藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

見果てぬ夢。二大政党制。

今の政権になり、みんな感じていることみたいだが「なぜ一強でいられるのか」が不思議だった。
その謎が解けた気がする。

第1は、自民の支持率が上昇すると支持政党なし(無党派)が減少し、逆に自民支持が低下すると無党派が増加するという負の相関(逆相関)がある。
第2は、民主・民進の支持率は一貫して10%程度でほとんど変化がなく、自民から離れた無党派を取りこむ受け皿になっていない。
第3は、民進が支持を回復するには、無党派に流れては自民支持に戻りまた無党派へとスイングする層を引きつけるしかない。
そこから民進は、左の民共連携でなく、右に動いて弱い自民支持であるリベラル保守を取りにいくのが正攻法との推論が生まれる。

リベラル保守」というどうにも分かりにくい存在が、今の若年層も、シルバー層も支配しているらしい。

米経済学者のハロルド・ホテリングの有名な「海水浴場のアイスクリーム売り」の話がある。
一直線に横に広がる海岸で、2人のアイスクリーム売りはどこに店を出したらいいのかという場所決めの問題だ。
その答えは、2人のアイスクリーム売りはともに海岸の真ん中に近づくほど多くの客を得られるというものである。

その理屈は日本に当てはめるとどうなるか。

東大の宇野重規教授(政治思想史)の見方を紹介しよう(『保守主義とは何か』)。
日本の保守主義の本流は伊藤博文から原敬へと継承され、その後、西園寺公望牧野伸顕らによる「重臣リベラリズム」へ、そして吉田茂から池田勇人大平正芳宏池会と引き継がれていった。
英米軽武装・経済国家の思想――。

短文って実に美しい。
戦後の政治はこの三行で語られた、という気がする。
結局、今の政治状況を打破するには…

進党が昔の社会党のように拒否政党の道を歩もうとするのなら別だが、もし信頼を回復してふたたび政権を担いたいというのであればどうするか。それには、全体、右向け右である。

本当の勝ち方はこれではないだろうか。

民進は全体、右向け右 「9・6・3」が政権への道 論説主幹 芹川洋一

 自民党の政権復帰から3回の国政選挙をへて、新しい政党の枠組みができかかっているようだ。

 自民の1に対し社会が1/2で、自民長期政権だった1955年体制。7月の参院選で自民と公明、民進と共産が連携して戦い、自公の1に対し民共が2/5になった安倍一強体制。新たな55年体制といっていいかもしれない。

 蓮舫新体制下でも民進は共産との連携をつづけていくらしい。問題は保守中道・リベラル保守と言葉はともかく、中間的な無党派が行き場に困っている現実である。二大政党制はやはり見果てぬ夢なのだろうか。

 2012年12月の第2次安倍内閣の発足から政党支持の推移を振りかえってみた。そこから何点かの特徴が読みとれた。

 第1は、自民の支持率が上昇すると支持政党なし(無党派)が減少し、逆に自民支持が低下すると無党派が増加するという負の相関(逆相関)がある。

 第2は、民主・民進の支持率は一貫して10%程度でほとんど変化がなく、自民から離れた無党派を取りこむ受け皿になっていない。

 第3は、民進が支持を回復するには、無党派に流れては自民支持に戻りまた無党派へとスイングする層を引きつけるしかない。

 そこから民進は、左の民共連携でなく、右に動いて弱い自民支持であるリベラル保守を取りにいくのが正攻法との推論が生まれる。

 経済学や政治学の分析からも同じ方向が出てくる。

 米経済学者のハロルド・ホテリングの有名な「海水浴場のアイスクリーム売り」の話がある。一直線に横に広がる海岸で、2人のアイスクリーム売りはどこに店を出したらいいのかという場所決めの問題だ。

 その答えは、2人のアイスクリーム売りはともに海岸の真ん中に近づくほど多くの客を得られるというものである。

 それを政治の世界に持ち込んで理論化したのが米政治経済学者のアンソニー・ダウンズだ。思想的に革新と保守を左右においた場合、得票の最大化をめざすには、いちばん票のある中間無党派のところに政党は寄っていくという説だ。

 ある意味で安倍内閣はこれを実践している。賃上げの要請にしても同一労働同一賃金にしても、中道をみすえた政策に取り組もうとしているように映る。

 7月の参院選の1人区で共産などと選挙協力した民進は11勝した。民共連携の成果だとされる。共産は候補者の擁立をやめて、野党統一候補で与党に立ち向かった結果であるのはまちがいない。

 しかし野党候補が勝利した選挙区をよくみると、ちょっと違った風景が浮かんでくる。

 「青森も岩手も福島も新潟も長野も、もともと自民が分裂しているところ。保守票の一部が向こうにいって野党と組めば強い」――。この政府高官の分析はおそらく正しい。

 それがまさに民進小選挙区・1人区勝利の黄金律とされる「民進9・無党派6・保守3」を言いあてているからだ。

 衆院選で自民候補に辛勝した岸本周平氏(和歌山1区)の解説を聞いた。

 ある選挙区で民進の支持率が10%とする。そこではまずその9割を得票しなければならない(=全体の9%)。さらに無党派が30%としてその6割(=18%)、自民支持が40%ならその3割(=12%)をそれぞれ得て(計39%)、ようやく当選ラインに届いてくる。

 共産が候補者の擁立を見送れば、その票が自民に流れることはあり得ず民進の援軍になるのはたしかだ。09年の政権交代選挙の際、共産が約半数の小選挙区で候補者擁立を見送ったことで民主大勝につながったのは疑いない。

 しかし与党側が「民共合作」とあてこすった民共連携のかたちをはっきりさせると何がおこるか。「9・6・3」の保守票の3が取れないという展開だ。先の参院選で西日本の1人区が総崩れだったことがそれを物語っている。

 「民共は戦術論としては正しかったが、民進の中期戦略としては失敗だ。それは社会党への道だ」と政府・与党首脳は明快だ。

 それでは民進はどこをめざすべきなのか。答えはすでに出ている。

 15年1月、民主代表にふたたび選ばれたとき岡田克也氏は「私の立ち位置はむかしの宏池会に近い」と言い切った。同10月、枝野幸男幹事長も「私が保守本流を継いでいる」とも語った。今回代表選に出馬した玉木雄一郎氏が訴えたのも「リベラル保守」路線だ。

 東大の宇野重規教授(政治思想史)の見方を紹介しよう(『保守主義とは何か』)。

 日本の保守主義の本流は伊藤博文から原敬へと継承され、その後、西園寺公望牧野伸顕らによる「重臣リベラリズム」へ、そして吉田茂から池田勇人大平正芳宏池会と引き継がれていった。親英米軽武装・経済国家の思想――。

 自民でその系譜を継いでいたのが故加藤紘一氏であり、幹事長を退いた谷垣禎一氏だった。そして今、そこがすっぽり抜けおちているのだ。

 民進党が昔の社会党のように拒否政党の道を歩もうとするのなら別だが、もし信頼を回復してふたたび政権を担いたいというのであればどうするか。それには、全体、右向け右である。