藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

グルメの国。


大前研一さん、ニュースの視点より。
ヤマト運輸がついに中国での物流に乗り出すという。
中国は(行ってみれば分かるが)輸送システムが弱い。
というか、国土の狭小性もあるだろうが、「今日頼んだ品物が今日中につく」という国は日本の他にはないらしい。
公共交通機関の運行の正確さも、訪日外国人が驚いているトピックだ。

もう「爆買い」は常用句になってしまったが、特に中国の人がわざわざ日本に渡航し、家電やさらに日用品を大量買っている、ということこそ"過渡期だった"ということではないだろうか。

家電はもちろん台所の洗剤とかラップとか、普段着や食材にミネラルウォーターまで、たぶんまだまだ中国の人たちが欲する「日常品」の需要はこれからだと思う。(だって日本でもここ二十年くらいの進化だから。)
かくして、家電や日用品の爆買いは「ネットショップ」へと移り、いよいよ本当に観光とか食事などを楽しみに旅行に来てもらうことを日本人は考えるべきだと思う。

欧米の友人たちと話していても「日本の食は世界一」とよく話題に上る。

「世界中の食材が日本で食べられる素晴らしさ」もあるけれど、和食と「和のテイスト」をまとった洋食が最も魅力的だという外国人は多い。

ファストフードも抜群に美味しい、と言われるくらいだから「本当にいい店」に外国の人もどんどん来てもらえると一層の魅力になるに違いない。

中国人の「爆買い」が終焉を迎える?

ヤマトホールディングス(HD)は中国インターネット通販2位の京東集団(JDドットコム)と提携する方針を明らかにしました。中国の消費者がネットで注文した日本製品を日本から最短4日で消費者の手元に届けるもので、国境をまたいだ宅配サービスの提供で日本企業の商機が広がりそうとのことです。

ポイントは税関・関税手続きでしょう。輸送期間が最短4日というのは、非常にメリットが大きいと思います。

JDドットコムはアリババに次いで中国インターネット通販2位。ヤマトと提携し、日本のサイトで販売するとなると、売れるものはたくさんあるでしょうし、大きく発展する可能性は高いでしょう。

競合になるアリババはソフトバンクが株式を保有しているので、ヤフーとの結託を強めていくことになるでしょう。インターネット事業を展開している同士で相性は良いと思いますが、「物流」の担い手がいません。ヤマトに匹敵する物流を誰がやるのか?という点が課題になるでしょう。

いずれにせよ、中国人が中国にいながら普通に日本のサイトで買い物ができる環境が向上することは間違いありません。

BtoCのEC市場規模を見ると、中国は米国を抜いてトップに立っています。日米中の越境ECの市場規模を見ると、中国は米国と日本から半々の割合で、総額1兆2000億円の買い物をしています。この数値を見ても、日本のサイトから購入することに、抵抗感も障害もないでしょうから、さらに大きく伸びると思います。

一方で、いわゆる「爆買い」は今後減っていくことになると思います。

* * *

中国政府は8日、海外で購入した商品に課す関税を引き上げるとともに、税関当局が空港で行う検査を強化しました。

中国政府は、中国人観光客が日本など海外で大量の買い物をする「爆買い」が国内消費の低迷につながっていると見ており、関税の引き上げにより、中国国内での買い物を促す狙いです。

今どき、これも極端な政策だと思います。時計、お酒、化粧品などの高級品への関税が60%になるということで、そうなるとこれら高級品に対する購買意欲は一気に激減すると思います。

しかし一方で、日本に来ている中国人観光客の「爆買い」を見ていると高級品ばかりではなく、日用品も多いことが分かります。目薬や魔法瓶など、ドラッグストアーなどで安く売っているものも「爆買い」の対象になっています。

中国人観光客のプランを見ると、3泊4日で5万円のツアーで来て、15万円の買い物をしていくという人が大勢います。ショッピングツアーとなっているのでしょう。

日本も古き良き時代、ハワイに行ってマカデミアナッツやお酒など大量のお土産を買ってくる人が大勢いましたが、中国の消費者はまさに同じ状況です。

中国の関税引き上げによって、高級時計でスイス、酒・化粧品で欧州と米国が影響を受けるでしょう。そして、化粧品では韓国も打撃が大きいと思います。

日用品の「爆買い」もある日本への影響は、他と比べるとそれほど大きなものにはならないと私は見ています。いずれにせよ、60%の関税によって中国国民の不満は高まるでしょう。