日経マネーより。
さらっと介護付き有料老人ホーム、75歳入居で月に30万円が標準的。
なんて書かれてますが、生涯で家賃30万円以上の賃貸に一度でも住む人はどれほどいるだろうか。
人生の残り十年に、もっとも家賃の高いところに住む、というのももったいない気がする。
自分の友人は、定年後には東海地方の村に移住するつもりでもう目星はついているという話だった。
30万円の家賃にはいくら足りない、から十年分ではウン千万足りないな、と今から計算するよりも違うライフスタイルを探してみる方がよさそうだ。
団塊の波が去った後の2-30年後には、今とは違う新しい老後のスタイルが色々と編み出されているのではないだろうか。
往々にしてこういう算数的な予測ってそのままには当たらないものだと思う。
まあ考えるきっかけになればいいものだ。
おひとりさまの施設入居 75歳で1800万円超が必要
50歳独身が直面する老後リスクと対策(3)2015/12/21 6:30日本経済新聞 電子版
50歳独身という人が急速に増えている。日本の高齢者福祉は、配偶者、子がいる人を前提とした仕組みが随所に見て取れる。「おひとりさま」の老後の準備はどうすればいいか、4回に分けて解説する。今回は自分自身の介護について解説する。
(イラスト:タカハシカオリ)
親の介護を経験すると、ぐっと身近に迫ってくるのが自分の老後だ。おひとりさまでも認知症がなければ、訪問介護サービスを利用することで要介護3くらいまでは自宅で頑張れそう。だが、要介護度も認知症リスクも加齢とともに上がる。介護を期待できる身内がおらず、お金があるなら施設入居を検討した方がいいかもしれない。介護施設の施設長を務めた経験を持ち、介護と仕事の両立についてコンサルティングを手掛けるワークケアバランスの田中肇さんは、「男性なら75歳が入所の目安」と言う。田中さん自身もそのくらいの年齢で施設に入ることを考えている。
「認知症を患う人が増え、一人暮らしが厳しくなる年齢であると同時に、民間の介護付き有料ホームは入居一時金が一段安くなる年齢」がその理由だ。もちろん費用の安い公的な施設に入れれば良いが、これらの施設は事実上、福祉施設の役割を担っており、ある程度の年金収入がある人の利用はまず期待できない。
「介護付きの有料老人ホームが現実的な選択肢だろう。看護師が24時間常駐していて、看取りに対応でき、経営が安定している施設を選びたい。費用の目安は月30万円。年金の不足分を月15万円として10年で1800万円。これに一時金を加えた額が75歳時点での老後費用と考えている」。
自宅からいきなり重度介護に対応の高齢者施設に転居するのはストレスを伴う。お金に余裕があるなら元気なうちから自宅を出るのが理想だが、介護保険が使えないと施設入居費用は概して高くつく。あまり早く入ると蓄えが枯渇、死ぬ間際に退去を迫られる心配もある。つまり75歳入居が現時的な「終の住み替え」というわけだ。
そしておひとりさまが忘れてはならないのが、元気なうちに任意後見の手続きをしておくこと。司法書士などに後見人を依頼した場合、認知症を発症すると月数万円の費用がかかるが、親の介護の時に自分が果たした役割を思い出せば高いとは思えないはずだ。これだけ準備しておけば、老後の不安はかなり解消されるだろう。
■この人に聞きました
田中肇さん
ワークケアバランス代表取締役。大手の高齢者介護施設長を経て独立。仕事と介護の両立についてコンサルティング、講演を行う
(日経マネー 本間健司)
[日経マネー2015年12月号の記事を再構成]