藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

時間を感じる

*[次の世代に]人生の感覚。
先日、中学時代の友人たちとの久しぶりの飲み会の席にて。
「そういや昔、フジノの部屋の壁にでっかい字で『時間銀行はない!』て書いて貼ってあったなー。あれ爆笑したわ。」
なに爆笑してんねん。
でなんと。
中学時代にすでにそんな感覚を持っていた俺。
今よりよっぽど大人ですね。
しかしその後、時間銀行がないことを知りながら、私はどこをどうスベってきたのか…
 
光陰矢の如し。
中国の故事で、古すぎて出典は不明らしい。
人生40年時代にこの発想。
おそらく格言としては最古の部類に入るだろう。
 
さらにどうも人生はこれから「100年時代」になるらしい。
それでも光陰矢の如しか。
それでいいのか。
 
そう時間の使い方だ。
えらい先輩たち曰く、(戦争などの)事件や大病で「死」を覚悟すると、その後の人生が変わったと聞く。
これぞ自分たちの一番苦手な「相対感覚」だ。
今が健康で大病してなければ、「およそ永遠に人生は続く」かのごとく過ごしている。
でも平均寿命があと三十年しかないことは知っている。
そう「その30年」を相対的に捉えられないのだ。
こういう場合、やはり年表など作って無理やりにでも「自分の残り時間を可視化する」しかないと思う。
 
たかだか残り三十年。
一年×30回だ。
十年単位なら、たった3回。
それでお終いである。 
二十代の若者でも「あと6回」とか。
決して無限ではない。
味わって使わねば。
 
 
 
 
 
 
 

 

ただのデジタル屋ではなく。

*[ウェブ進化論]文化的なIT企業へ
FacebookがAIを使って"ミーム"を研究しているという。
ミームとは「文化を形成する遺伝子のようなもの」らしい。
つまり人の価値観を構成している個々の行動とか、習慣とかいうもののようだ。(wikiより)
 
当面は不正コンテンツのあぶり出しが目的だという。
膨大なデータの集まる巨人らしい話だが、それはともかく。
 
月のユーザー23億人のFacebookや傘下のInstagramやWhatsAppやMessengerで集まる発言や画像をつぶさに観察し、蓄積していけば「ある種のミーム」が分かってくるに違いない。
昔の日本で(新日本書紀とか太平記とか源氏物語とか)その時代のわずかな書物から、その時代のことを類推するような作業が、これからは無限に正確にできるだろう。それがデジタルだ。
多分システムは無くならないから、これから千年も経った後には「人の文化的整体」とか「生物学的な変化」などははっきりと分かるようになるのではないだろうか。
 
自分がそのころに生きていないのは残念だが、デジタルデータの集積が、将来は「人の分析」に役に立つのならば、技術というのは実に素晴らしい。
Facebookは色々と批判もされているが、文化に貢献していく企業を標榜するべきではないだろうか。

Facebookの「ロゼッタ」システムは、ミームの認識を容易にする

9/12(水) 10:44配信
 
 
ミームはウェブの言語であり、Facebookはそれをもっと理解したいと思っている。
 
FacebookのAIチームはここ数年、コンピュータービジョンと自然言語認識の両分野で目覚ましい進歩を遂げてきた。今日(米国時間9/11)同チームは、ふたつの分野の進歩を融合する最新の成果を発表した。新しいシステムはコードネームを "Rosetta" といい、FacebookInstagramで画像内テキストを認識して、被写体がなんであるかを理解し分類を容易にすることによって検索や不正コンテンツの識別に役立てる。
 
ミームばかりではない。ツールは10億以上の画像とビデオフレームを、毎日複数言語にわたってリアルタイムで解析する、と同社はブログに書いている。
 
Rosetta光学文字認識OCR)の最新技術を活用している。まず画像をスキャンしてテキストの存在を検出し、文字がバウンディングボックスの中に置かれる。つぎに畳み込みニューラルネットワークを用いた分析によって、文字を認識し何を伝えようとしているのかを判定する。
 
 
このテクノロジーはしばらく前から使われていたが――FacebookOCRに2015年から取り組んでいる――同社の巨大なネットワーク全体に展開することは、狂気レベルのスケールを必要とするため、文字検出と認識に関して新しい戦略を考える動機が生まれた。
 
技術面に興味のある人には、チームの書いた論文がある。
 
Facebookには、ビデオや写真に写ったテキストに興味を持つ理由が山ほどある。同社のコンテンツモデレーション[コンテンツの監視]の必要性に関しては特にそうだ。
 
の識別は、写真の説明テキストが"Bruh!!! 🤣🤣🤣" や "1 like = 1 prayer" (いいね! 1回=祈り1回)のようなものなら比較的単純だが、Facebookの "time well spent"[有意義な時間]推進のためのアルゴリズム変更によって、タイムラインには似たような技巧を用いたビデオや写真が増えている。同じことはヘイトスピーチにも言える。あらゆるメッセージが1つの写真やビデオに埋め込まれていたらシェアは容易だ。字幕機能が便利なツールになる。
 
同社によると、現在このシステムは複数言語対応という新しい課題をもたらしている。現在は言語を統一したモデルによって動いていて、訓練データの大部分はラテン文字を使っている。同社の研究論文によると、現在既存データベースの最目的化によって新言語をサポートするための戦略を検討しているという。
 
Facebookは人間監視役の負荷を減らし、ニュースフィードアルゴリズムが分類結果に応じてコンテンツを選べるようしたいと考えている。こうしたツールは、Facebookが有害コンテンツを識別し、より興味深いコンテンツをユーザーに見せるうえで大きな可能性を持っている。
 
