藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

本当の未来像。


社会保障とか何とか。
人口が減るというのは何か「いけないこと」というか「これまでになかった恐怖」をイメージさせている。
今の日本とか、地球上で本当にどれくらいの人口がちょうどいいのか、少し前に大学の先生に伺ったことがあるけれど、経済成長の度合いとか、国同士の政治の方針とかで一概には「まったく」言えないらしい。

今の日本のように「年金負担ができないから」もっと子供を産みましょうと言っても説得力は全然ない。

フランス人の知り合いに聞くと、シラク三原則というのがあり、

1つめは、子どもを持っても新たな経済的負担が生じない、
2つめは、無料の保育所を完備、
3つめは育児休暇から女性が職場復帰する際、ずっと勤務していたものとみなして企業は受け入れる。

ということを実践し、実際に出生率は1.66から2%にまで上がったという。
事実婚とか、ライフスタイルに対して国を挙げて先進的なのはさすが、という気がするが、ともかく出生率を上げたいのならそれなりの手を打たねばならない。

思うに政治って「結果の責任」はともかくリーダーシップとビジョンが重要で、長い時代の中でも結局「仮説で試行してみるかどうか」ということがその後につながるのではないだろうか。
そういう意味では机上でビジネスのシミュレーションをしている人たちと政治家はどこか似ている。

自分は今の制度のまま出生率が増えることはあまりいいことだとは思わないけれど、首都一極とか地方創生とか、グローバル化とかについて、それぞれの地方が自分たちの意見を持たないと「最大公約数を取ろう」という政治家の判断しか表には出てこないのではないだろうか。
これからは地方の政治家か要になるのに違いないと思う。

昔の村社会の「いい部分」を生かして、安心して子供を産み、その子たちが育つ制度を作れるかどうかがこれからのコミュニティとか、地方とか、国とかの運営の根拠になるのに違いない。
自分の血縁だけを力ずくで守っていく、というのは中世以前の発想ではないだろうか。

団塊ジュニアの出産、ピーク過ぎる 人口減加速へ
2015/6/6 0:37日本経済新聞 電子版
 1人の女性が生涯で産む子どもの数を推計した合計特殊出生率が再び低下に転じた。40歳代前半に達した「団塊ジュニア」世代の出産がピークを越えたことで今後の出生率はゆるやかな低下傾向をたどり、日本の人口減少ペースは今よりも加速する公算が大きい。経済の活力を維持するには官民が少子化対策に注力すると同時に、人口減を前提とした経済構造への転換を急ぐ必要がありそうだ。


 2014年の人口動態統計では日本で晩婚・晩産化がなお進んでいる実態が浮き彫りになった。1994年に男性28.5歳、女性26.2歳だった平均初婚年齢は、この20年間で男女ともに2歳以上も上がった。女性の社会進出が進んだことが背景だ。
 晩婚化が進めば第1子を産む平均年齢も高くなる。男女雇用機会均等法が制定された85年には26.7歳だったが、11年には30歳を超え、14年は30.6歳まで上昇した。日本は欧米と比べ、未婚のまま子どもを産む女性は少ない。初婚年齢と第1子を出産する年齢は連動して上がる。
 晩婚化は非正規労働だったり、勤め先の経営が不安定だったりして、結婚に踏み切れない人がいることも一因だ。14年の人口千人当たりの婚姻率は5.1で前年から0.2ポイント低下。結婚したカップルは64万3740組で2.6%減り、戦後最少だった。


 ただ子どもを欲しいと考えている人は実際にはもっと多い。政府の調査では、若年層の希望が全てかなうと出生率は1.8程度になる。政府は仕事と子育ての両立や所得面の不安など若年層が出産に踏み切れない理由を取り除けば、出生率は大きく上がる可能性があるとみている。
 政府は3月に閣議決定した少子化大綱で、認可保育所の待機児童を17年度末までに解消するなどで子育て支援を拡充する方針を明記。働く男性の1割以上が育児休業を取得できるようにする働き方改革を推進する方針も打ち出した。
 民間企業でも、仕事と育児を両立しやすい環境をつくろうと、長時間労働の是正や育休取得の促進など働き方改革の動きが広がっている。
 ただ人口1億人を維持するには出生率2.07が必要になり、ハードルが高いことも事実だ。「子どもを欲しい」と思う人を今より増やさなければ達成できない数字だからだ。出生率は長期的には1.35程度で推移すると見込まれており、60年の日本の人口は8674万人と今より4000万人近く減る。
 仮に出生率が反転しても向こう数十年間は人口減少は避けられない。都市のダウンサイジングや女性・シニアの就労を後押しするなど、人口減社会を前提にした社会・経済システムへの転換も急ぐ必要がある。