「量が質に転化する瞬間」という表題を見ただけでビビッ!ときた。
どうも自分はこのテの「成長」とか「価値観」とか、そんな話題が最も気になるらしい。
[次の世代へ]成長の法則。
で、棋聖戦の後、羽生さんがつひに、ついに「永世名人」となった後。
さらなる梅田節をひそかに期待していたのだが、果たして。
がただの祝辞ではなく、重要な提言がある。
またも構造化の達人、梅田望夫のフォーカシングが冴える。
http://sankei.jp.msn.com/culture/shogi/080623/shg0806230330000-n1.htm
最も気になる点を。
記事中、羽生さんの著書からの引用部分。
「いまは知識の雪だるまを作ってるような段階です。
どんどん蓄積して、どんどん分析することで、雪だるまが急激に大きくなっている。
転がり続けていますから。
でもその雪だるまって、どこまで育つかまだ分からないんですよ。
そのデータベースがかなりの量を網羅していったときに、ひょっとすると相乗的な効果が生まれてくるかもしれませんよね。
誰も予想してなかったイノベーションが起こったり」(「歩を『と金』に変える人材活用術」、共著、日本経済新聞出版社)
初心者の話ではない。
ましてやトップ棋士による「雪だるま作り」。
そのトップ中のトップにして、まだそれは「急激に大きくなっている」という。
「誰も予想していなかったイノベーション」とは図らずも本人の弁だが、何だかオソロしい気配すらただよう。
一般的な、普通に通るだろう成長過程において、の話しではない。
限界を極めた、いや極めているであろう「頂点」のまだその上。
そんな所での話。
梅田さんは「孤高の脳」と表現されていたが、まさに。
もうそれ以上、他に比肩する存在すらほとんどないような、そんな世界でこそ生まれる核融合なのだろう。
一定以上のレベルの中で、ある閾値を超えてきた場合にこそ「本当の変革」は起こり得るのだ、というように聞こえた。
トップこそ最も基礎練を欠かさぬ人
25才という若さで7冠を達成した羽生は、その先の長さに「これからどうなるのか」という不安にかられ、一時は一冠にまで落ち込む。
そこで周囲の棋士たちの地道な姿に気付かされて原点に返り、「才能とは一瞬のひらめきではなく、情熱や努力を継続できる力だ」と再発見したという。
自分がとても好きな「自然は飛躍しない」という連続律の言葉。
それと「継続できる力」というのはとても意味が共通している。
そこで。
表題の、量が質に変わること。
「量から質への転化」。
転化とは「状態が変わること」だという。
まさに未踏の領域なのだろう。
残念ながら、今の自分にはその「転化」を実感として分かる術がない。
もっともっと自分なりの雪ダルマを作るしかなかろう。(気)
どんどん、「量を積み重ねる」。
それこそ、大ベテランが。
だから、ちょっとした「どんどん」ではない。
ものすごい量の「どんどどん!」の積み重ねになる。
そんな永遠に果てなき、とも思える作業の先にだけ訪れる。
それを昨日、梅田さんは「孤独な営為」といったのか。
今回のように、
「珠玉の場面」に
「ライブ」で解説がなされ、またそれが
「掘り下げて分析、解説」されたことで、ようやく自分のところにも
「何か」琴線に触れるものが伝わってきた。
新聞などで、ただ羽生さんの対局記を読んだだけでは「得られなかった何か」が確実に多くの人に届いたのだと思う。
ウェブという存在と、数多くの関係者の方々の情熱にただただ感謝したい。