*[次の世代に]所有とストーリーの時代。
「よく物欲がなくなった」という大人たちの話を聞く。
若い人は、そもそもかな低欲望だという話も聞く。
「プライスレス」とか「モノより思い出」というのは今の若い人の常識らしいが、昭和の象徴でもあった「所有そのもの」の価値が薄れているのは間違いなさそうだ。
昔は「所有そのもの」にカッコよさがあり、憧れも強かった。
今は、ただ所有していることではなく「どう楽しんでいるのか」が問われる時代なのだと思う。
つまり「特にお金を使わずとも心から楽しんでいる人」を羨ましいと思う時代になっている。
こういう時代に「ただただ物を所有しコレクションしている」というのは昔のようにカッコいいことではない。
楽しまずに「たくさん持っている」だけではダサいのだ。
思えば、自分があと何年生きるか分からないのに、ひたすら溜めたコレクションはいったい誰が引き継ぐのか。
何かその「所有」に面白い、文化的な意味がないと、ただの「物の集まり」でしかなくなる。
「とにかく所有すること」から「何かの意味があって所有すること」にシフトした今、"ストーリーのない所有"はあまり関心を集めない。
ようやく「モノと楽しみ」が等価になった、真っ当な時代に移行しつつある。
産業革命から250年余りが経ち、ようやくこれからが「まともな価値観の時代」なのではないだろうか。