(翻訳:Nob Takahashi / facebook
 

 

冒険する心

*[次の世代に]見えぬ相手

実際に冒険や旅行にはほとんど行きませんが。
目の前にパズルがあると、解いてみたくなるタイプ。
実は世の中は二種類の人種に分かれているのじゃないだろうか。
ハナから、問題を解決する気がない人と
問題解決にしか関心のない人。
あ、あと「何が問題かわからない人」もいる。
三種類だ。
目の前に、解決不能といわれる課題がある。
「さあ、君はできるか」と問われればチャレンジせずにはいられない。
ちょっと無謀なことでもやってみたい。
うずうず。
やれない理由が、あるのなら自分で知りたい。
そんな風に挑む相手があるなんて、とちょっと燃え上がる。
逆に「挑む相手のない恐怖」は厄介だ。
というか世の中でぶちあたる問題のほとんどは「何が問題かがはっきりしない」ものばかりである。
色々色々考えて。
「あ、これが原因じゃない?」と分かったら、もう解決したも同然。
つまり世の中のことは「問題となる相手」を探すことにコツがありそうだ。
改めて、今の問題は何だろう。
そして将来の問題とは何だろうか。

逆境を求められるか

*[次の世代に]習慣にすること。
富や名声ではなく。
人は最終的には「自らの人間的成長」を求めるのだという。
意識せずして、というか本来のマゾ的な性質だろうか。
 
お金があろうがなかろうが、恋人がいようがいまいが。
確かに「自分が少しでも成長しているな」と感じられれば力になる。
他人に影響されない「自分の世界」でもある。
すると「肉体的・精神的に楽な「ぬるま湯」に自分を置いておいてはいけない」ということになる。
せっかく楽なのに。

 仕事の改善を考える、とか

新しいサービスを考える、とか
好きなものを好きなだけは食べない、とか
そういう何かを「自分に課す」という行為がどうにも必要になる。
 
けれどけれど。
そのプレッシャーがあまりに強すぎて、自分が折れてしまっては元も子もない。
自分で自分を「"適度な逆境"に起き続ける技術」が大事なのだと思う。
これは難儀です。
これはもう「そういう姿勢」を自分に躾けて行くしかなさそうだ。
そうだ、それが習慣になるのでしょう。
 

 

独占と分散

*[次の世代に]いよいよブロックチェーン
ビットコインが世に出て十年。
(先日また100万円を超えた)
それはともかく。
いまひとつビットコインがメジャー通貨になる気配がない。
記事にもあるが、これからの普及のキモは「ブロックチェーンを使った〇〇」になりそうだ。
もっとも、集中管理は効率的で、寡占・独占も利便性と結びつく。
反対に分散や分権は非効率になりがちだ。(記事より)

これだけ通信のやり取りが増え、しかも一番大事な「金の送金」には手数料がかかる。

その手数料が新技術で「銀行を飛ばす」というのがモデルの核心だ。
すでに新興国ではそうした"スマホ送金"が実用化しているという。
一週遅れで先進国にも一気に入ってくるだろう。
その時に使われるのは「銀行系の仮想通貨」だろうか。
それとも「新興業者の仮想通貨」だろうか。
それとも「優良企業の発行する仮想通貨」だろうか。
それとも「ベンチャーファンドの発行する仮想通貨」だろうか。
 
GAFAの「情報寡占化に伴うリスクや悪用」という問題も解決できるかもしれない。
「個別の確かな通信手段」と「中央集中管理」は共存できるのではないだろうか。
"情報管理"で手数料を得てきた銀行などには、お寒い将来だと思う。
 
ブロックチェーン分散の利点 GAFA寡占の弊害克服
2019年1月13日 18:00
2009年1月3日にサトシ・ナカモトと名乗る技術者集団が最初のビットコインを"鋳造"してから10年がたった。
17年後半の高騰の後1年あまり値下がりが続くビットコイン価格の行方に関心が集まる。だが、今経営者が注目すべきはビットコインそのものよりむしろ、その基盤として発明されたブロックチェーン(分散型台帳)技術の方だろう。インターネットを基盤とする巨大企業による寡占の進行で、情報の分散・自律処理の仕組みであるブロックチェーン技術の存在意義が高まってきたからだ。
GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)に代表される巨大IT企業は、それぞれ単一企業が中央集権的に億人単位の利用者のネットワークを運営・管理する。小さな間違い一つで膨大な量の個人データが流出したり第三者に悪用されたりする。集中管理のシステムが壊れれば全体が動かなくなる。
つまりフェイスブック個人情報流出などの不祥事で浮かび上がったのは、個別企業の善しあしよりも、世界の多くのネット利用者のデータを一握りの企業が集中管理している今の状態そのものにリスクがある点だ。米司法省や連邦議員はネットの各分野で成立しつつある独占状態を問題視し始めたといわれる。
もっとも、集中管理は効率的で、寡占・独占も利便性と結びつく。反対に分散や分権は非効率になりがちだ。一企業の製品であるウィンドウズの独占でパソコンの利便性が飛躍的に高まったのは代表例。権力が分散する民主主義の方が集中している独裁制より意思決定に手間と時間がかかる。
このため集中や寡占の弊害を克服するには利便性と分権・分散を両立できる新たな仕組みが求められる。そこで、中央管理者のいない分散型ネットワークの構造で、経済取引などの各種情報処理をネットワーク全体で自律的に進められるブロックチェーン技術をうまく活用すれば、個人にとって安全で利便性も高い仕組みの実現に道が開ける可能性があるのだ。
ブロックチェーンの記録内容は、運営参加者全員が全く同じものを分散共有し、全員で同じ内容を書き込んで更新していく。各運営参加者の更新作業は、設計者があらかじめプログラムしておいたアルゴリズム(処理内容を決めて実行し記録する手順書)に従って自律的に実行される。一個人や一企業の独断や間違いに全体が左右されることがないようにできている。
用途は仮想通貨の台帳だけでなく、各種ソフトウエアの記述・実行の基盤としても使える。今は処理速度が遅いが、高速大量処理の技術開発が急ピッチで進んでいる。その開発が進めば「分散型でも効率的な基盤技術になり得る」と、代表的な汎用型ブロックチェーンであるイーサリアムを考案したビタリック・ブテリン氏は説明する。
ウェブや電子メールの登場でインターネットの普及が進んだように、誰もが使いたがる強力な応用サービスを開発できれば、ブロックチェーンの普及は一気に進む可能性がある。今、目の前に広がる巨大なビジネスチャンスである。
 

