藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

消去法な国。

日本の国債が中国に買われているという。
四月だけで1.33兆円。
理由を聞くとむろん、世界でダントツに悪い財務諸表の日本が信頼されているわけではない。
消去法。
こんなんばっかりである。


でこの「こんなんばっかり」という単語そのものが、いかにも日本的である。
そういう話は内田樹先生の著書に詳しい。

日本辺境論 (新潮新書)

日本辺境論 (新潮新書)

日本人は、その数千年前の出自から、今日のこのいわゆる国際社会のなかで「蝙蝠」のようにしか振舞えない、ということを痛切に感じるのである。
今の「一人負け状態」のような円高で、その他の大国は"輸出で大回復"をしていたり、なのに温暖化対策目標では先頭に立たされていたり、そして国民は「こんなんばっかりか」と嘆く。
見事に日本の縮図である。


日本国債も、毎年これほどの赤字を続けながらも、EUアメリカも、中国も南米もアフリカも、どこにも行き場のないお金で「消去法的」に買われている。
為替の話というのは、どこかトリックに似ていて「円建て、ドル建て、ユーロ建て、元建て」などと、「円買い、ドル買い、ユーロ買い、元買い」などの話を考えているうちにゴチャゴチャになってしまうが、まともに考えれば、

日本が「自国の収入で賄えずにジャブジャブ借金をし、ほとんどの原資である国債は、国民の貯蓄で買われている」ということは、その末路は、最終的な債権者である国民のお金がパーになってお終い、と考えるのが素直な推論だろうと思う。

それにしても、妙なものである。
なけなしの自分の貯蓄ですら、「紙くずになる」と予感していても、よくよく見渡してみても「行き場がない」のである。
しかも各国の通貨以外に、証券、投信、各種先物、金、どれも安心できる気がしない。
自分もキョロキョロする日本人の一人だけれど、今一度自分たちにとって本当に大事なもの、を考えなおしておきたいと思う。
"こと"が起こってからでは、考える時間は全くなくなっているだろうから。

日本の中長期債、中国の買い越し最高に
4月は1兆3300億円

【北京=高橋哲史】中国が日本の中長期の国債を積極的に買い増している。期間1年を超す中長期債で4月は買越額が1兆3300億円と過去最高に膨らんだ。一方、米国債保有残高は3月末まで5カ月連続で減少した。ドル安への不安がくすぶるなか、中国政府は3兆ドルを突破した外貨準備の運用先をドル以外の資産に分散している。
日本の財務省が8日発表した4月の対外・対内証券投資によると、中国による日本の中長期債の買越額はこれまでの過去最高だった3月(2345億円)の6倍近くに達した。中国は昨年10月から一貫して日本の中長期債を買い越している。

期間1年以内の短期債は4月に1兆4687億円の売り越しとなった。市場では「中国はより高い利回りを求めて短期債から中長期債に乗り換えている」(日本の大手証券)との声が多い。5年債や2年債などの利回りが低めで推移している背景には、中国からの資金流入があるようだ。


一方で米国債保有は減る傾向だ。米財務省によると、中国の米国債保有残高は3月末時点で1兆1449億ドル。世界最大の保有国に変わりはないが、昨年10月末に比べると残高は約300億ドル落ち込んだ。


中国による日本国債の購入は、大半が外貨準備の運用によるとみられる。中国の外貨準備高は3月末に3兆447億ドルで世界最大。世界2位の日本の約1兆1000億ドルを大きく引き離す。


中央銀行中国人民銀行人民元相場の安定に向け元を売り外貨を買う大規模な為替介入を繰り返してきた結果、外貨準備が急膨張した。人民銀の周小川総裁は4月、「外貨準備は多すぎる」と認め、過剰に伴う管理の難しさに言及した。


中国政府は外貨準備の運用先を明らかにしていないが、市場関係者によると、米国債を中心とするドル資産が全体の3分の2以上を占める。ユーロは約20%、英ポンドや日本円は数%にとどまるとされ、ドルでの運用が圧倒的に多い。


ドルの総合的な価値を示す実効為替レートは、米低金利や財政の悪化を受け歴史的な安値水準で推移している。中国政府は価値が下がる恐れのあるドル資産に偏るリスクに敏感となっている。日本の中長期債への投資拡大は、こうした危機感の表れとみられる。


中国は韓国やニュージーランドなど新興国の利回りの高い国債を買い増しているとの見方も浮上する。外貨準備を使って企業買収などを手がける政府系ファンド、中国投資(CIC)の大規模な増資がうわさされるほか、金の保有を増やすとの観測も流れる。温家宝首相らは信用不安で揺れる南欧諸国を支えるため、ギリシャポルトガルなどの国債を購入する方針を表明してきた。


中国社会科学院世界経済政治研究所の張明副研究員は「中国が外貨準備の運用先を多様化しているのは確かだが、世界で最も流動性の高い米国債はこれからも外せない」と語る。米国債よりも厚みの乏しい市場が、中国マネーの出入りで揺さぶられやすい面もある。