*[ウェブ進化論]技術の使い方。
子供が不慮の災難に遭わないように。
親なら誰しも思うことだ。
そうした「気遣い」をIT機器がフォローしてくれれば、これは人を支える「最高のコラボ」と言うしかないだろう。
また老親が今日も元気でいるだろうか、というのもこれから増えてくる。(me tooだ)
自分の「周囲の人たち」になにか異常が起きていないかを気遣う。
誰しも持っているそんな「心遣い」をITがフォローしてくれれば、これほどのことはない。
押し付けがましい広告モデルやニュースと違って。
そんな「気遣いアプリ」がこれからの商機なのではないだろうか。
ちょっとキモイけど、意中のあの子に「なにか異常がないかどうか」を密かに気遣うアプリとか。
え?
気持ち悪いですかね。
そういう意味ではないんですが。
バットマンみたいに、何かあったら「たちどころに現れる」ようなのはダメかなぁ。
諸刃の剣かもしれませんけど。
ビーサイズ、AI通信機で子ども見守り
2018年12月22日 6:30
ビーサイズ(横浜市)は、手のひらサイズの通信機を子どもに持たせて居場所を特定する見守りサービスを手がける。大阪ガスや中部電力などエネルギー企業と組み、サービスの全国展開を進める。八木啓太社長(35)は家電製品の企画開発から事業を始め、定額制で収益を得るサブスクリプション型のビジネスモデルにたどり着いた。
八木啓太社長は「契約数1000万件を目指したい」と意気込む
ビーサイズが販売する「GPS BoT」は5センチメートル角ほどの白い通信機で、ねじ穴や継ぎ目のない丸みを帯びたデザインが印象的だ。NTTドコモの3G回線と接続し、全地球測位システム(GPS)で得た位置情報をサーバーに集約する。地下など電波環境の悪いところではWi―Fi経由で情報を取るなど、情報の取得に死角がないようにしている。
通信機をランドセルなどに入れておけば、親はスマートフォン(スマホ)にダウンロードした専用のアプリ経由で、子どもの居場所をいつでも特定することが可能になる。一度の充電で1週間ほど電源がもつため、平日にバッテリー残量を気にすることなく使い続けられるメリットもある。
子どもの行動パターンを学ぶことで利便性が向上していく点も大きな特長だ。「子どもに付き添う人工知能(AI)という発想はこれまでありそうでなかった」。八木社長はこう話す。
例えば、ビーサイズのサーバーに搭載したAIには子どもが通う学習塾の位置情報を推定し、親のスマホアプリに「よく行く場所を特定しました」と知らせる機能がある。親はアプリで塾の名前を登録しておけば、次回から子どもが塾から出た際に通知が届く。週に1度通う場所の場合、AIが機械学習で場所を推定するのにかかる時間は3~4週間ほどだ。
シンプルな設計も魅力だ。通信機は音が鳴らず、通話機能もない。スマホとは異なり校則上の問題となるケースは少なく、小学校に持ち込むことが容易だ。
少年時代、北欧バング&オルフセンの高級オーディオに興味を持った八木社長。大学時代にはデザインを独学で学び、英ダイソンのコンテストでは賞を獲得した。富士フイルムに入社し、医療機器の設計に携わっていたが、自分でゼロから製品を開発したいとの思いが募り、2011年にビーサイズを起業した。
地図上で子どもの動きを把握できる
発光ダイオード(LED)照明やスマホのワイヤレス充電器を開発してきたが、「15年に自分に子どもができ、日常に安心感をもたらすサービスができないものかと思いを巡らせたのが『GPS BoT』開発のきっかけだった」と話す。
開発を進める上で、「安心して長く使ってもらうには、できるだけ初期コストを低くすることが重要」と考えた。通信機は税別4800円。携帯電話のような契約年数の縛りはなく、解約料もかからない。
端末自体が収益を生まない代わりに導入したのが、月額480円(税別)の使用料を徴収するサブスクリプションモデルだ。家電製品のように売り切りではなく、音楽や動画配信で普及したビジネスモデルを見守りサービスに取り入れた。一度契約を結び、一定の顧客層を得ることができれば、安定した収益が見込め、将来の事業計画が立てやすい。
17年4月に販売を始めた「GPS BoT」に目を付けたのが電力・ガスといったエネルギー企業だった。一般家庭を含めたエネルギーの小売り全面自由化で価格競争が激しくなる中、付加価値のあるサービスにシフトすることが狙いだった。
「GPS BoT」の主なユーザー層は小学生とその親。中学校に進学するとサービスの解約率が高まることが想定される。常に顧客層を広げていく取り組みが必要で、「継続的に機能を改善し、より安心して使ってもらうことが重要だ」と考えている。例えば、子どもが普段行かないような場所にいる場合、AIがリスクを特定して親に通知する機能を付加することなどを検討している。
子どもだけではなく、高齢者にユーザー層を広げることも考えている。離れて暮らす両親の安全を確認したいというニーズは多いためだ。こうした取り組みを通じて着実に顧客基盤を作れるかが「見守りプラットフォーマー」になれるかを左右する。
(大阪経済部 杜師康佑)
[日経産業新聞 2018年12月21日付]