 

サイバー世界の鉄道。

*[ウェブ進化論]寡占はこれから
IT業界を独占するGAFA規制について。
日本でも戦後財閥解体(今でもあるけど)とか公社の民営化とかあったのだろうけれど。
こうした話は欧米が進んでいる。
不透明なバーター取引(「無料」でサービスを提供する代わりに利用者のデータを得る)を手掛ける各プラットフォームで、これ(反トラスト法違反)を証明するのは難しい。かくしてゲートキーパーは成長し続けるわけだ。

 昔と縮図は同じでも、規模とスピードが違う。

今の話はサイバー空間のことだ。線路の敷設に時間はかからない。
しかも昔の鉄道時代と違い、GAFAは「サービスを丸ごと取り込む」スタイルだ。
鉄道とサービスを分けるように、amazongoogleを解体しては「ユーザーから見たメリット」が実は損なわれるような状態になっている。  
つまり「プラットフォーマーは、より寡占化して他業種を取り込むことで、ますますユーザーにメリットをもたらす」優良企業という位置付けだ。
 
プラットフォーマーが独占することで、より安く良いサービスを提供するのだとしたら。
さて独占は、良いのか悪いのか。
 
自分はこれからもGAFAと言われる企業たちが、その振る舞いを「ユーザー目線」で提供する限りは独占は続くのではないかと思う。
これは効率の話だ。
そして行き着くところまで行ってから、「いよいよ解体」となるのではないだろうか。
仮想通貨も決済も認証も、ようやくこれからが本番だ。
ただこういう発想でGAFAを眺めておく目線は重要なことだと思う。
 
