが複数の予約サイトに登録して空き室の予約を受け付ける場合、どのサイトで何部屋の予約が入っているかの確認は宿泊施設がする必要があった。この煩わしさを解消したのが手間いらずのシステムだ。国内外50以上のサイトと連携し、予約状況が自動的に更新される。料金の変更なども宿泊施設の担当者が一括でできる。
 
サイトコントローラーと呼ぶこのシステムを開発したプラスアルファを07年に買収。10年からはクラウド型の提供を始め、営業チームを編成し本格的に販売を始めた。
 
旅行サイトが乱立し管理がより複雑になったことに加え、訪日外国人の増加でネット予約が飛躍的に増えたこと、20年の東京五輪の開催に伴うホテルの建設ラッシュなどが追い風となり、現在は4000の宿泊施設が導入している。15年6月期から営業利益率が急速に回復し、19年6月期には65%を超えた。
 
楽天リクルートグループも同様のサービスを展開する。市場は広がっているが、今後も導入社数を確実に増やす戦略が欠かせない。
 

就活生向け適性テスト販売

 
長期間安定して高い利益率を保持しているのがジャスダック上場で就活生向けの適性テストなどを手掛ける日本エス・エイチ・エルだ。
 
18年9月期の売上高は27億円、営業利益は11億6100万円で売上高に対する営業利益率は42.9%。同社は10年9月期から9期連続で40%を超えている。19年9月期も41.8%を見込む。
 
同社は1987年の設立。英SHLグループが開発した適性テストの日本語版の開発、販売の権利を得たのがスタートだ。新卒の採用時に活用される総合適性テスト「GAB(ギャブ)」は言語と計数能力の測定、性格を診断する。
 
GABはリクルートマネジメントソリューションズ(東京・品川)が提供している「SPI」ともに就活生の適性試験で多くの企業が採用している。取引社数は約7000社、年間7~8%のペースで増え続けている。企業の採用意欲が活発で、適性テストを活用する企業が増えているのが要因だ。
 

紙からウェブに切り替え、利益率向上

紙からウェブへの切り替えが利益率を押し上げる。就活生がエス・エイチ・エルの適性テストの受験を複数の会社から求められると、同社が就活生の承諾を得て会社にテスト結果を提供する。1人の学生のテスト結果を複数社に提供すれば売り上げが増える仕組みだ。テストの導入企業が増えれば受験者数が減っても売り上げを伸ばせる。
 
3社に共通するのは独自のシステムを構築しニッチな市場で高いシェアを持っていること。新興市場の高収益企業の秘密は、そのあたりにありそうだ。
 
(企業報道部 宇賀神宰司)