*[次の世代に]70歳までの道のり。
年長者の言葉には一目置いたほうがいい。
6月に亡くなった立花隆さんが、東大の最終講義の中で生徒に対し「君たちはこれから人生最大の失敗をするだろう。だがそれこそがいいのだ。」と話されていたという。
聞いていた学生さんたちにはどう届いていただろうか。
「ほぉー、そういうものなのですか!」というくらいの実感だったのではないだろうか。
挫折したことのない若さというのは、それほどピュアで、色のついていないものなのだと思う。
楽しみも苦しみも、正論も理不尽も、社会に出るまでは「比べるもの」があまりない。
社会人ってそれほど、まあ「社会人の本番の舞台」へ出ることなのだ。
また、そこには数限りない劇場があり、それぞれの舞台には端役の人もいれば主役や脇役の人もいる。
まあ世界中は、様々な舞台の寄せ集めようなものなのだろう。
その後、立花さんは言う。
「60代と70代はまるで違った。それまでは人生を振り返る暇もなかったが、70歳になってようやく人生を振り返るようになった」と。
裏を返すと自分たちも、70歳になるまでは「ひたすら今を生きる」というメンタリティが続くかもしれない、ということだろう。
そしてようやく、「死を間近に感じて」初めてこれまでの人生をレビューするらしい、ということだ。
立花さんは最後の講義でそれを二十歳の若者に伝えている。
どんな知識よりも、このメッセージが最大の贈り物なのだったのではないだろうか。
若い人は、「どんな時間をこれから過ごすのか」を反対から考えてみるといいだろう。