[FT]GAFA規制、19世紀の鉄道問題に解あり
2019/6/21 2:00 (2019/6/21 2:01更新)
 インターネットはかつての鉄道と同様、今や世界の多くの商取引やコミュニケーションに不可欠な公共インフラとなっている。だが、ネットを支配しているのは民間の営利企業だ。そしてかつての鉄道各社と同じように、そのIT(情報技術)大手各社も独占という問題に直面している。
Matt Kenyon/Financial Times
 国際通貨基金IMF)のラガルド専務理事や、米司法省の反トラスト法(日本の独占禁止法に相当)部門のトップを務めるデラヒム司法次官補など、各方面からIT大手が握る権力について警告が最近相次いでいることを踏まえると、これは慎重に考えるべき問題だ。
 デラヒム氏は12日、講演でこうした「ゲートキーパー」がもたらす課題について、19世紀の鉄道各社による独禁法違反問題に触れながら説明した。また、米司法省と米連邦取引委員会(FTC)はこのほど、米ITの大手グーグル、アマゾン・ドット・コムフェイスブック(FB)、アップルに対する調査について役割分担を決めた。
 だが、注目すべきは米下院司法委員会の動きだろう。同委員会は、巨大IT各社に一定の歯止めをかけるべく、現行の反トラスト法の規則を改定する必要があるかどうか独自に調査を進めると発表した。従って、司法委員会は今後1年半ほどかけて公聴会を開き、関係者によるとIT業界の有力幹部や前述の4社に抑え付けられたとする競合他社に聞き取り調査したり、証言を求めたりするという。
■19世紀の鉄道各社による独占に酷似
 司法委員会の議員らが、この問題を考えるにあたっては、チャールズ・フランシス・アダムズ氏が1878年に出版した「鉄道 その起源と問題」を読むと非常に参考になるだろう。同氏は、かつては鉄道会社の幹部を務めていたが、その後、規制当局側に転じた。本は簡潔で、驚くほどわかりやすい。
 アダムズ氏は同著の中で、欧州と米国で鉄道各社がどのように少しずつ力を持つようになり、19世紀にその独占を維持しようとする一握りの実業家たちを、鉄道を一般社会の人々にとって有用な存在にするのにいかに苦労して協力させるに至ったかを描いている。
 アダムズ氏は「鉄道の問題」と題した章で、当時の規制状況をこう説明している。「鉄道産業の発展を振り返ると、産業を巡る法律や規制は存在しているが、鉄道を所有し、その輸送も独占している人々による主要路線の使い方、運営の仕方は、よくいってもうまく機能しているとはいえないのは今や明白だ」
 この章の題名を「ネットの問題」に変えて読めば、我々が今直面している産業の構造とその問題を的確に把握できる。アマゾンは米ネット通販の消費額の3分の1以上を占めているし、グーグルは米検索エンジン市場の88%、モバイル検索では95%のシェアを握る。米国民の3分の2がFBに登録しており、同社は写真共有アプリの「インスタグラム」や対話アプリの「ワッツアップ」を買収し、SNS(交流サイト)アプリ上位8つのうちの4つを所有している。
 これら3社と、世界で初めて時価総額が1兆ドル(約107兆円)を超えたアップルは、自らが築いた巨大なエコシステム(生態系)を利用して、自社の製品やサービスを優遇し、競合他社をネットワークから排除しているとして批判を浴びている。
 1970年代以降、米規制当局にとってのネックは、米国の判例では独占状態が原因で価格が上がっていると証明できなければ、反トラスト法の裁判で勝訴するのは困難になっている点だ。不透明なバーター取引(「無料」でサービスを提供する代わりに利用者のデータを得る)を手掛ける各プラットフォームで、これを証明するのは難しい。かくしてゲートキーパーは成長し続けるわけだ。
■プラットフォームと商取引は分離すべきだ
 だが、潮目は変わりつつあるようだ。反トラスト法、商法、行政法を管轄する下院小委員会で働く競争法の専門家、リナ・カーン氏は新たな論文で、鉄道問題とIT大手各社の問題を鋭く比較している。彼女は、もっと公正で、競争できるデジタル環境を整えるには、プラットフォームと商取引を分離する必要があると結論づけている。
 この考え方は、次期大統領選で民主党候補の指名獲得争いに名乗りを上げるエリザベス・ウォーレン氏らも推進している。ウォーレン氏も巨大IT企業を鉄道会社と比べ、世界の売上高が250億ドルを超えるIT企業については、プラットフォームという「公共財」を所有する一方で、そのプラットフォームの参加者にもなることを認めるべきではないとしている。
 この点は、市場を築いてかつ支配するのを防ぐために、鉄道各社に適用された分離策を思い出させる。
 例えば、1900年には米鉄道6社が無煙炭市場の90%を握っていたため、無煙炭は高騰し、鉄道各社は莫大な利益を上げていた。そのため、独立系の石炭各社が6社の鉄道を使って製品を輸送することは極めて難しかった。
■独占を許すことは国の支配につながる
 この問題は結局、プラットフォーム(輸送手段を提供する鉄道各社)と商取引をする企業は分離しなければならないと定めた「コモディティー条項」によって是正された。こうした分離策はその後、銀行など他の分野にも広がり、銀行持ち株会社が様々な業界で顧客と競合するのを阻止した。2013年に発覚した米金融大手ゴールドマン・サックスが何万トンものアルミニウムを購入し、これを複数の倉庫の間を移動させ、アルミの供給を操作していたとする不正保管疑惑を追及する根拠となったのもこの原則だ。
 これらと同じ基準を今の巨大IT企業に適用すべきなのは明らかだ。もっとも、IT各社が今後何カ月も、この動きを阻止しようとロビー活動に全力を挙げるのは間違いない。
 アダムズ氏が19世紀に指摘したように、鉄道会社が石炭をはじめ様々な産業を支配していくことになった「プラットフォームと商取引を一体化するプロセス」はかなり進行していたため、当時、「もし国が鉄道各社による独占問題に対応しなければ、鉄道各社が国を支配する時代が到来する」とまでいわれた。
 今後の巨大ITの規制を巡る攻防をみれば、今の産業界の巨人が米国の政治システムを既に支配しているのかどうかが明らかになるだろう。
By Rana Foroohar
(2019年6月17日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/
(c) The Financial Times Limited 2019. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

法に触れるか触れないか。

*[次の世代に]ルールからの脱皮
自由の国アメリカ、とは言っても資本主義のほころびは沢山あるらしい。
商業資本主義を終わりにして「社会資本主義を」というのは当然の流れのようだ。
エリートにとって最も強い自制心は羞恥心ではなかろうか。恥ずかしいという概念がなければ、何をしても構わなくなる。

 アメリカは大戦後、いち早く世界に先駆けて「国際司法」を戦略的に整えたという。

実に利口なやり方だが「法のうちならなんでもあり」あるいは「争う前提で狼藉を働く」という姿勢がハナにつく。
結果「金が物を言う部分」が行き過ぎていて、国内の格差問題や海外での役割も変わりつつある。
「儲からないことはやらない」ということが、いかにさもしいか。
「合法で有利になるなら、なんでもやる」ということがいかに浅ましいか。

 他民族や多国籍の人たちが競い合うためには「ルール」が必要だが、

ルールにだけ従えば何をしても良い、ということではない。
ルールは「最低限を定めたもの」だと思ったほうがいいだろう。

法律もつまりは「公序良俗(道徳観)」がその本質だという。

業績さえあげればよし。
論文や実験結果を出せばよし。
稼げばよし。
という「スコアの社会」からそろそろ脱皮する時期が来ているのではないだろうか。
今の若い人を見れば、そんな一昔前の価値観とは違うのがよく分かる。
なんの競争もない社会もよくないが、"競争だけの社会"はもう終わってもいいのではないだろうか。
 
