藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

技術が主役に。

*[ウェブ進化論]これから来る波。
地図情報もいよいよGoogle一強になりそうだ。
自分たちは、今や当たり前のインフラのようにGoogle検索エンジンを使い、amazonで注文した品は翌日に届く。
(MSの)excelで作った文書もおよそ誰とでもすぐに共有できる。
一般市民として使っている分には有り難いことだが、提供側は大変だったに違いない。
いつ回収できるかもわからない投資を、徹頭徹尾やり抜いたのがあの人たちである。
今になって「独占しすぎ」とか「傲慢だ」というのもどうかと思う。
彼らは「それなりの大きなリスク」を取ってきた人たちである
 
日本に限らず、世界中の地図が「人手を必要とせず、モバイルデータだけで」常に正確に作成されるのなら、それはすごいことである。
テクノロジーの脅威とはこういうことだろう。
だからこれからの"AI台頭"と言われるこれからは「ともかく人じゃないとね」というところを探すしかない。
そしてそれって「人間の平和ボケ」にも効くだろう。
 
他人ではできないこと。
機械ではできないことを本気で考える時代になった。
人には新たな試練が待っている。
 

地図不具合にみるグーグルの「特別な地位」

米グーグルの地図アプリ「グーグルマップ」の日本向けサービス上で、道路が消えるなどの不具合が起きている。地図大手ゼンリンから提供を受けるデータを減らす契約変更に踏み切ったためとみられる。背景にあるのが、地図データ作成・更新の自動化技術の進化だ。グーグルが不具合を起こしてまでサービスを更新するのは、膨大な位置情報を集められるデータ経済における「特別な地位」があるからだ。
「段差がある危険な細い裏道が主要道路のように表記されている」「私道が公道扱いされている」
更新後、ネット上では不満の声が相次いでいる。グーグルは「素早い解決に努めている」とコメントしている。
日本は地図精度への要求水準が厳しい世界的にも特殊な市場とされる。建物が密集し、狭い道幅で歩行者と車が行き交うため、雑な地図では利用者は目的地にたどり着けないばかりか、安全が脅かされる可能性すらある。このため道路の場合、抽象化せずに実際の形のまま、幅の変化などまで反映する地図が求められてきた。
こうした需要を捉え、ゼンリンは調査員が全国をくまなく歩き、道路の形から建物の細かな区割りまで、きめ細かく収集している。グーグルも市場のニーズとコストを考え、日本ではこれまで細かいデータの大半をゼンリンに頼らざるをえなかった。
だが、グーグルの地図向けに他社がアプリの開発をするときに、ゼンリンとの契約が邪魔になっていた。ゼンリンのデータの利用料が発生するほか、グーグルが使い勝手を良くするために導入したいダウンロードやコピーに制限がかかるためだ。
別の選択肢として、公開データを使った米マップボックスのような安価で利用制限の少ない地図サービスも出てきている。グーグルの契約変更に合わせてゼンリンがマップボックスと提携したのは、こうした地図の利便性をめぐる新しい競争を反映している。
関係者によれば、契約更新はグーグルから出た話だという。ゼンリン頼みから脱却し、自前データに切り替えた場合の不満はある程度は織り込んでいたはずだ。同社がゼンリンの細かなデータなしでも利用者が離れない程度まで自社技術が進化した、と判断した可能性が高い。
もともと日本における測量や地図作製は、旧陸軍系機関との関わりが深い。「陸上」から足で細かい情報を収集し、更新してきた歴史がある。だが、今は「空」を使った自動化が業界に地殻変動を起こしつつある。
人工衛星を使って測定したスマートフォンスマホ)の位置情報を土台にした移動データが大量に生み出され、機械学習技術の発達で衛星画像から建物の種類を判定する精度も急速に上がっている。これにカメラ付き車両で集めた道路周辺画像の解析を合わせると、さらに情報は充実してくる。ほぼ人の手を介さずに生成した地図データの精度が上がってきている。
こうした環境で圧倒的に優位な位置にいるのがグーグルだ。集まるデータ量だけでなく、そこから鍛えた分析の力でも他を圧倒する。スマホの基本ソフト(OS)を握り、地図サービスで高いシェアを持つ同社には位置情報が大量に集まる。膨大な移動パターンデータから道路の種類を判別する精度を飛躍的に上げられる。
グーグル地図の更新後に日本で問題となっている箇所は私道、衛星画像で判別しにくい裏道や影がかかった部分など、自動化プログラムが判別を苦手としている要素が多い。都市部以外ならドローンなどで効率的に確認すれば、ある程度問題は改善できるが、どうしても自動化しきれない部分は残る。
これを補うのにゼンリンは調査員を使うが、グーグルが使うのは無料サービスで集めた巨大な利用者網。地図更新後の利用者の混乱した動き、クレームまで分析することで地図情報を改良していける。偽情報が登録されるリスクはあるが、全体としては質の向上に有効な手法だ。
こうした利用者を開発に参加させる手法が可能なのは、グーグルの地図を多くの人が使わざるをえない状況があるためだ。交通情報や店の評価、道路、建物、地形の画像など便利な情報が集積し利便性が高い。ゼンリンの有償の高精度地図を自らの負担で無償提供し、便利な情報とひも付け、その対価として移動データを集めてきた。その長期投資の「果実」を刈り取ろうとしている。
今後、グーグル地図にさらに深刻な不具合が見つかる可能性もある。だが、多くの企業はデータ量や分析力が足りず、そもそもこうした実験を検討することすら難しい。地図更新の混乱は実はデータ経済におけるグーグルの覇権を象徴する出来事とも言える。(データエコノミー取材班 兼松雄一郎)