藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

知れば見えてくることも。

昔ほど「新卒」「転職」についての議論も効かなくなったが、
一方「仕事選びの難しさ」については相変わらずの議論があると思う。

未だに「働き方」についての本が出版され続けているし、一生を生きる中での仕事というのは定義が変わってゆくのだろう。

最近は介護の現場の話を聞くことが多いけれど、実に世の中知らないことが多く、行政、サービス者、保険制度、利用者、税制、それぞれが複雑に絡み合っていて全体を完全に理解するのは困難である。

世の中には業界も何百とあるし、またその中でも営業とか、事務とか、製造とかの職種もそれぞれだ。

「どの業界で、どの職種を志望するか」という疑問に答えるには、
できる限り「業界の中身を知ること」しかないと思う。

そして中身を知れば知るほど、自分のやりたいことが反対にくっきりしてくるものだ。
師曰く、

仕事のできる奴は「私は何に向いていますか?とは言わないものだ。」

キラキラキャリアの罠 「てるみくらぶ事件」から山ほど学べること (増沢隆太 人事コンサルタント

シェアーズカフェ・オンライン 3/31(金) 6:38配信

旅行会社は就職でも大人気だが……?

激安ツアーで有名だったてるみくらぶが破産しました。人気業界の、ともすればキラキラした面だけしか見ずに志望する就活学生も多い中、旅行会社など人気業界を目指す時にこの事件から学べることは山ほどあります。

■旅行会社の仕事(ビジネスモデル)
てるみくらぶ(以下、てるみ社)は既に破産状況に陥っている経営状態を公開せず、破産申請直前まで新規営業を続けたことで、顧客によっては海外で帰りのチケットが無効になってしまうなど被害が広がっています。さらには顧客だけでなく自社スタッフについても、4月入社の新卒採用内定者は破産によって行き場を失うなど、大きな影響が続いています。

旅行業界は長年新卒就職先ランキングなどで上位の常連で、特に文系学生から大人気です。しかし学生の志望動機などエントリーシート(ES)指導をやっていると、こうした業界を志望する学生に業界知識が非常に低い者が少なくないと感じます。

旅行業界、旅行代理店とはお客さんと一緒に旅行をするのが仕事ではありません。格安旅行パッケージで差別化し、大手に対抗する戦略もあれば、ゴージャスな高付加価値旅行を売り込む戦略もあります。激安ツアーを売りにするなら、低価格・低粗利・高回転で収益確保が必要になります。

低価格なのにかゆいところに手が届くようなお客さんサービスは実現できないのが道理です。仕入れと利益のバランスで商売は成り立つということを、旅行業界に当てはめて考えなければなりません。少なくとも志望する学生は、なぜこの会社が倒産したのかをしっかりと理解する必要があります。

■ビジネスモデルから見る企業選択
私は昨年末からの就活シーズンで、たくさんの大学で「企業選び」の講座を行っています。そこで訴えるのは財務分析や初任給・平均給与・退職率などの数字ではなく、その会社の事業そのものの理解です。財務情報で企業分析ができればカッコ良いですが、現実にはライブドア事件のように財務情報が間違っていたり虚偽だったりすれば分析のしようがありません。

今回の事件でもてるみ社は日本旅行業協会正会員企業であり、ちょっと調べたくらいで会社として大丈夫かどうかなど素人で判別がつくものとはいえないでしょう。企業を見る上で大切なポイントはそうした情報ではなく、そもそもの企業の成り立ちです。どんなビジネスモデルで経営しているのかを理解するのが何より大事なのです。

旅行代理店と一口に言っても、その会社はどんな風に商品を企画し、仕入れ、運営して、誰に、いくらで販売しているのかという商売の全体像を知ることが企業選びの土台です。財務情報が無用なのではなく、この土台を理解せずに数値を追いかけても無意味だということです。