 
米社会 偽りの能力主義
2019年6月18日 17:00
「上達するまでは何事も楽しくはならない」と米エール大法科大学院のエイミー・チュア教授は自著「タイガー・マザー」(邦題)で書いた。2人の娘に自国、中国流の厳格なスパルタ教育を施したという自らの回顧録が全米で賛否両論を巻き起こしてから8年。チュア氏は今も猛烈な教育ママぶりを発揮、注目を集めている。
11日、同氏の娘ソフィア・チュア・ルーベンフェルド氏がブレット・カバノー最高裁判事に書記官として採用されたことが明らかになった。カバノー氏は昨年、トランプ大統領に判事に指名された後、高校時代の性的暴行疑惑が浮上したため、その承認を巡り議会の公聴会は荒れた。だがチュア氏が米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)にカバノー氏が若手女性弁護士の指導者としていかに素晴らしいかという評論を寄稿したことも影響し、最終的には承認された。
アジア系米国人がハーバード大を相手に「誰でも平等に教育を受ける権利」を求めて起こした集団訴訟の行方が注目を集めている=ロイター
チュア氏は抜け目のないやり手だ。若い弁護士にとって最高裁の書記官としてスタートすることは、弁護士としてその将来をほぼ保証されたようなものだ。本人が世間の注目を集めていることをどう思っているかは分からないが、同母娘は一夜にして、米国の能力主義がいかに信頼できないものかを象徴する存在となった。
チュア氏が影響力のある人にすり寄るのは意外ではない。同氏はリベラル派の学者と見られていたが、大手メディアの紙面という公的な場を使い保守派判事のカバノー氏を称賛するという信じがたい行動を取った。エール大の卒業生を誰もが望む最高裁書記官として送り込む学内委員会を率いる立場でWSJに寄稿したことは、カバノー氏の信用度を大いに高めた。

見返り期待の称賛は合法

この見返りを期待した見え透いた行為に何ら違法性はない。一方、米俳優ロリ・ロックリンとフェリシティ・ハフマン両氏は、我が子を一流大学に入学させるため、虚偽の内容を大学に郵送したとして今年3月に起訴された。
米人気ドラマ「フルハウス」に出演したロックリン氏は娘2人を南カリフォルニア大学に入学させるため、50万ドル(約5400万円)を業者に支払い、高校時代にやってもいなかったスポーツの実績をでっち上げ入学申請書を作成した疑いが持たれている。ハフマン氏は1万5千ドルを支払い、娘の大学進学適性試験(SAT)の点数を水増しさせたと認めている。
連邦捜査局(FBI)が「バーシティー・ブルース作戦」と名付けたこの多数の著名人による大学不正入学事件により、このハリウッド俳優2人と、ロックリン氏の夫は懲役刑を受ける可能性もある。
米国人がチュア氏の寄稿や大学不正入学事件を巡り、どこまでやると問題なのか、もはや分からなくなっているのも無理もない。
単純計算では、平均的米国人が一流大学に入学できる可能性は、恵まれた家庭に生まれない限りわずかしかない。これまでの研究では、低所得家庭出身で数学の成績が上位25%に入る8年生(14歳)は、高所得家庭出身で成績が下位25%の子どもより卒業できる確率が低い。
能力主義のあるべき姿と正反対になっているのが今の実態だ。アイビーリーグ東海岸の有名私立大学)の学生数をみても、所得が上位1%の富裕層の出身者の方が、下位60%の家庭の出身者より多い。チュア氏の娘のように社会的に大成功し教育熱心な両親のもとに生まれれば、向かうところ敵なしだ。
世の中にはこういう面もあるが、米国の大学に入るにはさらに3つの障壁がある。

卒業生の子どもや孫を優先

第1は「レガシー制度」だ。他の多くの民主主義国と違い、米一流大学は両親や祖父母を卒業生に持つ受験生を優遇する。「世襲優先」と呼ぶ方がふさわしいこの制度は、米国が掲げる理念とは対極にある。アイビーリーグでも、学生の約6人に1人は卒業生の子弟だ。そのしわ寄せで、優秀なのに恵まれない家庭出身の子どもが入学できる可能性はひどく狭められている。
第2は積極的差別是正措置(アファーマティブ・アクション)だ。米裁判所が近く、アジア系米国人がハーバード大学を相手に起こした集団訴訟の判決を下す。同大は人種差別と見なされないように、かなりの入学枠をヒスパニック系とアフリカ系米国人に割り当てている。だが、原告のアジア系受験生らはその分、自分たちの入学を認められず差別されていると主張している。ヒスパニック系やアフリカ系受験生の中には、卒業生の子供もいるという事実も二重の意味で皮肉だ。
裁判でどんな判決が出ても、この裁判は最高裁まで争われるだろう。そうなればエール大で「レガシー」学生だったカバノー氏が、アファーマティブ・アクションの存続に関してキャスチングボートを握る可能性があり、それもまた皮肉に満ちた話だ。
第3は莫大な富が持つ容赦ない力だ。もし図書館や医学研究所を寄付する人が出てきたら、大学は万難を排してその子女を入学させて報いるだろう。典型例がトランプ大統領の娘婿ジャレッド・クシュナー氏だ。SATの点数が低かった同氏がハーバード大に入学できたのは、クシュナー氏の父が同大に250万ドルを寄付したからだと批判する人も多い。

