藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

案外楽観

2.6テラバイトもの「節税文書」が公開された。
スイスは別にして日米欧の関与が少なく、新興国が多いことに何となく納得する。
それにしてもこの度の告発は「直ちに違法なもの」ではない。
節税の記録、について世間があれこれ言うわけである。

人間は少なくともここ三千年ほどは、富とか権力をめぐって離合集散し、国という単位で領土や覇権を競ってきたけれど、『そう遠くない将来にはそうした「富の偏在」はなくなっていく』ということなのじゃないだろうか。

人が統治とか経済とか政治とか、段々と経験と知恵を培って、それでもまだ貧困とか紛争の問題はカタはついていないけれど、それでも千年単位で見てみれば「ある方向に収束しつつある」ということのような気がする。
それってマルクスの言う共産主義とは少し違う「新しいエコノミー」の到来ではないだろうか。

富の支配が「最大の目的」だった時代は終わりつつあり、「富の配分」を争いなくシステム化する時代の到来。

経済全体の底上げがあったればこそに違いないけれど、その恩恵ってじわじわと効いてきているようだ。
争いと貧困のない世界、というのは案外近いうちに実現するのではないだろうか。

2016年04月06日 13時07分00秒
パナマ文書」とは何なのかまとめ、問題の本質や資産隠しの現状、そして各界の反応は

By thetaxhaven

タックス・ヘイブン(租税回避地)を利用して大企業や個人が税金の「節税」を行っていたことを裏付ける「パナマ文書」がパナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」から流出したことが大きな話題となっています。その一報はGIGAZINEでもすでに報じているとおりですが、そもそも「パナマ文書」はどんなものなのか、世界中でどれぐらいの企業や人物が関わっているのか、どんな反応が得られているのか、現時点をまとめてみました。

Panama Papers Q&A: What is the scandal about? - BBC News
http://www.bbc.com/news/world-35954224

◆「パナマ文書」とは?
世界で大きな話題となっている「パナマ文書 (Panama Papers)」は、パナマの法律事務所でタックス・ヘイブンの世界最大の取扱業者である「Mossack Fonseca(モサック・フォンセカ)」の過去40年にわたる業務内容に関するデータを記録したもので、ICIJ(International Consortium of Investigative Journalists:国際調査報道ジャーナリスト連合)がドイツの新聞「Süddeutsche Zeitung (南ドイツ新聞)」を通じて入手したものです。そのデータ量は2.6TB (テラバイト)と非常に巨大なものとなっています。これは、近年のPCに搭載されているHDD数台分が全てこの文書で満たされていると考えると、その膨大さが感じられるはず。

また、2010年にWikiLeaksNSA (アメリカ国家安全保障局)の文書を流出させた時にもその膨大な規模が人々の度肝を抜きましたが、パナマ文書はそのはるか上を行く規模となっています。BBCによるとWikiLeaksのデータ量「1.7GB」をサンフランシスコの人口(約80万人:浜松市の人口と同等)に見立てると、パナマ文書のデータ量はインド全体の人口(約12億人)に相当する規模となっており、その差は実におよそ1500倍というとてつもない量となっています。


見ようによっては「金持ちに対する貧乏人のやっかみ」ととられかねないパナマ文書の流出劇ですが、事の本質は別の場所にあります。それは、本来支払われるはずだった税金が納められていないために、税収が少なくなっているという現実であり、その減収を補うために、本来は必要なかったかもしれない増税が行われていることである、とされています。また、取引の不明瞭さを悪用して、不正な資金の移動やマネーロンダリング、不正蓄財などに使われる可能性も長く指摘されてきました。

◆誰の名前が見つかっているのか?
関心の中心であり、大きな問題を投じているのが、この文書に含まれている人物の名前です。BBCによると、この中にはかつて国家のトップに立っていた12人の人物の名や、元トップの親族などが60人、その他にもスポーツ選手や著名人などの名前が見つかっているとのこと。ロシアのウラジミール・プーチン大統領の側近は20億ドル(約2200億円)もの取引を行って資金作りを行っていたとみられているほか、中国の習近平国家主席の義理の兄弟や、ウクライナペトロ・ポロシェンコ大統領、アルゼンチンのマウリシオ・マクリ大統領、イギリスのデーヴィッド・キャメロン首相の亡き父や、パキスタンのナワーズ・シャリーフ首相の4人の子どものうち3人などが含まれているとのこと。さらに、同様に隠し資産疑惑にさらされたアイスランドのグンロイグソン首相は、4月5日に退陣に追い込まれるに至っています。

アイスランド首相が辞任、「パナマ文書」の資産隠し疑惑で | ロイター
http://jp.reuters.com/article/panama-tax-iceland-pm-idJPKCN0X224M

また、人物は政界だけにとどまらず、国際サッカー連盟 (FIFA)で倫理委員を務めるフアン・ペドロ・ダミアニ氏や、アルゼンチンのスターサッカー選手であるリオネル・メッシ氏と父親のホルヘ・オラシオ・メッシ氏、現役F1ドライバーニコ・ロズベルグ氏や、香港映画スターのジャッキー・チェン氏などが含まれていることも明らかにされており、いわゆる富裕層と呼ばれる人たちの間でタックス・ヘイブンを利用した税金逃れ・資産隠しが行われていることを伺わせる内容となっています。

