藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

協調の時代

*[ウェブ進化論]ライバルとも仲間。
日経産業より。
シーメンスが工場の稼働データのプラットフォームを解放するという。
マインドスフィアは、産業機械を中心とするハードの稼働データをクラウド上に収集・分析するシステム。
すでに100社以上が基盤に載っているという。
人間社会の国同士はまだまだいがみ合っているけれど、クラウドの世界はどんどん協調が進む。
IoTのデータも、車や街中や自宅やオフィスのあらゆるデータが"中心"に吸い上げられて、あっと驚くような制御システムがたくさん出てくるに違いない。
 
人間社会ではいろんな利害関係がからみ合って、「でも結局お互いに損をしている」「納得していない」ようなことが実にたくさん起きているけれど、ひょっとしたらITが「そういうこと」を解決するのではないだろうか。
人というのはこれほどの叡智を持ちながら、場合によっては相当愚かしい。
コンピューターが冷静にデータを分析すれば「思い込み」とか「好き嫌い」は相当排除出来るだろう。
関税の掛け合いとか、増税と減税とか、今でも徒労にしか思えないことが徐々に解決されるに違いない。
そうなれば、政治家の役割もようやくまともなものになるのではないだろうか。
 
シーメンス、ライバルもなかまに IoT基盤開放
 

シーメンスの日本法人(東京・品川)が、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」分野で連携を広げている。このほど制御機器で競合するオムロンと提携した。2021年以降に複数の工場を一体的に管理する新サービスを共同で展開する計画だ。シーメンス独自のIoTプラットフォーム(情報基盤)「マインドスフィア」上で提供できるソフトの充実を図り、ハード販売に続く収益の柱に育てる。
 
マインドスフィアは、産業機械を中心とするハードの稼働データをクラウド上に収集・分析するシステム。18年から日本市場で本格的に展開を始めた。顧客は生産設備の不具合の発見や故障の予知につなげられる。ソフト利用に応じてシーメンスに料金を支払うモデルだ。
 
シーメンスは当初、マインドスフィア上で自社製のソフトを中心に運用していたが、近年、外部のパートナー企業が開発したソフトについてもマインドスフィア経由での提供を進めている。すでに電通国際情報サービス(ISID)などのIT(情報技術)企業中心に数十社がパートナーとなっている。
 
新たにオムロンをパートナーとして加えた。オムロンは現在、自社製の制御機器やスイッチから収集した工場の稼働データを分析し、生産改善につなげる「i-BELT(アイベルト)」と呼ぶサービスを展開している。
 
今後はシーメンスのマインドスフィア上でのサービス利用を可能にする。オムロンはマインドスフィアを利用する顧客と取引を拡大できるメリットがある。制御装置や工作機械などの分野で競合する企業のソフトをマインドスフィア上で提供するのは珍しい。
 
サービスの共同開発も進める。オムロン草津工場(滋賀県草津市)などで実証を本格化し、21年以降に複数の工場の生産設備の状態を一体的に管理・分析するサービスを事業化する。
 
オムロンのアイベルトは従来、単一の工場内の設備稼働データの分析のみが可能だった。クラウド上で展開するマインドスフィアとつながることで、アイベルトが収集した複数の工場の生産データを集約して、横断的に改善計画を立案したり生産をスピード移管したりできる。
 
「IoTはオープンが原則。(ハードなどでの)競合関係を超えて、企業間の連携を進める必要がある。将来的にはファナック日立製作所などとの連携も組んでいきたい」とシーメンス日本法人の藤田研一社長は強調する。
 
シーメンスの日本事業は発電機などのハードの販売が中心だったが、近年、マインドスフィアを軸とした製造業の総合支援へ軸足を移している。20年以降にマインドスフィアを利用する国内企業の数を現状比2倍の200社に倍増する計画だ。
 
産業系IoTでは米ゼネラル・エレクトリック(GE)や日立などが独自のプラットフォームの展開を進め、顧客の囲い込みを競ってきた。米IT大手も同分野に参入して、しのぎを削っている。そのため、競争関係に必ずしも縛られず協調する流れにある。シーメンスは外部企業と連携を通じて、マインドスフィア上のソフトのラインアップを拡大し、IoTビジネスでの優位性を確保したい考えだ。
 
(企業報道部 松井基一)