賄賂まがいの寄付も課税控除対象に

しかも、米国の税制では、こうした大学への賄賂まがいの寄付でも課税控除対象となる。
米一流大学の側にも問題がある。今や大学が受け取る寄付額はいくつかの国の経済規模より大きい。例えば、ハーバード大が集めた380億ドルに上る寄付総額はエルサルバドルニカラグア国内総生産の合計より多い。それでも大学の野心は止まることがない。
一連の大学不正入学事件で起訴された著名人で最も悪質なのが米投資ファンドTPGの元パートナー、ウィリアム・マクグラシャン氏だ。同氏は息子を一流大学に入れるため、25万ドルを不正に使ったとされる。同氏はTPGで「資本主義を生かし社会貢献度の高い投資をしよう」というファンドの責任者だった。
「社会的に善いことをし、かつ自分も利益を得られる」。これが同ファンドのうたい文句だった。チュア氏の話に戻れば、エリートにとって最も強い自制心は羞恥心ではなかろうか。恥ずかしいという概念がなければ、何をしても構わなくなる。
米国人なら誰でも大学入試が不正に操作されていると気付いているだろう。何が違うかといえば、法に触れない範囲で不正をするのか、法を犯してまで不正をするのかという違いがあるだけだ。
By Edward Luce
(2019年6月13日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)本コンテンツの無断転載、配信、共有利用を禁止します。

男の乳首「チクポコ」

*[次の世代に]隠すか露出か。
日経にしてこの話題。
世間は平和なのでしょうか。
シャツの「乳首の透け」に不満を持った男性が、起業。
クラウドファンディングで下着を開発し、一万円ほどのインナーが完売したという。

 製品はさらに進化し、より薄くより廉価な製品が好評だという。

 
それにしても、日本男性の"乳首シルエット"は女性に超不人気らしい。
知らなかった。
リチャードギアならいいのか。
また欧米の男女はまた驚くほど気にしない。
インバウンドの旅行者の女性も自分の乳首シルエットはあまり気にならないらしい。
 
これってなんなのだろう。
日本人が羞恥心レベルが高いのだろうか。
肌の露出にもっと厳しいイスラムとかとはまた違うのか。
いやむしろ「隠す」から気になるんじゃないのか。
 
一度日本でも「乳首露出運動」とかしてみたらどうだろう。
案外気にならなくなるのではないか。
でも。
「こういうシャツが売れること」が日本という国の美徳なのかもしれない。
さり気ない気遣い、てやつだ。
 
クールビズ時代の「ポコ」対策 男性奮闘(日経MJ
2019年6月16日 0:29
本格的な夏が近づき「クールビズ」を導入する職場が増えた。と同時に、静かに存在感を増し始めるのが、男性の胸元に現れる、アレ――シャツの下からポッコリ浮き上がる乳首だ。職場の身だしなみとしてはNGだと考える女性が多数という。クールじゃない「ポコ」問題を解決しようと、戦いを挑む男たちが現れた。
夏の仕事着としてポロシャツを着る男性も少なくない

「隠す」インナー CFで商品化

「人に見られたくないな、といったん思い始めたらずっと気になって」。川尻大介さん(40)は「ポコ」に悩まされてきた1人だ。
結婚を機に太ったことで、インナーシャツを着てもワイシャツごしに突起が分かる状態になったという。厚手のTシャツを着てみたり、ばんそうこうを貼ったり工夫したが、うまく隠れなかった。地球温暖化も川尻氏にさらなる追い打ちをかける。「既製品のインナーが、どんどん薄くなっていくんです」
浮き出てます……
思いあまった川尻氏は一念発起し、2017年6月にゼロプラス(現・天煌堂、東京・中央)を起業。浮き上がる乳首を隠すインナー「NoPoints(ノーポインツ)」の開発に着手した。特徴はインナーの内側、肩から胸部分に貼り付けたメッシュ生地。素材の凹凸が突起部分「チクポコ」を隠す。
マクアケ(東京・渋谷)が運営するクラウドファンディング(CF)サイトで製作資金を調達。今治市にある衣料品メーカーと組み、ノーポインツの製作を始めた。CFの目標金額を達成した後もマクアケストアで販売を続け、9640円(送料込み)と高額にもかかわらずほぼ完売した。
天煌堂の乳首が透けない男性用インナーシャツ「NoPoints」
「NoPoints」を着用してポロシャツを着ると突起が見えなくなる
ノーポインツを3枚購入した東京都の専門商社役員、飯田大三郎さん(38)は「これで堂々と上着を脱げる」と胸をなで下ろす。これまでは「ポコ」を気にして真夏でも暑さをガマンして上着で隠していた。「ゴルフの際もポロシャツの下に愛用している」と話す。
海外在住の会社員、平田裕さん(38)も「下着にしては高いが、機能性下着という認識」だ。
川尻さんは反響の高さを受け、7日から再びマクアケでCFを始めた。「分厚い」「値段が高い」という課題を解決すべく、生地を薄くした上で隠せる「バージョン2」を製作した。価格も送料込みで7500円に下げ、販売数も前回の200着から8倍、黒とベージュの2色あわせて1600着を用意する。