タックス・ヘイブンの問題点
ここでよく理解しておかないといけないのは、「タックス・ヘイブンを使うことは多くのばあい合法である」という点です。タックス・ヘイブンは、非常に低い税率、あるいは税金ゼロという税制を定めた国のことであり、世界中の企業や個人がそこにペーパーカンパニーを立ち上げて自国で得た利益を送金することで、利益に対する税金を回避するという仕組みです。つまり、そこには問題はあるものの、仕組みそのものに違法性はないというのがポイントの一つです。

そんなタックス・ヘイブンですが、大きな問題の元凶となっているのが、そのお金が誰のものであるかが外からはよく見えないという仕組みです。そのお金が誰のものでどこから来たのか、そしてどこへ行くのかが見えないために追跡が難しく、税金調査が進まないばかりか、犯罪組織が不正に得た利益を送金してよそに移すという、いわゆる「マネー・ロンダリング(資金洗浄)」の温床となっているという指摘が長年にわたって行われてきました。

◆世界ではどれぐらいの組織・人物がモサック・フォンセカ経由でタックス・ヘイブンを利用しているのか
それでは、世界中でタックス・ヘイブンを利用している人はどこにどれぐらい存在しているのでしょうか。以下のページでは、モサック・フォンセカのデータを世界のマップに落とし込んだ内容を見ることができます。

Panama Papers: where the money is hiding
https://briankilmartin.cartodb.com/viz/54ddb5c0-f80e-11e5-9a9c-0e5db1731f59/public_map


プーチン大統領周辺の大規模関与がささやかれているロシアでは、4198の企業や、3199人のシェアホルダー(株主など)がモサック・フォンセカ経由でタックス・ヘイブンを利用していたことが判明。


意外と言うべきか、アメリカの現状は3072の企業、3467人のシェアホルダーなど。


日本ではわずか24の企業となっていますが、企業の数に対してシェアホルダーが360人と10倍以上になっているのが他の国には見られない特徴といえます。


世界でもトップクラスの企業数を誇る(?)のがスイス。38433の企業がリストアップされています。シェアホルダーの数が企業の10分の1になっているのは、日本と正反対の状況。


そんなスイスに次ぐ規模なのが香港。37919の企業がリストアップされています。


なお、日本の税制では、タックス・ヘイブンの法人で得られた所得を日本の所得とみなし、法人税または所得税を課税するという、みなし規定が設けられています。

タックスヘイブン対策税制:日本 | 貿易・投資相談Q&A - 国・地域別に見る - ジェトロ
https://www.jetro.go.jp/world/qa/04A-010814.html
源泉国での税負担が日本の法人税負担に比べて著しく低い外国子会社等の留保所得を、一定の要件の下、株式の直接・間接所有割合に応じて日本の株主の所得とみなし、それら株主の所得に合算した上で、日本で課税します。この制度が、タックスヘイブン対策税制です。

◆渦中の人物・組織の反応は?
データが流出した法律事務所「モサック・フォンセカ」は「40年間にわたり非難されるいわれのない営業を続けてきており、犯罪で訴追されたことも一度もない」というコメントを出しています。

また、大きく報じられているプーチン大統領については、2年後の選挙を控えて大統領の信用を失墜させる目的だとロシア大統領府が非難するという対応を見せています。

パナマ文書」、プーチン氏の信用失墜が目的=ロシア大統領府 | ロイター
http://jp.reuters.com/article/panama-tax-russia-putin-idJPKCN0X2005
ペスコフ報道官は記者会見で「今回の虚偽情報の主な標的は大統領だ」と言明。「『プーチンぎらい』が広がったせいで、ロシアやその業績について良いことを言うのはタブーになっている。悪いことを言わなければならず、何も言うべきことがなければでっち上げられてしまう。今回の事件がその証拠だ」と述べた。

先述の通り、アイスランドのグンロイグソン首相は退陣に追い込まれています。

アイスランド首相が辞任、「パナマ文書」の資産隠し疑惑で | ロイター
http://jp.reuters.com/article/panama-tax-iceland-pm-idJPKCN0X224M

習近平国家主席の関与がささやかれている中国では、中国共産党・政府は一切の報道を認めず、さらにはインターネット上からも関連情報を削除するなどの封鎖措置が講じられるに至っています。

習氏親族記載にピリピリ=「パナマ文書」情報を封鎖−反腐敗闘争に影響も・中国:時事ドットコム
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016040500604

中国のネットでは検閲が強化されており、「Panama」や「巴拿马(パナマの中国語)」と書かれた内容が削除される事態が起こっているとのこと。

China's Social Media Censors Are Working Overtime To Block Panama Papers Discussion - BuzzFeed News
http://www.buzzfeed.com/beimengfu/chinas-social-media-censors-are-working-overtime-block-panam

同じく関与がささやかれ、別の脱税疑惑で告発もされているメッシ選手については、家族が「パナマに所有する法人と脱税とは無関係」と主張しているとのこと。

パナマに所有する法人と脱税は無関係…メッシの家族が主張 ― スポニチ Sponichi Annex サッカー
http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2016/04/06/kiji/K20160406012351710.html

F1ドライバーロズベルグ選手は、所属するメルセデスチームとの契約をカリブ海の英領バージン諸島にある企業を介して行っていることが判明。実際にこの企業を通じて金銭のやりとりが行われたかどうかは不明とのことですが、明らかに不自然な経路を通した契約内容についてドイツの公共放送「ARD」は「メルセデスロズベルグも、なぜカリブ海にある企業を介して契約したかについては説明したがっていない」と疑問を投げかけています。なお、ロズベルグ選手は弁護士を通して「個人的な問題」とだけコメントしているとのことです。

パナマ文書」にロズベルグの契約に関する記載、独報道 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
http://www.afpbb.com/articles/-/3082919