藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

盛者必衰。

ムーンショット
外野からコメントしている分には世話はないけれど。
ずっとスマッシュヒットを飛ばし続けていたアップルも不振が囁かれる。
そんなにずっと勝ち続けていられるわけはないけれど、人はいろいろと言うものだ。

今でもセンスの良さはあるものの、特にスマートフォンなどでは他社製品もなかなか良いデザインのものも出現している。
先行者の作品を参考にしていればキャッチアップも容易だ。
デザイナーの目も肥えてくるのだろう。

新作は1億台以上に必要な量の部品を用意しなければならない。ビジネスが大きくなって品質管理の担当者が増え、新技術の採用に保守的な態度も目立ってきた。

市場を席巻したが「それ故に身動きが取れない」というのはさぞや辛かろう。
次に市場を取る時にはそんな「肥大化した自分のこと」も考えながら大きくならねばならないのだろうか。
成功するって大変なことなのだ。

異変が止まらない 陰るアップル帝国(ルポ迫真)
 6月13日、米アップル最高経営責任者(CEO)のティム・クック(55)はサンフランシスコで開いた開発者向けイベントに登壇すると、5000人の参加者を前に話し始めた。「アップルのアプリ開発者は累計で500億ドルを稼いでいる」

 アップルは音楽の楽しみ方を変え、スマートフォンスマホ)で人間の生活そのものを変えた。部品やソフトのメーカーを潤し、世界経済を支えてもいる。ただこの日の説明は基本ソフト刷新など既存プラットフォームの小幅改善に終始。「過去の話が多くなり、かつての大胆さが消えた」と出席者に印象づけた。

スティーブ・ジョブズが2011年に死去する前にCEOを引き継いだクックは5年で売上高を5割増やし、株価を2倍に引き上げた。ジョブズが嫌った「iPhone」の大画面化に踏み出して需要を再び呼び戻し、「アップルウオッチ」も世に問うた。

魔法をまとうジョブズにはなれないが、後継者として業績を安定的に伸ばしてきた経営能力は内外で高く評価される。そのクックをしても抑えきれない異変が今、アップルを襲っている。

 「昨夏お願いした設備増強を今すぐ止めてください。早急にキャンセル費用の見積もりを出してください」。1月中旬、アップルに部品を供給する日本メーカーの本社会議室。シリコンバレーを結ぶビデオ会議でアップル担当者が発した言葉にその場は凍り付いた。

1月に始まった「iPhone6s」の減産は前年比3割に及んだ。前作「6」とパネルサイズが同じで機能差も大きいといえず消費者に違いを打ち出せていないのだ。

 07年に登場したiPhoneの草創期は生産台数が少なく、世界で集めた最先端の部品を惜しげもなく採用できた。それが今、新作は1億台以上に必要な量の部品を用意しなければならない。ビジネスが大きくなって品質管理の担当者が増え、新技術の採用に保守的な態度も目立ってきた。

 消費者が抱く「飽き」も避けられない。アップルは新しいライフスタイルを提案する製品を幾度も生み出してきた。だが、iPhoneを超えるような製品は久しく生まれていない。日常品化したスマホという土俵で戦い続ければ、どんなに完成度が高くても感激は薄れる。そういう盛者必衰のサイクルをアップルは緩やかに迎えつつある。

 4月下旬、先端部品をアップルに供給してきた日本電産の会長兼社長、永守重信(71)は決算説明会で嘆いた。「まさかここまで下振れするとは」。iPhoneの減産は同社の業績を下押しする。アップルを支えるプレーヤーは忍び寄る異変を感じていたが、深刻さは予想を超えた。

 3月末発売の小型iPhone「SE」は衰退を象徴するモデルと電子部品メーカーは見る。部品の在庫を消化する役割を果たし、「6s」減産によるダメージを最小限に抑える切り札となる。ただ単価が低い。ブランドビジネスという側面を持つアップルの経営に相反し、攻めよりも守りの製品と受け止められる。

「それなしで生きていけないと思うほどの機能が新モデルに加わる」。5月2日、テレビ番組に出演したクックは今秋発売の次期iPhoneについて語った。だが部品メーカーに伝えている生産計画の数量は現行モデル並み。驚きを求める消費者の期待に新製品で応える「アップルモデル」は行き詰まっている。

 足元のアップルは、デザインの自由度が高まる有機ELパネルに着目する。その調達を巡り、今春から韓国サムスン電子と交渉が続く。「資金を出すので当社向け専用ラインを造ってほしい」。アップルの要請にサムスンは拒絶する姿勢を見せた。「専用ラインをつくるより、適正価格で買い取ってほしい」

 有機ELパネルの世界市場をほぼ独占するサムスンの交渉力は強い。圧倒的な購買力を背景に「イエスかノーか」と迫ったアップルの部品調達も変わりつつある。

 6月13日の開発者会議の終盤、クックは「我々の目標は世界を変える製品を作ること」と訴えた。消費者の飽き、スマホの陳腐化、そして今後は大企業病とも戦わなければならない。クックの言葉は自らに語りかけているように聞こえた。

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