秘密保護法案の成立について、マスコミが喧しい。
まあマスコミの本業、というかもっとも「報道・知る権利」の代理者であるから、必要以上に騒ぐのも当然ではある。
それにしても、今回の「何が秘密で、どこから漏れるのか」という話を、聞けば聞くほど理解しにくい。
結局これまでも行政や政治家から、いわゆる国家機密は漏れだしていたらしいし、また検察のリークとか、そういう話もよく話題に上る。
そしてまた、別に「秘密保護法案」がなくとも、国家間の重要な情報である安保条約とか、貿易協定とかの外交機密は到底「一般人」には知らされていないだろうことも想像がつく。
そうするとマスコミも頑張ってもらわねば、と言いたいところだが、マスコミはマスコミで、こと"我が事"となれば、重要なことを見て見ぬふり、でとてもジャーナリズム精神だけで成り立っているとも思えない。
そういう一般市民の「知りたがり、だけども無責任」という性質が「なんちゃって民主主義」をこしらえたのかもしれないが、ともかく今の政治家、官僚、マスコミ、市民、の間には「一つだけのルール」で情報統制をするのは難しいのではないか、というのが今回の騒動で受けた自分の感想である。
こうした「斑(まだら)」な、白黒に分けきれぬ"ややこしい文化"こそが日本の持ち味だとも思うのだが、そもそも秘密か否か、ということすら事情により如何ともする、という日本人は、特に海外の統治理論をあてはめようとすると今回のような「空回りした議論」になるのである。
天皇制しかり、アメリカ型のはっきりとした民主主義も日本にはなかなか馴染まないだろう。
独自の統治システムを作ることを考えてはどうかと思う。
NSC設置法案が成立 秘密保護法案、参院で審議入り
特定秘密保護法案は27日午前、安倍晋三首相が参院本会議に出席して審議入りした。与党の衆院採決強行から一夜明け、民主党などは「国民の『知る権利』が侵される」と批判した。法案の根幹的な問題点は解消されておらず、12月6日に臨時国会の会期末を迎えるなか、参院がどう対応するか存在意義が問われる。一方、国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案は27日昼に成立した。
本会議の冒頭、民主などが批判する中、森雅子・秘密保護法案担当相が同法案の趣旨説明をした。
安倍首相は「知る権利」について「特に秘匿することが必要であるものが、知る必要のない者に漏れることを防ぐことは、我が国及び国民の安全を確保する上で重要だ」と答弁し、一定の制約があるとの認識を示した。法案で「『秘密の保護』と『知る権利への配慮』のバランスを考慮した運用が確保される」とも答弁した。自民党の宇都隆史氏への答弁。
民主党の桜井充政調会長は「政府原案はもちろん(与党、維新、みんなの)4党修正案でも、国民の『知る権利』が保障されない」と批判。秘密を漏らした公務員らに最長懲役10年の罰則を科すといった法案の根幹について「取材や報道の活動が萎縮し、公務員側が厳罰を恐れて情報提供しなくなれば、国民が知るべきことも知らされず、『知る権利』が侵される」とも追及した。これに対する首相の答弁はなかった。
桜井氏は「首相が『第三者機関的に関与する』というが、行政の長である首相がなぜ第三者と呼べるのか」とも質問。首相は「大臣による特定秘密の指定、解除が適切に行われているかいないかを、有識者の意見を踏まえ首相がチェックする。改めて確認を行うという一定の機能を果たすことが可能となる」と述べ、「首相がチェック機関」との26日の答弁を維持した。
桜井氏は国会が行政機関に情報提供をさせる民主党案を説明。首相は「行政運営上の重大な利益の判断に関し、国会がどのように関与していくかは、慎重に検討されるべきものと考える」と述べるにとどめた。
一方、安倍政権が外交・安全保障政策の司令塔として目指す国家安全保障会議(日本版NSC)を設置する法案は27日昼に参院本会議で、自民、公明、民主などの賛成多数で可決、成立した。会議の議事録の作成について特別委で「速やかに検討し、必要な措置を講ずる」との付帯決議を可決したが、期限を盛り込まなかった。作成されなければ会議の詳細が秘密のままで「知る権利」が制約される可能性がある。