藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

C世代のこれから。

*[次の世代に]変わるセイジ。
音楽でも映像でも情報でも「なんでも自分の好きにカスタマイズ」、それがC世代。
なるほど上手いことを言う。さすがFTの記者だ。
それにしてもそれが政治にも表れているとは驚きの分析である。
 
英国で人気のブレグジット党に象徴される、またトランプ氏のツイッターにも見られる「分かりやすさ」ばかりが先に立つのが特徴だという。
 
話を聞いていてなんだか「ふにゃふにゃしたもの」になりはしないか心配になった。
口当たりの良い、柔らかなものばかり口にしていると顎が弱くなりはしないだろうか。
大学の教授が「哲学とは人生と宇宙の意味を考えることだ」と言っていた。
さすがPh,D、言うことが違うと感心したものだが、そんな分かりにくいテーマは"C世代"にはまるっきり受けなさそうだ。
 
そうしたフワフワの状態のままで、スマホ国民投票とかに突っ走ったら、戦争や差別など恐ろしい方向に振れてしまうこともあるだろう。
C世代なりにも深く考えていくための政治制度は、確かに重要なテーマにちがいない。
同じテーマで「何度もなんども」意見を収斂していくような仕組みが必要ではないだろうか。
 
「C世代」参加型の政治とは
2019年5月19日 17:00
月に1度、「ネットフリックス・ナイト」と称して娘たちと一緒に動画とポップコーンを楽しむ。ところがインターネットやケーブルテレビのオンデマンド配信があまりに多く、どの番組の何話目を見るかでもめてしまう。
民主党のオカシオコルテス議員は従来の党の主張ではなく、独自の環境政策グリーン・ニューディール」をソーシャルメディアで訴えている=AP
娘たちは欧米の普通のミレニアル世代(20~30代)や10代とたがわず、好きな番組を好きなときに好きな方法で視聴するのは当然と考えて育った。彼女らを(筆者も含め)何でもカスタマイズする(自分好みにする)という意味で「C世代」と呼びたい。我々はお仕着せのものを消費するのでなく、好みのものを生活に取り入れるようになった。こうした変化は気付かないことが多いが、消費生活のほぼあらゆる場面で起きている。政治に関してもいえるだろう。
C世代はテレビ番組表や音楽アルバムに違和感を覚えるように、主義主張が固定化している政党には魅力を感じない。この世代は従来の党派にとらわれず、自分にとって大事な問題や有名人、考え方を巡って結集する。筆者が前に指摘した通り「よりどりみどりの政治」の台頭といえるかもしれない。
例えば英国では欧州議会選挙が迫る中、二大政党の保守党と労働党が支持率を著しく落としている。代わって急速に有権者をひき付けているのが欧州連合EU)離脱派の新党「ブレグジット党」とEU残留を訴える自由民主党だ。

各自が理想を投影

既存政党が支持を失っているのは何も英国だけではない。欧州大陸でも各地で反既存政治を訴える勢力が票をさらっている。
トランプ米大統領もそうだ。形の上では共和党の所属だが、政治的な立ち位置にこだわらず、よりどりみどりの政策を繰り出している。2016年の大統領選挙を制したのは顧みられることがなかった人々に光を当てた「米国を再び偉大に」という輝かしいスローガンを掲げた有名人だったからだ。
まさにこの点が、今や有権者の3分の1以上が「支持政党なし」という米国で受け入れられた。支持者はそれぞれ、様々な理想をトランプ氏に投影したのだ。
民主党左派のアレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員も似ている。民主党のお決まりの政策ではなく、独自の環境政策グリーン・ニューディール」を若い世代向けに打ち出し、ソーシャルメディアで拡散させている。
彼女はミレニアル世代の好みをとことん活用している。C世代にとって政治行動とは、もはや予定表に沿って投票所のような決まった場所で起こす行為ではない。彼らはツイッターやインスタグラムなどで気が向いたときに政治的な意見を発信することを好む。
ソーシャルメディアへの投稿は従来の政治の定義には当てはまらない。それでもネット上で展開される政治運動の爆発的な力には目を見張る。つまり、デジタル技術で生活のほぼ全ての場面が大きく変わったように、政治的な意見を持つという概念も変わりつつある。問題はそのスピードに既存の制度が追い付いていないことだ。
問われているのは政党政治が崩壊に向かっているかどうかだけではない。C世代が主役の今の時代に合った仕組みを我々が考えられるかだ。国民投票を増やすべきか。ネット投票は必要か。政党の枠組みをなくすべきか。これはもしかすると、テレビ番組の(もちろん、視聴者参加型の)新たなテーマになるかもしれない。
By Gillian Tett
(2019年5月16日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/