藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

空気の意味

*[健康]環境の力。
今の時代「無駄をなくす」というテーマは大人気だが、実は空気の汚れ具合がかなり関係しているという話。
FTより。
世界保健機関(WHO)では、この物質(PM2.5など)が認知症の発症リスクを高め、脳卒中や肺がん、心疾患による死亡数の3分の1の原因にもなっているとみている。」
さらに
ところが最近の研究で、大気汚染は加齢とともに病気を引き起こしやすくするだけではないことが明らかになってきた。
子どもの成長を妨げ、大人でも反応や思考が鈍くなって生産性にすぐさま影響が出るという。
粒子状物質は心臓や肺はもちろん、脳内にも入り込むようなのだ。

 げげ。

すわ、認知症の原因はこれか?
自分も花粉などは相当吸い込んでいるだろうし、これは由々しきことだ。
とは言っても「きれいな空気を」と言うだけでは経済原理には太刀打ちできない。
 
面倒な時代だが「生産性とか認知機能」とかの観点で、ぜひ根拠を計って明らかにすべきですね。
生産性が上がる、というのは時代のキーワードですから。
あげた後に何する、ってあんまり話題になりませんが。
 
 
[FT]汚い空気は経済損失招く
 
2019年9月22日 23:00
 

Financial Times

生産性を上げる裏技なら誰でも知りたい。やることリストやトマト型タイマーから、瞑想(めいそう)法やはだしの効用まで、時間あたり成果を高めるコツは人気がある。その中でほとんど注目されない行為がある。空気のきれいな場所で仕事や勉強をすることだ。

 
大気汚染は長い目でみて健康被害を引き起こすだけでなく、すぐさま生産性を下げることもわかってきた=ロイター
PM2.5」などの粒子状物質による長期の健康被害は広く知られている。世界保健機関(WHO)では、この物質が認知症の発症リスクを高め、脳卒中や肺がん、心疾患による死亡数の3分の1の原因にもなっているとみている。
 
ところが最近の研究で、大気汚染は加齢とともに病気を引き起こしやすくするだけではないことが明らかになってきた。子どもの成長を妨げ、大人でも反応や思考が鈍くなって生産性にすぐさま影響が出るという。粒子状物質は心臓や肺はもちろん、脳内にも入り込むようなのだ。
 
粒子状物質の作用が裏付けられれば、経済への影響も考えなければならない。若者が脳にダメージを受ければ生産性と人的資源に直接影響が表れ、しかも蓄積する。つまりこの物質の除去に取り組むことで、生産量だけでなく経済成長率も高められる可能性がある。
 
大気汚染が直ちに及ぼす影響は驚くほど大きい。アブラハム・エベンスタイン氏ら3人の経済学者の調査によると、イスラエルの高校生が粒子状物質の濃度が若干上がった日に受けた試験の結果は、濃度が低い日より大幅に悪かった。それにより大学教育を受ける期間が平均で0.15年短く、月収も最終的に30ドル(約3200円)少なくなって影響は長期に及ぶ。
 
トム・チャン氏ら別の研究チームは、ある企業が中国の複数の都市に持つコールセンターで調べたところ、大気汚染が深刻な日には職員の生産性が5~6%低下していた。欧米でよく観測される程度の汚染度でも影響が見られた。
 

胎児には母親の喫煙より有害

肉体面への影響もやはり見過ごせない。オゾン濃度が高いとレモンの収穫作業の能率が低下し、ドイツのプロサッカー選手も大気汚染度の高い日にはパス回数が減ることが調査研究で示されている。
 
子どもの発育についても指摘が多い。例えば米国で一酸化炭素濃度の高い地域に住めば、母親が1日に10本喫煙するより大きな影響が胎児に及ぶという。スペインのバルセロナの児童約3000人を対象にした研究では、大気汚染で認知機能の発達に遅れが出ていた。
 
近年の環境政策で気候変動対策が最重視されているのはもっともだ。とはいえ気候変動を阻止しても何かを得られるわけではなく、損失を回避できるにすぎない。
 
一方、大気汚染対策は誰もが恩恵を受けられ、あらゆる規模で行動に移せる。しかも効果がすぐに実感できそうだ。個人でもフィルターを設置すれば室内の空気を浄化できる。小グループで地域の大気汚染度を測って公表してもいい。粒子状物質の濃度が不動産価格に響くようになれば皆、真剣に受け止めるだろう。大気汚染につながる車両や発電所自治体や国が規制することも可能だ。粒子状物質の大半は温暖化ガスと同様、化石燃料から発生するため、世論の支持をより得やすい形での気候変動対策にもなる。
 
試験成績を上げ、認知症の発症リスクを下げ、仕事の生産性を高める薬があれば大人気だろう。空気の質の改善がその薬なのだから飲まない手はない。
 
By Robin Harding
 
(2019年9月18日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/