藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

シェアはすぐそこまで。

中国政府機関の調査によると、15年のシェアサービスの市場規模は1兆9500億元(約32兆5000億円)と米国に次ぐもよう。

正直、これまで何度も渡中し、正直中国の人たちの「消費レベルが日本と同じになるまで」はもっと時間がかかると思っていた。
でもそれは大きな間違いだったかもしれない。

いったん「シェアする」とか「(食とかサービスの)安全とか」に目覚めれば、その方向性は一気に変わるのかもしれない。
つまり今の"日本とか先進国の感覚"にたちまち拍車がかかるわけで、

つまり「質のいい商品やサービスが受け入れられる」ということが一気に途上国にも広まることが予想される。

すると製品だけではなく、シェアを始めとする「サービスの世界」に一気に競争原理が入ってくることになる。

今までは先進国と言われる人たちが「自分たちだからこそ思いつき、実施できるサービス」と思っていたことを、それを理解した人たちが大挙してやってくるわけで、いよいよこれからがサービスのグローバル化の時代になるような気がする。

「いいこと」は常にマネされるわけで、だからさらに「マネのできないこと」を自分たちは考えていかねばならない。
安泰はなかなか来ないものである。

中国、シェア経済開花 自転車から家庭の味まで 消費の意識変化

 中国でシェアリング(共有)サービスが活況だ。海外でも定番となった自動車の相乗りや「民泊」に加え、乗り捨てできる自転車が急速に普及。家庭の味など個人の料理のお裾分けサービスも人気を集める。かつてのような経済の急成長が望めないなか、出費を抑えて快適に暮らしたいという消費者意識の高まりを国内発のベンチャー企業がとらえている。

スマホで自動決済

 お昼時の上海。20歳代の女性会社員が自転車にスマートフォンスマホ)をかざしていた。「昼休みに少し離れた人気のお店にランチに行こうと思って」。自転車のQRコードをスマホで読み取ると数秒でカギが外れ、食事に向かっていった。

 これは「摩拝単車(モバイク)」と呼ばれる自転車のシェアサービスだ。スマホの地図上で最寄りの自転車を見つけ、QRコードで解錠。乗り終わってカギをかけると、30分1元(約16円)の料金がスマホで自動決済される。初回に個人登録して299元の保証金を支払えば、通常は最少2回のスマホ操作で乗れる。

 銀色のフレームにオレンジ色のホイールという都会的な雰囲気と、どこでも乗り捨てられる利便性が受けて利用が急拡大している。

 モバイク社を2015年に創業した王暁峰・最高経営責任者(CEO)は、ライドシェア(相乗り)の米ウーバーテクノロジーズの上海代表も務めた人物だ。「中国では渋滞と大気汚染が年々深刻になる。自転車は双方の解決につながり、健康にもいい」と力説する。

 カギの部分には通信用のSIMカードを内蔵して自動解錠を可能にしたほか、全地球測位システム(GPS)で全自転車の所在地を把握する。タイヤは耐久性に優れ、空気補充が不要なチューブレス。すでに北京や広州などにサービス地域を広げ、計10万台以上を運用している。

■食あたりには補償

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 「安心でおいしい食事をみんなで共有しよう」。食事のシェアサービスを提供するのが「回家吃飯(フイジャーチーファン)」だ。スマホのアプリ上で、料理の腕自慢たちが料理の写真や価格、食材などを公開。ユーザーが配達場所と希望時間を入力すると、宅配業者が料理を届けてくれる。

 レストランの料理を宅配する出前アプリはすでに普及しているが、「回家」では個人が料理を提供する。いわば個人の「台所」と料理の腕前のシェアサービスだ。口コミなども参考に、家庭の味を手ごろな価格で楽しめるのが人気の秘密だ。

 同社は料理提供者を事前に審査。料理代金とは別に5元の保険料支払いを義務付け、食あたりなどトラブルの際には最大30万元を補償する。

 中国でシェアサービスが拡大する背景には、若者を中心とする消費マインドの変化がある。経済成長の減速を受けてメンツ重視型の消費が後退。シェアサービスで出費を抑え、余ったお金で映画や食事を楽しむなど、消費の成熟化が顕著だ。

 1元単位の少額決済が簡単にできるスマホ用アプリの普及も大きい。アリババ集団や騰訊控股(テンセント)の電子決済サービスが人気だ。中国では大学生の多くが4〜6人の相部屋で寮生活を送り、「日用品や食事を共有することに抵抗はない」(上海市内の男子学生)という習慣も背景にありそうだ。

■昨年は32兆円規模

 中国政府機関の調査によると、15年のシェアサービスの市場規模は1兆9500億元(約32兆5000億円)と米国に次ぐもよう。今後5年は毎年4割程度の伸びが見込まれるという。テンセントの馬化騰CEOは著書の中で「中国のシェア経済は黄金期に入った」と指摘する。

 米ウーバーのような相乗りサービスでは最大手の滴滴出行が人気だ。米エアビーアンドビーの「民泊」に相当するサービスは途家が提供している。外資でも独ダイムラーが16年から乗り捨て型のカーシェア事業を重慶市で始め、2カ月で8万人近い利用者登録を集めたという。

 シェア経済のうねりは「所有すること」に貪欲だった中国の消費者のこだわりの薄れを反映する。中国の消費市場を攻略する上でも重要なカギとなりそうだ。

(上海=小高航)