藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

同調を超えて

 
*[経営]オンリーワンでもなく。
日経産業より。
日本はよく「ベンチャー起業家が少ない」「投資家も少ない」「失敗を許容しない」「特に大企業からはイノベーションが起きない」と言われる。
よくアメリカと比較されるが、規模も利益もまったく敵わない。
イノベーション」を政府もあげる(革命ともいいますが)くらいだが、こうも低空飛行が続く、と言われ続けると果たして本当に周囲のいうスタンダードが正解なの?と疑問に思う。
 
最近でこそ環境投資、グリーン企業などというが、おそらく自分たちはこれまで「経済成長」以外の指標を知らない。
今でも国の繁栄はずーっと経済成長率とGDPで語られているし、「満足度」があまりにも主観的すぎて「数字」でしか計れていないように感じて仕方ない。
 
大前研一さんは今の日本を「低欲望社会」と名付けていたが、低欲望ならそれで良いのではと思うのだ。
いたずらにカネだ、地位だと言うよりもよほど上品ではないだろうか。
変に数字を追いかけるいびつな議論をするのではなく、「満足とは何か」を自分なりに考えられる風潮であるべきだろう。
老後に2000万足りない、とかさもしい話が政治家から出てくるのは寂しい限りだ。
 
経営者が交代する意義
 
2019年10月4日 4:30
 
今回は経営者交代について書きたい。私が経営者になったのはハンゲームジャパンからNHN Japanになるときだった。年齢的には35歳と、ベンチャー企業としては早くも遅くもないかもしれない。

 
1989年筑波大卒。ソニーなどを経て2003年ハンゲームジャパン(現LINE=ライン)入社、07年社長。15年3月退任、4月C Channelを設立し、代表取締役に就任。
日本法人の創業社長は韓国人で、いずれ日本人に任せたいと話していた。さらに日本法人は韓国とは別のビジネスモデルとサービスモデルで成長し、ほぼ独立していた。
 
初代社長は新規事業を立ち上げる才覚がある方で、色々なアイデアを一緒に形にしてきた。創業者はグローバルのゲームの責任者として韓国におり、私が実質的に日本の代表だった。だから社長になる際には大きな不安はなかったが、実際には単なる代表と社長とは大きく違うことを深く実感した。
 
事業やサービスの責任、そして社員や家族への責任が肩に乗ってきた。
 
そして社長になりライブドアのグループ入りやLINEの誕生と成長など様々な経験をして、次の社長にバトンタッチをする経験もした。
 
LINEの退任については、ある程度やりきって次の能力ある経営者に任せた方が成長するだろうと思っていた。ゲームやスタンプ、EC(電子商取引)で成長したところから広告などでさらに成長させるタイミングだったが、私の専門分野ではなかったからだ。
 
日本では成功しているときに退任すると「何かある」と思われがちだ。しかし良いときだからこそ辞められると思っていた。
 
反対に、うまくいっているときほど次の経営者は大変でもある。少しでも数字が下がると「前任者の方が良かった」と言われるし、ある程度は悪い状態の方が立て直しどころは満載なのだから。
 
最近、若い起業家と議論する中でバイアウトを目標として起業するという起業家を多く見かける。しかし目標がバイアウトというのは、どうなのだろう。やはり起業は、ミッションやビジョンがあってこそではないだろうか。
 
こう思って苦言を呈することも多い。しかし実際に日本の現状を考えると、大企業からイノベーションがなかなか起こらないことも事実だ。
 
むしろ起業家が大企業にバイアウトして、大企業の資源でさらなる成長を目指すというのが次の日本のイノベーションをリードする1つの方法なのではないか。そんなふうに考えることもある。
 
変化が速い時代だから、1つの戦略や1つのコンセプトで成長し続けることには限界がある。そのためには経営者の考え方が変わったり、経営者そのものが変わったりすることも大事になってくるのだろう。
 
そんな変化を続けながら、昭和の名経営者を超えるような経営者が日本からたくさん出てくることを期待している。
 
日経産業新聞2019年10月2日付]