藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

ネット囲い込み。

yomiuri onlineより。
インターネットだけで存在するビットコインの話を聞いていて、これが「拡散の反対へと向かうきっかけ」になるやもしれないと思った。
米国の通信傍受がきっかけで国同士でネットの国境ができる現象をバルカン化と言うという。

"Balkanisation of the Internet"と言うらしいが、最もこうした話が先鋭化するのはテロとかではなく「お金」の話だと思う。

ネット上で(国に)管理されないお金が流通し、それが貨幣としての価値を持ち始めたらそのうちリアル経済に影響を与えるのは必至である。(この場合はもうどちらがバーチャルでどちらがリアルかというのは五分五分である)

今は一部マニアの珍奇な話題という報道のビットコインが、最も経済を直撃する「マネー」として認知されたときに、「経済的な国境」は真の意味でなくなり、世界中の国々は本気で規制に乗り出すのではないだろうか。
ネットのバルカン化はマネーから始まるに違いないと思う。

Balkanization インターネットは分裂するのか
アメリカの国家安全保障局NSA)による大規模な通信傍受が世界に波紋を広げています。

 懸念されていることの一つがインターネットの Balkanization(バルカン化)です(イギリスの英語では Balkanisation とつづります)。

ネットに一種の「国境」が出現する「バルカン化」

 「バルカン化」とは、東欧のバルカン半島諸国(the Balkan States)が第1次世界大戦後、互いに敵対する小国に分割されていったことを示す言葉ですが、ネットの世界でも同様の現象が起きかねないというのです。

 具体的には、ネットに一種の国境が設けられ、地域ごと、あるいは国ごとのミニ・インターネット(mini-Internet)に分裂していってしまうことを指します。

 NSAの通信傍受を最初に報じた英紙ガーディアンは11月初め、次のような見出しの記事を載せました。

  Will NSA revelations lead to the Balkanisation of the Internet?

   NSA(の通信傍受)に関する暴露はインターネットのバルカン化を招くのか。

 同じ英国のフィナンシャル・タイムズ紙も11月上旬、社説でネットのバルカン化を取り上げ、次のように説明しました。

  This is the risk that governments around the world will respond by ringfencing their networks in order to protect their citizens' data and limit the ability of the NSA to conduct its spying.

   これ(バルカン化)は、世界中の政府が自国民のデータ保護とNSAのスパイ能力の制限のため、自国のネットを囲い込んでしまうリスクである。

 さらに同紙の社説は「ネットは最も開かれた通信の場であり、世界経済を牽引(けんいん)するエンジンだ」としたうえで、バルカン化が進めば、世界経済は「大きな打撃」を受けると警告しています。

民主国家の間にも広がる兆し

 ネットの囲い込みは中国など一部の強権国家ではすでに始まっています。問題なのは、こうした動きが民主国家の間にも広がる兆しが出てきたことです。

 欧州では独自のメールサービスやデータセンターを持つべきだという声が強まっています。

 ブラジルでは、グーグル、フェイスブックなどの外国ネット企業に対し、自国民の情報はブラジル国内に保存するよう義務づける法案が提出されています。

自分で自分の首を絞めたアメリ

 こうした動きに強い危機感を抱いているのは、自由で開かれたネットを作り上げてきたアメリカです。なぜなら、アメリカは政治的にも経済的にもグローバルなネットの最大の受益者であり、バルカン化は何としても阻みたいからです。

 皮肉なことに、バルカン化への動きに火を付けたのは、NSAがネット上で繰り広げた野放図なスパイ活動でした。ネットを牛耳ってきたアメリカは、自分で自分の首を絞めてしまったとも言えるのです。

 いま一番ほくそ笑んでいるのは、アメリカ主導のネット秩序を覆したい中国やロシアかもしれません。

筆者プロフィル

大塚 隆一
1954年生まれ。長野県出身。1981年に読売新聞社に入社し、浦和支局、科学部、ジュネーブ支局、ニューヨーク支局長、アメリカ総局長、国際部長などを経て2009年から編集委員。国際関係や科学技術、IT、環境、核問題などを担当