藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

八千年ぶりの変化

*[ウェブ進化論]物語の時代に。

「失うことは得ることよりも二倍辛い」という心理のことをプロスペクト理論というらしい。

なるほどぉと感心する。

世の中は知らないことで満ちている♪

「利益から得られる満足」より、同額の「損失から得られる苦痛の方が大きい」ために、「損失」を「利益」より大きく評価する心理現象のことです。

自分たちはどうも「損失」に恐怖を感じる生き物らしい。

 

これは紀元前6000年に始まったといわれる農業が起源にあるのではないだろうか。

それまでは狩猟をし、保存食もない人類は「保管という概念」がなく、まあ言えばその日暮らしで「狩れた獲物をただ食べるだけ」の生活だった。

そこには「所有」という概念は薄かったと思う。

 

「所有し保管できる財産」というものは自分たちに「大きな安心感」をもたらす。

それまでにはない価値観だったはずだ。

「一端は手に入れた」そんな大事なものを失う恐怖というのは想像に難くない。

"外敵の攻略を恐れずに暮らせるお城"を再び失うのは恐怖でしかないだろう。

 

かくして、自分たち人間は「豊になる」につれて「失う恐怖を同時に持つ」という宿命を背負ったのだ。

この呪縛はまだ解けていないし、まだしばらくは続くだろう。

けれど世界が一定水準の豊かさを超えれば、この「所有」という概念は急速に薄れていくのではないかと思う。

日本の若者にはそんな兆候が見てとれないだろうか。

 

豊かで成熟した社会では、"所有"よりも大事な"物語"があるのに違いない。