成功者の話は「その例に習おう」と思って読むものではない、ということがようやく分かった。
小学生の頃「世界の偉人伝」という図書シリーズがあった。
野口英世とかエジソンとかナイチンゲールとかキュリー夫人とか。
子供心に、世の中にはすごい人がいるもんだ、と思って面白く読んでいた。
けれど偉人伝から自分が直に学べたものは、多分ない。
社会人になってからは偉人伝じゃなく「成功談」を読んだ。
松下幸之助から渋沢栄一、白洲次郎に藤田田。
ジャック・ウェルチにフィル・ナイト…
成功者の数もとても多い。
けれど、どれほど先達の成功談を聞いても、自分で真似できる部分はない。
自分にも当てはまる成功パターンが学べる、というのは幻想だと思う。「成功の方程式」は、その人により異なるし、誰一人として同じものはないようだ。
けれど分かったことがある。
どれほどの苦労や逆境に耐えてきたか?
というただ一点で成功者の話は聞くべきだ。
どんな偉人も、ある種「狂気」としか思えない情熱と行動で結果を出している。
その情熱を支える「軸」がしっかりしていないといけないのはもちろんだけれど、
「人とか、お金とか、ライバルとか、時代の波」とか。
事前には予想もできない逆境に、どれだけ抵抗しながら進めるか。
偉人伝の妙味はそこにあると思う。
自分の努力など、まだ松下翁の苦労の足元にも及ばないな、と思えるから。