藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

職選びの真髄。

yomiuri onlineより。

もう就職相談のことは書かない、と思っていたのだが、ちょっと違う話。
早々と就職協定の前に動き出す大学三年生と企業がある一方、「解禁日」までまったく動かない学生や企業もあるという。

それにしても。
自分が就職する二十数年前もご多聞にもれず。
全員「横一列」に並んでいざ就職。
もうそもそも何がしたい、とか業種とか、メーカーとか商社とか、日経とか米外資、欧外資、とかもう方法論だけが注目され、熱狂した自分たち当の学生は、「もう何が何だか分からずに上を目指して」という受験戦争時代と全く変わらぬモチベーションで走り抜けたものである。

今考えてみれば、大学の就職課の人たちも企業に勤めた経験もなく、また教授たちも学究一筋だったから、そもそも「適性のある就職先のアドバイス」ということに無理があったのではないかと思う。

結局、就職した後「どんな環境でもやるしかない」と開き直れる七割の人たちと、「ほかに楽天がある」と思って転職する三割の人たちに分かれたのである。

大事なのは「大企業に入社するのかどうか」という分水嶺でもあるのだ。
それは「大企業のどのネームに入るか」ということだけを見ている学生たちには、盲点のようになっている。
また、大企業の方が福利厚生は圧倒的に厚いのも事実。
だが「あなたは"福利厚生"のために会社に入ったのかどうか?」ということを、己に問いかけねばならない。
とはいう自分も、「有給休暇」とか「賞与の月数」などが気になって就職先を選んでいたのを思い出す。(愚)

大企業か、大手企業か(これだけでも大分違う)、中小企業か、ベンチャーか。
日本国内だけでもずい分と「選択肢の重要な岐路」は多い。
さらに外資にチャレンジする道も、十分にユニークだ。

さて。
内定を取りに行く、という「最低限」の考えではなく、本当に「これからの自分の道を決めるのだ」ということが本分である。
考えの中心を失うと、途端に風説に惑わされたり、うまい話(と見える話)に誘惑されたりしてしまう。

日本はこれまでの「高度経済成長モデル」からはどうしても脱却せねばならない時期に来ている。
そのことは、今の政局や日本の財政状態を見れば誰もが知っているだろう。
今のこの時代に、「自分が進むべき方向」を「自分はどの辺りに設定するのか?」例えば、「北か南か」「東か西か」「上か下か」というくらいは決める「勘ばたらき」が欲しいと思うのである。

少々の間違いや寄り道は構わない。
大きく外す(すべる)、ということが致命的なのである。
ぜひ、これから就職する若者が、「これからの自分たちの時代」を考えて、自分の意見を持って方針を決めてもらいたいと思う。
近々、案外大企業の志望者はガクッと減ってくるのではないだろうか。

「活発」「すやすや」…二極化の学生
前回のコラムで、10月に入ると企業が翌年の採用に向けて動き出すという話を書きました。経団連の新しい採用ルールにより、企業と大学3年生の接触や学生の個人情報取得が解禁となるのが12月になりましたが、2年目の今年は、新ルールに抵触するイベントがかなり開催されているようです。
 かつて企業と大学との間で結ばれていた就職協定が、企業が抜け駆け採用する「青田買い」によってなし崩し的に廃止されたのと、同じような過程をたどっているのかもしれません。
 何度も指摘しているように、ルールは経団連の加盟企業のみを縛るものですから、外資系やベンチャー、官公庁など非加盟団体はこのルールを守る義務はありません。昨年は社会的な論議を呼んだ就活の長期化・早期化批判を受けてのルール改定だったので、非加盟団体といえども大っぴらに違反する行為は目立ちませんでしたが、今年は事情が違うようです。
 これらのイベントは、職業理解のためと銘打ちながら、実態は合同企業説明会とあまり変わりません。中には参加した学生の個人情報を参加企業が入手するイベントもあるようです。
 一方、情報提供やイベント出展を控えている企業もたくさんあります。大部分の学生が解禁日まで動き出さないからです。こういう状況を「まだ学生が寝ている」と言います。寝ている学生の前でいくら大きな声でアピールしても、誰も聞いてくれませんから、新ルールで認められているウェブでの情報提供すら控える傾向にあるのです。
 一部の学生や企業は早くから活動を始め、一部はすやすやと眠っている。今はちょうど二極化したグループが混在している状況なのです。(読売新聞東京本社

 原田康久(はらだ・やすひさ)
 1962年生まれ。読売新聞東京本社人事部次長・採用担当デスク等を経て販売企画調査部長。著書に『すべらない就活2013年度版』。


 (2012年10月9日付読売新聞朝刊掲載)

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