藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

色んな分野に夢を持つことを考える。

「卵を一つのカゴに入れて持ち歩いてはいけない」というリスク分散の発想から、現代の夢を語る離れ業も面白い。
将来が不透明な現代社会では、一つの夢に縛られるのは危険、夢や目標も複数のものに分散投資していくことが重要というのだ。

将来の夢を幾つ持てるかということよりも、そもそも「分散投資の対象」とは何だろうか。
それは仕事の世界の夢なのか、それとも老後のことか、それとも友人や家族や趣味のことだろうか。学問とか。
対称は広い。自分たちは毎日単一の作業だけをして生きていないから、朝起きてから風呂に入り、仕事をして食事もするし、遊びにもショッピングにも行くし、勉強だってする。
毎日が日替わりの幕の内弁当のように詰まっているのだから、むしろ一つか二つの夢ではなく、いろんな場面にそれぞれの夢を持つという発想も新鮮である。
例えば趣味とか勉強とかだって、トライしてみたいものは幾つもある。

色んな習い事に当たって、そのうち生涯打ち込めるものを見つけることだって分散投資だ。
仕事も同じ。
分散の発想は色んな所に織り込めるのではないだろうか。

付き合う異性は分散投資ってわけにはいきませんが。

『東大柳川ゼミで経済と人生を学ぶ』 柳川範之

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 ゴルフのバンカーであせってしまう人が多い。それは障害ばかりに目が行くからだ。しかし、ちょっと目をあげ、先を見通せばフェアウェーが広がっている。抜け出した先の明るいイメージを目標にして行動すれば、緊張せずにうまく行く。
 これを経済学的にいうと「後ろ向き帰納法」。つまりは、将来から今を考えるという発想だ。こんな具合に、経済の考え方を活用し、元気で勇気の湧いてくる生き方を指南する。
 ポートフォリオ選択理論、つまりは「卵を一つのカゴに入れて持ち歩いてはいけない」というリスク分散の発想から、現代の夢を語る離れ業も面白い。将来が不透明な現代社会では、一つの夢に縛られるのは危険、夢や目標も複数のものに分散投資していくことが重要というのだ。
 著者は、高校には通わず、慶応大の通信制を出るなど独学で道を拓(ひら)き、東大教授になった異色の経歴。人生やり直せる、転んでからが勝負という発想が、読む者を鼓舞する。(日経ビジネス人文庫、750円)(鵜)
2015年08月19日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun