藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

潔き。


最近偽装や、ウソの上塗りばかりで気持ちの悪かった経済界や官僚。
たまのスカッとした話題。


富士通、黒川博昭社長。
今年の株主総会上で突如、辞意を表明。


赤字の責任者ではない。
建て直しの功労者である。


自分も同業界で当時ITバブルの後、話題の「成果型報酬モデル」の失敗が取りざたされ、苦境に陥っている様子は記憶に新しい。


またSE出身で(メディア露出など)派手さはないものの、グングン回復する業績はいぶし銀のように渋いと思っていた。


いぶし銀は引き際も渋かった。


「企業経営は変化が激しい。現役に権限を与えた方がいい。」
とは数少ない黒川氏の言葉だという。

技術者出身だからこそ冷静に下しえた、俯瞰しての判断だろうか。

大企業で業績を上げたり、ましてやマイナスから立て直したりして、保身に走るのが普通である。
守りに入るのがごく当たり前。


本当に65歳の若さでその判断を下す、その判断力が業績回復の根拠だったのだろう。
人のことを言ってる場合ではないが、いち早い禅譲が、更に次の人材を生むのだろうと思う。


こういうことこそ、企業風土なのだ。



<記事全文>

精神的支柱を失った富士通の今後
2008.7.5 16:42

富士通相談役、黒川博昭氏 「65歳になって自分の人生を歩みたいと思った。会社と縁を切りたい」】


壇上で議長役を務める社長が、大勢の株主を前に、あろうことか“縁切り”を宣言した。前代未聞の出来事に違いない。

 6月23日午前、横浜市で行われた富士通株主総会。発言者は黒川博昭社長(65)。
就任から丸5年。
この日をもって会長にも就かず、相談役に退く。
黒川社長は業績を悪化させて会社を追われる経営者ではない。
反対に、平成20年3月期決算で富士通を営業利益2000億円超を稼ぐまでに復活させた立役者だ。


株主は驚いた。
だが、「経営を投げ出すのか」「無責任だ」といった非難は起きず、代わりに退任を惜しむかのように静かな拍手が巻き起こった。
日本のIT業界を代表する企業、富士通の改革。


株主は、燃焼し尽くした黒川社長の5年の苦労を知るだけに、異例の“縁切り”発言を素直に受け入れたのだろう。

(中略)

「企業経営は変化が激しく、現役に権限を与えたほういい」。
黒川社長は経営の一線を離れる理由については、言葉少なにこう答えた。
システムエンジニア(SE)出身で現場のたたき上げだけに、後任が仕事をしやすい環境づくりに配慮したともいえる。