自分たちのような年輩者が、志に燃えた(あるいは大して燃えていない)若者と接して感じるのは「若さへの羨望と哀しみ」である。
もう端的に若さが羨ましいのと、けれど彼・彼女がこれから長い時間をかけて歩んでゆく「峠道」のいろんな曲折が割とリアルに想像できてしまうのだ。
彼たちは何より若いから、そうした苦労もぐいぐい乗り越えていくのに違いないと思うが、「予想もしなかった苦労が次々と起こる様」を想像すると、大変だろうなぁとお節介な気持ちになってしまう。
ガイドブックでもあればいいが、大抵は役に立たない。
時間の経過が誰にも平等なのと同じく、人生は誰にも一度きりで再現されることはない。
そんな「最高にユニークな物語を生きているのだ」と思えれば、自分ももう少しワクワクできるような気がする。
例えて言えば「一度きりの、自分が主役で、上映もただ一度だけの映画の主役」というわけだ。
60を過ぎれば上映時間の残りも少ないわけだが、それでもこれからのシナリオをどうするのかを考えることはできる。
自分だけの自分の映画。
ちょっと楽しんで見られるのではないだろうか。