藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

絶対値を持つこと。

パリ協定の批准に日本が乗り遅れたという話。
この話は、「どの省庁が原因か」ということの言い訳の仕方が「豊洲問題」にどこか似ている。
もっと言えば、今の日本の政治とか、さらには大企業の「言い訳」に似ているのだ。

「9月の米中合意は『えっ』と思ったが、もう何もできなかった」。官邸関係者が誤算に挙げるのが、温暖化ガスの二大排出国、米中の動きだ。

ビジネスの世界でも「周囲の様子を見ての駆け引き」というのはある。
けれどあえて、周囲にかまわず、空気を読まずに態度を決めねばならない、ということも案外多い。
というか日和っていては「そういうヤツだ」と周りに知れてしまうのである。
そうなっては信頼はなかなか得られない。

だから経験が増えてくると、かえってストレートに、誠実な態度になってくるのは至極当然でもある。

そこには「自分の顔」がかかっているから。
いい加減なことは許されない、と思う。

周囲に日和っているのは「わが事」と思って行動していないからだ。
自分の位置を「周囲との対比でしか測れない」のでは永遠に他人に振り回される。

そんな風に「周囲との対比」で自分を考え、あっという間に定年を迎えた人は決して少なくない。(ように見える)

人生の選択とか、自分の価値観とか信条とか。
決断はあくまで(周囲ありきではなく)自らの手で下すのだ、と意識しておきたいものだ。

パリ協定批准「見誤った」 官邸主導の盲点
 2020年以降の温暖化対策を定めた「パリ協定」で、日本は11月4日の発効までに批准できない見通しになった。米国や中国、欧州連合(EU)など主要国のスピード批准の流れを「完全に見誤った」(首相周辺)ためだ。官邸主導が続くなか、政権中枢の関心が薄い課題に思わぬ盲点が生まれた形だ。

 「9月の米中合意は『えっ』と思ったが、もう何もできなかった」。官邸関係者が誤算に挙げるのが、温暖化ガスの二大排出国、米中の動きだ。

 米国はオバマ大統領のレガシー(遺産)づくりで5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の首脳宣言に「16年中の発効」と盛り込ませた。サミット時の日米首脳会談ではオバマ氏が「発効に向け安倍晋三首相のリーダーシップを期待したい」とも発言していた。

 中国も9月に杭州で開催する20カ国・地域(G20)首脳会議の議題でパリ協定を重視していた。こうした動きは3月の米中首脳会談でも兆しがあった。だが官邸は高をくくっていた。パリ協定の発効条件は(1)批准国が55カ国超(2)批准国の排出量が世界全体の55%、の2つ。米中が動くだけでは条件には遠いからだ。

 年内発効が現実味を帯び始めたのは9月25日、排出量4位のインドが10月の批准を表明してから。環境省幹部が重い腰を上げ根回しを開始。意を受けた環境相経験者が首相に「温暖化対策をリードすべき日本が世界の流れに遅れる」と直訴。

 首相は「うまく調整してくれ」とこたえ、ようやく臨時国会での承認への調整が動きだしたが、時は既に遅し。もう10月18日の承認案の国会提出を同11日に早めるくらいしかできなかった。

 協定発効で省エネ対策などを担う経済産業省は、7月の参院選前から臨時国会での承認を求めていた。だが、彼らも想定外だったのが、EUの一括批准だった。通常は全加盟国の批准に時間をかけるが、EUは今回、加盟国内の手続きを後回しにして批准した。これで発効条件の一つの加盟国数は一気に増え、発効は確実になった。

 条約や協定を担当する外務省は、臨時国会に向け、パリ協定、環太平洋経済連携協定(TPP)承認案、自衛隊と米軍の物資融通を広げる改定物品役務相互提供協定(ACSA)の優先順位に悩んでいた。彼らの優先度はTPPが1番でパリ協定は最後尾だった。官邸の「TPP最優先」の意向があったためだ。

 外務省には「最後に日本の批准のおかげで発効できた」と演出する思惑もあった。だが、EUの批准を見誤ってシナリオは崩れた。外務省も当初、EUから「批准は来年になりそう」と感触を得ており、一気に批准すると思っていなかった。

 関係各省の認識はバラバラで積極的に連携した形跡は乏しい。だが、そんな中で不作為の連鎖を止めるのはリーダーシップをとるべき官邸の役割だ。首相周辺は「官邸はほとんど関与していない」と話す。「臨時国会でTPPを成立させる」との強いこだわりで視野狭窄(きょうさく)になった面もある。