藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

消化すれば同じ。

増え続ける世界の人口に、「人工肉と昆虫食」が福音をもたらすという記事。
コオロギのタンパク質かぁ、とげんなりするけれど。

牛や豚や鳥を食べるのが嬉しくて、何ゆえ昆虫は嫌うのか。

思えば昆虫はなぜ忌み嫌われるのだろうか。

多分、あまりに機能的なあの容姿のおかげなのではないだろうか。

眼とか触覚とか、足とか羽とか。
どれもがあまりに無駄がなく、洗練されていて、ちょっと機械的に過ぎる。
あんなに「機能的な生き物」を目の当たりにするから、多くの人が恐怖感を抱くのだ。
だって他方、熱狂的に昆虫が好き、という人も結構存在するし。

ミャンマーのスーパには蝉が普通にパックで売られていたなぁ。
あまりにも自分の中に出来上がってしまったバイアスを、一度疑う必要があるかもしれない。

でも、口にするのは昆虫よりは刺身であってほしいと思うのだ。

人工肉・昆虫食 未来救う
2018年3月28日 15:30
2050年には現在の3割増の98億人に達するとみられる世界人口。途上国の経済発展とも相まって懸念されるたんぱく質不足や環境問題を解決する切り札と期待されるのが、植物由来の人工肉や昆虫食などの代替食品だ。米シリコンバレーなどを中心にベンチャー企業が続々誕生している。

米インポッシブル・フーズの人工肉を使ったハンバーガー=同社提供

「言われなければ気づかないかも」。肉を使わないハンバーガー「インポッシブル・バーガー」が米国で話題を集めている。見た目は普通の高級バーガー。かめば肉汁がじわりとしみ出す。有名シェフのデイビッド・チャン氏が手掛けるニューヨーク・マンハッタンのレストラン「モモフク・ニシ」では18ドル(約1900円)から提供されている。

「大昆虫食博」では地元やアジアの昆虫食文化を展示している(長野県伊那市)

開発したのは、シリコンバレーベンチャー企業、インポッシブル・フーズ。11年に米スタンフォード大のパトリック・ブラウン名誉教授が創業した。「肉はなぜ肉の味がするのか」を探求し、風味の決め手となるのが「ヘム」という鉄分を含む分子と突き止め、遺伝子操作で大豆の根から作り出した。

16年のモモフク・ニシを皮切りに、現在は全米900カ所以上のレストランにハンバーガーのパテを提供する。同社はこれまで2億7500万ドル以上の資金を調達し、投資家にはビル・ゲイツ氏ら著名人も名を連ねる。17年9月には月約50万キロのパテ生産能力を持つ工場が稼働するなど、躍進ぶりはめざましい。

「18年はアジア展開を予定している」(広報担当者)といい、日本でも食べられる日が近いかもしれない。

米国では、09年に創業したビヨンドミートも、「セーフウェー」など大手スーパーに植物由来のバーガーやチキンなどを提供。こちらはゲイツ氏のほか、俳優のレオナルド・ディカプリオ氏らが出資し、製品が肉売り場に置かれたことで話題になった。畜産の業界団体が18年2月、米農務省に対してこうした人工肉を「ビーフ」「肉」などと表示することに異議を申し立てる陳情を行ったほどだ。

人工肉がこれほど注目される背景には、環境問題がある。食用の家畜飼育や飼料の栽培には地球上の陸地の45%、水資源の2割以上が必要とされており、環境負荷が高い。欧米にベジタリアンが多い理由でもある。インポッシブル・フーズによると、同社の人工肉は牛肉の20分の1の土地面積と4分の1の水で生産可能。環境は気になるが、肉の味は楽しみたいという消費者の嗜好に応えている。

17年に改定された国連の推計によると、現在76億人の世界人口は50年に98億人、100年には112億人に達しそうだ。新興国の経済成長に伴い、肉など高たんぱくの食品への需要も高まる。人工肉ベンチャーが有望視され、資金が集まるのはこのためだ。だが、期待を集めるたんぱく源は身近なところにもある。

「食糧問題に対する有望な食材になり得る」。国連食糧農業機関(FAO)は13年、昆虫食のリポートを公表した。牛肉1キロの生産に8キロの飼料が必要なのに対して、昆虫肉は2キロと4分の1。温暖化ガスの排出量も10分の1から100分の1という。必要な土地もずっと小さい。

栄養価は肉や魚と比べても高く、良質なたんぱく質のほか、繊維や鉄、マグネシウムなどの微量栄養素も多く含むという。欧米では一般的な食文化ではなく抵抗感を抱く人も少なくないものの、近年は食べやすい形での製品化が相次いでいる。

例えばコオロギの粉末を使ったチップス。米ハーバード大のルームメートだった女性らは13年、「4本足(家畜)より6本足(昆虫)」の意味を込めてシックス・フーズを創業した。それぞれ留学や旅行でアフリカ、アジアを訪れ、現地で昆虫やサソリを食べる習慣に出合った後、FAOのリポートを目にしたのがきっかけだったという。

同社製品の見た目は米国で広く食べられているトルティーヤチップスそっくりだ。風味も塩、バーベキュー、チェダーチーズといったなじみのあるものだが、1枚あたり約1匹分のコオロギが含まれている。自分たちのアイデアを動画で説明し、クラウドファンディングで7万ドルを集めて製品化にこぎ着けた。

14年設立の米エクソも、コオロギの粉末を使った「クリケットフラワー」や栄養食品を開発・販売している。電通傘下のベンチャーファンドも出資した。北米や欧州ではコオロギの養殖が広がりつつある。

政府が規制緩和で後押しする動きもある。欧州連合EU)は18年から、昆虫由来など「新奇」な食品を認可する手続きを加盟国間で一元化。欧州のNPO「食用・飼料用の昆虫国際プラットフォーム」(IPIFF)は歓迎の声明を出した。17年7月からは魚の飼料用に昆虫由来のたんぱく質を使うことも解禁されている。

こうしたベンチャー系の昆虫食品は「西側」発のブームだが、アジアでは昔から昆虫食が盛んだった。5月まで「大昆虫食博」を開催中の伊那市創造館(長野県伊那市)では、地元のザザ虫やハチの子をはじめ、ラオスカンボジア、タイなどの昆虫食文化を展示している。タイには昆虫をそのまま揚げたスナック菓子もあるという。

大昆虫食博では、人類が火星に調査基地を造る将来、現地の環境を汚さず簡単に育てられる食料としての昆虫食も提案している。かつては日本でも広く食べられていた昆虫。「未来食」として復権する日は近いかもしれない。

(国際アジア部 木寺もも子)

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