藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

心理や意志を察すること。

同時通訳では、言葉を後から追いかけるのではなく、話者の心の先読みをするのだそうだ。

なんと。
トランスレートってそういうことなのか。

(英語的に)
私は今、発見しました、この世は調和と平和であることを。
そしてまた私は憂いています。なぜなら…

(日本語ぽく)
「この世は調和と平和であることを」私は発見しました。
そして…

まだ自分にははっきりとはしていないが、言語の違いで「互いに伝わる内容」は違うに違いない。
厳密には、テクニックで「言語の壁」は超えられないということだと思う。

でも、考えてみれば日本語同士で話していても、意志が互いに十分伝わっているかというと、全然そんなこともない。
自分がふだん生活していても、「三割くらい」はあまり相手には伝わっていないのではないかと思う。

つまり、言葉は手段でしかない。
たかが手段。
されど手段だ。

そんなことを気付かされたコラム。
一流の通訳が「単なる外国語通」ではない理由は、言葉のテクニック以外のところにあるとのこと。

言語の問題ではなく。

ズームイン、ズームアウト 東京大学教授 西成活裕
2017/3/8付
 英語で手紙を出す時、封筒にはまず相手の名前を書き、その後に住んでいる通りの名前、そして州などを書いて最後に国を書く。しかし日本語の場合、その順序は逆で、まず県名、そして市、番地などが来て、最後が相手の名前である。つまり、英語の場合は名前から始まってズームアウトしていくが、日本語の場合は大きなところからズームインして最後に名前になる。

 この感覚は、私の好きなアプリ「グーグルアース」にとても似ている。これはパソコン上で世界旅行が楽しめるソフトで、地球全体が映っている画面から例えば自宅まで一気にズームインできるし、逆に自宅周辺から東京都、日本、そして世界から地球へと飛ぶようにズームアウトできる。

 実はこの、英語はズームアウト、日本語はズームインということに気が付いてから、だいぶ英語が楽に話せるようになったと感じる。日本語で話すことに慣れていると、どうしても周辺から固めていき、核心部分は最後、という思考になる。英語を話すときは逆に、本当にズームインしたい核心部分をまず端的に述べる。その後、落ち着いてズームアウトしながら周辺状況を付け加えていけば良いのだ。

 しかし、テレビで同時通訳のニュースなどを見ていると、どうして真逆の流れの言葉を淀(よど)みなく同時に訳せるのか、とても不思議に思えてくる。先日、英会話イーオンの三宅義和社長と同時通訳者横山カズさんの興味深い対談記事を読んだ。同時通訳では、言葉を後から追いかけるのではなく、話者の心の先読みをするのだそうだ。こういう話を聞くと、機械による自動同時翻訳はまだまだ遠いような気がしてくる。