藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

ライフスタイルの移行期

三十年ほど前は、マンションや戸建ての価格は年収の五倍、などと言われていたが、都心は「十倍の時代」だという。

そう聞くと、何やら景気が良いのか、格差が広がっているのか、などと思ってしまうが、
不動産業界の友人に聞くと、高価格なのは新築の豪華なマンションが多く、一方少し古いが値頃な物件も多いのだという。
何のこともない、「皆が欲しいものが高騰しているだけ」であり、そうした"ブーム"に乗らなければ、都会でも快適に暮らす術はあるのである。
(もっとも都会から離れる、ということを考えればもっと選択肢はあるけれど)

それにしても年収の10倍、というのは税引き前の収入のことだから、実際の手取り収入から考えると13-15倍、くらいの現金が必要なわけで、人が社会で働くのは大体四十年くらいだから、生涯年収の1/3以上をかけて住み処を手に入れる、という風に考えると誠に遠大な話であるし、またリタイアしてから平均でも20年以上も年金暮らしが待っていることを考えると、どうも人生設計をやり直さないと帳尻が合わないようである。

あと十年もすれば、いわゆる団塊世代、の高齢化が一斉に進む。
そうすると「持ち家・年金暮らし」という今の常識が変わり、新しいライフスタイルへと移行するのに違いない。
古い価値観にしがみ付くのではなくそういう新しいことを模索して行きたいものである。

東京の新築マンション、サラリーマン年収のほぼ10倍
新築マンションの年収倍率の推移
 【杉原里美】東京都内の新築マンションの価格は、都内在住サラリーマンの年収のほぼ10年分――。不動産調査会社の東京カンテイが行っている調査で、2012年はそんな結果が出た。13年は10倍を超える勢いで、いっそう手が届きにくくなりそうだという。
 同社は03年以降、マンションの「買いやすさ」を都道府県別に分析している。その年に売り出されたマンションの70平方メートルあたりの分譲価格を求め、それが地元に住み、会社などに勤めている人の平均年収の何倍にあたるかという「年収倍率」を割り出している。
 調査の結果、12年の東京のマンション価格は6028万円、勤め人の平均年収は613万円で、年収倍率は9・84倍だった。東京の不動産価格が高騰した「ミニバブル」直後で、リーマン・ショックの影響で勤め人の年収が下がった09年の10・02倍に近づいた。
 背景には、都心部高所得者向けの「億ション」などが増える一方、勤め人の所得は横ばいか下がっている状況があるという。
 中古マンションの年収倍率は7・24倍で、11年(7・35倍)より下がった。だが、高橋雅之研究員は「新築に手が届かない人が、都心により近いエリアの中古に目を向けて購入する動きがある。すでに東京の中古価格も底を打ち、上がってきている」と話す。
 近畿圏では、京都府の新築マンションが9・55倍と突出している。大阪府は価格が下がっているため6・91倍となり、全体としては7・35倍で11年の7・55倍より「買いやすく」なった。ただ、近畿圏や中部圏でも、郊外より中心部での供給が増えている。1、2年遅れで東京と同じ現象が波及すると予想され、今後も年収倍率は下がりにくいという。