「本人には指摘しづらい」

仕事着が軽装になり、オフィスでシャツ1枚で過ごす男性が多くなった。と同時に、乳首の「ポコ」が働く男女の間で隠れたホットトピックスになっている。
都内で働く40代女性は、「女性だけの飲み会で『アレ、最悪だよね』と話題になる」と明かす。女性の勤務先はクールビズ推奨。夏はノージャケットが基本なので、なおさら目に付くようになった。「だけど、本人に指摘したことはない。他人だし言いづらい」。
別の40代女性会社員は「ポコ」状態の同僚にやんわりと指摘したところ、意図が伝わらなかったどころか「ワイシャツは本来下着。下に何も着ないのが海外では礼儀」だと逆に諭された。「だったら海外マナーにのっとって上着も脱がずにいてほしい……」とぼやく。
都内在住の塚本泰正さん(30)は「夏場とか満員電車で見ちゃうとちょっと不快ですよね。『うわぁ、出てるなぁ』って」と話し、自身も気をつけようと思うそうだ。
結婚相手紹介サービスのオーネット(東京・世田谷)が5月に20~34歳の男女3255人を対象にした調査では、「夏の身だしなみでNGだと思うもの」として「乳首の目立つシャツ」が堂々の1位に。全体では44%だが女性に絞ると58%にのぼった。女性の冷ややかな目線をきっかけに、男性が自覚する側面もありそうだ。
小久保工業所の「メンズニップノン」で対策を講じる男性も
小久保工業所(和歌山県海南市)のメンズニップノンは3セット189円。「部活動にいそしむティーンエージャーも購入しているようだ」(同社)。グンゼのTシャツ専用インナー「in.T(インティー)」のヒットも、「ポコ」問題に悩む男性の心をつかみヒットにつながった。
これからますます暑くなる。小さいけれど無視できない悩みを解決して、クールな夏を送りませんか?
(松本千恵)
[日経MJ2019年6月9日付掲載]

脳をマネろ

*[ウェブ進化論]究極のテーマ。
自分は今のAIは実は全然「知能」とは別物だと思っている。
(ただし処理の量や質はもうヒトの勝負になるレベルではないけど)
人とAIの違いの一つは「データがなくても判断できるかどうか」だという。
直感とかヤマ勘だ。
「人間は脳全体にはフィードバックしていない」(篠崎研究員)。新型AIは、判断結果の出力側だけに学んだ内容をフィードバックさせ、仕組みとして脳に近い。

なるほどなるほど。

つまり人間の方がよほど「要領がいい」らしい。さらに
「人間の脳の神経細胞同士をつなぐ軸索の長さの合計は10万キロメートル以上」とあるが、それよりも驚異的なのはエネルギー効率だ。
一方で、脳の消費エネルギーは20ワットと京の60万分の1だ。脳は多様な判断ができるエネルギー消費が極端に少ない"計算機"とも言える。

すごい。

お、思わず創造主の存在を感じずにはいられなくないですか。
その神の創り給うた生命を、なんとか人間たちが真似しようとしている。(けなげ)
これ(デジタル処理)に対し、脳内の神経細胞は電気的状態に応じて起こる電気信号で情報をやり取りするアナログ処理で動いており、仕組みが異なる。
東芝半導体回路をアナログ処理に対応させ、AIを脳の仕組みに近づけた。

 さらに

IBMも100万個の神経細胞を模した半導体回路を開発。現在のパソコンのようにメモリーから取り出した情報を毎回、CPU(中央演算処理装置)で処理するのではなく、脳のように回路同士で電気信号をやり取りし、情報処理して消費電力を抑えられる。 

脳を真似することによって「脳がなぜ脳なのか」という疑問が少しづつ明らかになってきている。

人が生命を作れるかはともかく(それだって大分進んでいるらしいですが)、「脳の動きをそっくり真似るコンピュータ」はそう遠くないうちに実現するのではないだろうか。
それこそが人工知能なのに違いない。
 
AI、脳により近く 情通機構、少ない手本で学習/東芝、空間認知機能を再現
2019年6月16日 17:00
脳をまねてできた人工知能(AI)を、さらに脳に近づける研究が進んでいる。情報通信研究機構は人間の脳のように、少ない手本でも学習できるAIを開発し、東芝は脳で空間を把握する部位の一部をAIで再現した。柔軟な思考ができ、エネルギー消費が少ない脳の強みを取り込み、対話ロボット開発など正解のない分野にAIを浸透させる動きが加速しそうだ。
東芝は海馬の神経細胞の働きの一部をAI(中央の回路)で再現
現在のAIの主流である深層学習の多くは、脳を模したニューラルネットに手本となる膨大なデータを学ばせて賢くする仕組みだ。学べるデータが少ないとAIを使えない。一方、人間は初めての体験でも感覚的に対応できることも多く「今のAIは生物の脳とは大きく異なる」(情通機構の篠崎隆志研究員)。日常会話などで現在のAIが対応しにくい一因だ。
同機構が開発したのは、データから学ぶ部分と、データがなくても自発的に判断できる部分を組み合わせたニューラルネットを使う新型AIだ。飛行機や自動車などの乗り物と、犬や猫などの動物を10種類に分類できるかを、従来のAIと比較したところ、データが多い時は同等で、少ない場合は新型AIの方が精度が高かった。
これまでの深層学習はデータから学んだ内容をAI全体に行き渡らせているが「人間は脳全体にはフィードバックしていない」(篠崎研究員)。新型AIは、判断結果の出力側だけに学んだ内容をフィードバックさせ、仕組みとして脳に近い。
典型的な症状などが出にくい病気の診断などでは過去のデータから法則性を学びにくく、新型AIの利用が期待される。自動運転でも対向車や歩行者の想定外の動きを把握できるようになる。
人間の脳の神経細胞同士をつなぐ軸索の長さの合計は10万キロメートル以上といわれており、高精度なスーパーコンピューター「京」の全配線の長さ1000キロメートルよりも桁違いに長い。配線の長さは、思考の多様性などを生み出すと考えられる。
一方で、脳の消費エネルギーは20ワットと京の60万分の1だ。脳は多様な判断ができるエネルギー消費が極端に少ない"計算機"とも言える。
AIを使って脳の神経回路そのものを再現する研究も進んでいる。東芝は米ジョンズホプキンス大学と共同で、脳内で空間を把握する海馬の神経細胞の働きの一部をAIで再現した。ネズミの海馬の神経回路を半導体回路で作り、処理の仕方まで忠実に似せた。
AIは通常、数字の0と1を使ったデジタル処理で機械的に計算をしている。これに対し、脳内の神経細胞は電気的状態に応じて起こる電気信号で情報をやり取りするアナログ処理で動いており、仕組みが異なる。
東芝半導体回路をアナログ処理に対応させ、AIを脳の仕組みに近づけた。同社は、膨大な情報処理が可能でかつ低消費電力で稼働する小型ロボットの開発などにつなげられるとしている。
海外でも脳に近づけたAIの開発は進んでいる。英ディープマインド社は、2018年に人の脳の機能をまねたAIで、道路の最適ルート検索技術を開発した。
IBMも100万個の神経細胞を模した半導体回路を開発。現在のパソコンのようにメモリーから取り出した情報を毎回、CPU(中央演算処理装置)で処理するのではなく、脳のように回路同士で電気信号をやり取りし、情報処理して消費電力を抑えられる。
AIは様々な分野で利用されているが、1つの役割に特化したものが多く、用途に応じたAIを用意する必要がある。これに対し、脳は1つであらゆることに対応する。より脳に似せたAIも複数の業務を担えるようになることが期待できる。
東京大学の高橋宏知准教授は「多様性や自律性を取り入れたいなら脳から学ぶことは多い」と話し、脳に近づけたAIの必要性を指摘する。
(大越優樹)

