藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

味の時代に

sankei bizより。
コンビニやファストフード店のコーヒーがとても美味しくなっていて、しかも安いのには驚いたがコーヒー専門チェーンも差別化を図っているという。
一杯千円近い価格帯の"高級勝負"も始まっているといい、こうなってくると街場の喫茶店はますます努力を強いられることになりそうである。

茶店という業態は、日本でも永らく「コーヒーの味」はさほど消費者には問題にされずにここまで来たという感じがするが、いよいよ「味そのもの」が消費者の関心の中心になってきたのがここ数年だろうか。

もう十年も前上海に行った際、現地の友人が「今いちばんお洒落なのが、繁華街にあるスタバでラテを頼むこと」と言っていた。
当時のホワイトカラーの給料が月額で3万円程度だったからスタバのラテは日本で飲むより十倍くらいは高級な感じだったけれど、あんな風に格好から入って行き、浸透してから"味わい"に関心が移っていくのを見ていると、「コーヒーの味への関心」というのが文化程度の上昇につれて高まっていくように思える。

日本には何を隠そう「お茶の文化」があるけれど、ついにコーヒーが肩を並べてポジションを得る時代が来るような気がする。
贅沢な嗜好品ではあるけれど、文化とはそういうものなのだろう。

コーヒー各社乱戦 高価格、コラボ店舗…コンビニと差別化加速
1杯1000円近い高価格帯のこだわりコーヒーを提供したり、別の業態とコラボレーションする新たな取り組みがコーヒーチェーンなどで活発化している。低価格を武器とするコンビニエンスストアのいれたてコーヒーが爆発的にヒットする中、差別化を図る動きだ。コーヒーの国内消費量は現在、中学生以上が1人当たり1週間に平均で10杯強を飲む計算だが、それをもう1杯増やそうと各社の乱戦がさらに激しさを増してきた。

 1杯800円超の「ハワイコナ」のコーヒーは、通常のスターバックスコーヒー店とは違い、手でお湯を差し入れるハンドドリップ方式で丁寧にいれられる。東京・二子玉川の住宅街の外れにある「インスパイアード バイ スターバックス」はメニューとともに雰囲気も通常のスタバ店舗とは異なり、大きな窓で開放的な店内は明るく、テラス席もある。おなじみのダークグリーンの看板もない。

 機械で抽出するコーヒーも限られた店舗にしか導入されていない最新鋭のコーヒーマシンが使用され、エスプレッソは豆を選ぶこともできる。価格は400〜500円程度からと若干高めの印象だが、「特に高く設定しているのではなく、扱っているものが違う」(スターバックスコーヒージャパン広報)ためだ。

 オフィス街や繁華街の従来店舗と異なり「近隣住民にくつろげる空間を提供する」というコンセプトで住宅街に出店するインスパイアードは都内で3店舗に増え、人気を集めている。

 タリーズコーヒージャパンは今年2月、東京・表参道にオープンした旗艦店に産地別のコーヒーを専門のアドバイザーが客の好みを聞きながら提供する「シングルオリジン」カウンターを設置した。1杯580〜800円と高めだが、「1杯当たりの豆の量は他店の倍以上。生産者の情熱を感じてほしい」(同社広報)。来客数も順調に伸び、同様の店舗を増やす検討も進めているという。

 コーヒー卸大手のキーコーヒーは4月、3種類の新コンセプト店を一気に開店した。川崎市・武蔵小杉にはチョコレートケーキなどで有名な「トップス」と、独自のコーヒー豆熟成方法“氷温熟成”をネルドリップで提供するキーズカフェのコラボ店「キーズカフェ トップス」の1号店をオープンした。

 また、キーコーヒー傘下のイタリア料理チェーン、イタリアントマトによる新業態カフェ「ファリ・ブール」の初の店舗を東京駅八重洲地下街にオープン。ハンドドリップコーヒーにキッシュやタルトを豊富に取りそろえた。カナダ発のカフェ「ブレンズコーヒー」のフランチャイズ展開に向けたモデル店もグループ会社が東京・田町に出店。エスプレッソの表面にミルクで絵を描く“ラテアート”の模様を客に合わせて作るのが特徴だ。

 キーコーヒーの小沢信宏取締役は「グループの飲食ノウハウやリソースを有効活用し、他企業のブランドとの連携で価値を高めることができる」と、同様の店舗を拡充する方針を示す。

 コンビニコーヒーの躍進もあり、コーヒーの国内消費量は13年に前年比4.3%増の約44万6000トンと過去最高を記録。帝国データバンクによると喫茶店を経営する全国1097社の12年度の売上高合計は前年度比4.3%増と2年連続で伸びた。「業種・業態の垣根を越え、さまざまな場所でコーヒーが提供され、飲用する機会が増えてきた」(小沢氏)

 高価格帯のこだわりコーヒーやコラボ店舗などの増加も、低価格コーヒーに対抗するというよりは、「国民的飲料になってきた」(業界関係者)というコーヒー人気の高まりを機に、新たな提案で一層の需要を開拓しようという各社の思惑が強い。増えたといっても日本人のコーヒー消費量は1人当たり年間3キロ強で欧米よりも大幅に少なく、需要拡大の余地は大きい。

 米国では、コーヒー豆の産地やいれ方に徹底的にこだわる「サードウエーブコーヒー」の台頭が著しい。その筆頭格で、グーグル傘下のベンチャーキャピタルなどが出資する「ブルーボトルコーヒー」が近く東京に進出する見通しだ。焙煎(ばいせん)所を併設し、焙煎したてのコーヒーを提供するこだわりぶりで、業界では「黒船襲来」ともささやかれる。次々と新たな刺激が加わる競争を通じ、コーヒー市場の拡大は当面続きそうだ。(池誠二郎)