藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

自分を解放すること

*[ウェブ進化論]過去最高の時代に。

日経「仕事人秘録 安川電気会長津田純嗣氏」より。

もう1つは特に欧米でみられる「ロボットは雇用を奪う」という誤った主張への対応です。

 ラッダイト運動ならぬ。

どうも先進国と言われる日米欧の人たちは、この類の恐怖心が非常に強い。

「自分のこと」と思うと、普段は分別のある大人が途端に騒ぎ出す。

だから改めて「相手がロボットやAIかどうかに関係なく、仕事は奪われた方がいい」ということを自分たちは認識しておきたい。

「機械の浸透」に少しばかり時間がかかるけれど、ここ五十年を見ても圧倒的に効率化は進んでいる。

製造工場の組み立ても、タクシーの運転も、ホテルの接客もどんどん「人以外」が活躍する。

そして人は「もっと開放」されてさらに「何をしていくのかを考える」という存在になる。

「機械やAIでは担えないことは何か?」という重要な問いに自分自身で向き合うことがこれからの社会に必要なテーマだと思う。

政治家にしても官僚にしても「既得権益」というしようもないものにしがみついて年を重ねるのは、ただただ勿体ないことだ。

自分が「今の自分から解放される」ことを考えるのは最高に楽しいことではないだろうか。

 

 

産業ロボが3Kを解消
 2019年末まで国際ロボット連盟(IFR)会長を2年務めた。
会長として主に2つのテーマに取り組んできました。1つは産業ロボットを自動車・電機から幅広い産業へ広げることです。ロボットを理解し、生産現場を知るシステムインテグレーターが世界各地で活躍できるよう後押ししました。ロボット工業会の設立、シンポジウムの開催、システムインテグレーターへの情報発信などを進めています。
国際ロボット連盟で津田氏の前任会長だったジョー・ジェンマ氏(右)と
もう1つは特に欧米でみられる「ロボットは雇用を奪う」という誤った主張への対応です。ロボット導入の代わりに労働者教育をするためのロボット課税を求める議論もあるのです。
これまで様々な機械やコンピューターで仕事の生産性が大きく向上した歴史がある中で、同じ貢献ができるロボットだけを特別視する傾向が欧米に強くあります。産業ロボットは世界で約300万台が動いていますが、その大半がいわゆる「3K(きつい・危険・汚い)職場」とみられます。
いまだに数億人が3K職場に従事しており、自動化やロボット導入はSDGs(持続可能な開発目標)実現からも加速する必要があります。300万台はごく一部にすぎないのです。
ロボット連盟は「Robots Create Jobs!」という主張を発信しています。「自分の子供にさせたくない職場はなくそう」とも伝えており、欧米を中心に意見広告を出したり、シンポジウムを開いたりしています。
 ロボット導入技術を学べる場も広めたい。
ロボットは人間を超える作業品質と生産性を期待して導入されますが、生産効率は増産時に上げやすいものです。中国、韓国は賃金や人手不足の対策と増産をセットで進めています。欧米は増産を伴わず、3Kや品質対応でロボットを求める動きになっています。
制御装置のコントローラーやインバーターをみても中小企業が導入すると市場は大きく膨らみます。ロボットが中小に普及するには対応できる生産技術者やシステムインテグレーターが必要。そこがうまくいけば、面白い市場になります。
増産なしで自動化投資をしている日本では、ロボが何をやって、どう効果を得るか、ユーザーへの啓蒙活動にまだ時間がかかりそうです。このほど福岡県で中小企業生産性向上支援センターを立ち上げてもらいました。10年ぐらいかかるかもしれませんが、成功事例やノウハウを近隣県に広めたいと考えています。
ドイツはフラウンホーファー研究機構のように技術や導入を支援できる組織があります。日本も各県の工業技術センターにもう少し予算を付けるなどして、ロボットを活用した生産技術を習う場が必要です。中小メーカーも超ニッチを狙える企業でなければ、合同会社などで規模をまとめていく方がよいでしょう。アジアのメーカーが生産技術を高める中、日本企業も規模とともに生産効率を上げていく必要があると思います。
(北九州支局長 山根清志)