藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

経験の伝承のために

*[ウェブ進化論]風化する教訓へ。

昨年火の風にのってといという芝居を見る機会があった。

いわゆる戦時もので昭和20年の東京大空襲をテーマにした物語だったが改めて「戦争体験の伝承」ということについて考えさせられた。

 

若い世代にとってはあまり好ましい話題ではなく。

また数少ない「戦中世代」はあまり多くを語りたがらないともいう。

ただ日本の軍部と政府が東京で十万人、広島でも十万人、長崎でも…という話は、今の自分たちでは到底現実のこととして捉えづらい。

 

けど本当に起きたことなのだ。

 

まったく「戦争を知らない子供たち」の世代になって、ますます心配される通りになっているような気がする。

「戦争vs反戦」というバランスが明らかに崩れつつあり「軍備増強」とか「自国防衛」という話も強く聞こえてくる。

 

専守防衛」という言葉がだんだんと「軍備増強」へと姿を変えて、いつしか現場の火花が燃え移って、一気に戦争に突入するという危うさを「戦後世代」は抱えているのではないだろうか。

紀元前からの人類の「侵略と支配の歴史」は未だになくなっていないけれど、「この先」をどう制御できるかが今の人類の試されどころだという気がする。

 

それにしても先の芝居の設定で「現代の悩める若者vs戦時下の若者」が交信する設定は(ちょっと禁じ手のような気もするが)実に見事で、観客の自分たちも両方の時代感が体験できるようなものだった。

毎年演じられているようなので、ぜひ観劇をお勧めします。