キョロキョロしてる。

*[次の世代に]何にハマりたい?
ほぼ日より。
今ごろプリンスにはまり始めているという糸井さん。
でもそういう「自分の知らない好奇心の罠」みたいなものはいたるところにある。
街中にもネットにも。
「そういうの」に引っかかる。毎日毎日。
だからそういうのが本当に「引っかかってよかったものかどうか」を反省して「やめときゃよかった」というものに次からは引っかからないようにと、心する。
お笑いとかバラエティなんかは典型だ。
 
同様にさらに大事なこと。
ゴルフ、競馬、麻雀、スポーツ観戦。
さらに酒タバコに美食。
どれもはまりだしたら、定期的に、ほぼ永続的に「数時間ずつ」を削り取られる。
そりゃ美味しいものを食べるんだからいいじゃないか、と思えたらそれでいい。
けれどどうせハマるのなら「なんとなく楽しい」ではなく「どハマりしたいもの」を探したい。
それに人生を費やしてよかったなと、後から思えるやつだ。
それがぴったり探せたら、それで人生丸儲けではないかと思いませんか?
 

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・もうある程度の年齢になってくると、
いま見ている世界で十分以上に広すぎるので、
新しいことは知らなくてもいいという気にもなります。
年齢とか関係なく、若くてもそう思っている人は、
たくさんいるんじゃないでしょうか。
それでも、貧乏性なのか、道に光る金属があると
「あっ、お金だ!」とつい拾ってしまうかのように、
おもしろそうな情報に飛びついてしまいがちです。
 
ま、だから「ニューヨーク公共図書館」のことも、
「ショーン・タン」という人の絵本のことも、
銀座のラーメンの店「八五」のことも、
知れたわけだから、それはそれでいいんですけどね。
そういう次々に見つかってしまう光の点のような情報も、
他の光る点とつながり合って、星座が描かれたり、
それに関わる人びとと知り合いになって、
また新しいなにかが生まれることにもなったり、
「たのしいことの総量」は増加していくのだから、
これはもう、やっぱりやめられないのでしょうかねー。
ほんとは、「いま見てる世界でも広すぎる」のになぁ。
 
というようなことを思っていた金曜日に、
また、「わぁ、知らなくてもったいなかった」と、
あらためて思うような光の点が見えてしまいました。
いまさら、と思われることでしょうが、大スターです。
2016年に他界している「プリンス」です。
ツイッターでフォローしている方が、
『プリンスの言葉』という本を出していて、
それを読みはじめたらおもしろいおもしろい。
過去に「プリンスってなんだろう」と思ったのは、
We are the world」のドキュメンタリーのときでした。
プリンスは、あのレコーディングに登場しないのです。
しかし、スターたちやスタッフはとにかく彼を呼びたい。
スタジオに来させようと、策略めいたことまでして、
彼を仲間に入れようとしていたのでした。
そんな存在なのか、という驚きと興味はあったのですが、
本を読んで、映画「パープル・レイン」を観て、
次の映画もセットして…と、ただいま惹き込まれ中です。
ファンの人たちからしたら、呆れられそうですがね。
また、知らないで済んでたことを、知っちゃったなぁ。
 
今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
とにかく世界は、知らぬことばかり。それでいいのだけど。

 

いかにつまらぬ(2)

*[絶対に役立つ言葉]最高のスキル。"楽しみを探す"
どんなつまらない行為にも「そのつまらなさを探す(解き明かす)」という最高の楽しみ方はある、という話。 
なんでも楽しむ、というのは実は最強のスキルではないか。
(面白きこともなき世を面白くといった高杉晋作は哲人だ)
 
面白くないなら、「なんで面白くないのか」を構造的に考えてみる。
そして「どうしたら面白くできるか」を考える。
これだけで十分面白い。
国会中継とか記者会見なんてめちゃくちゃ面白くなるだろう。
そういえば学生時代にも、物理や化学で実に興味を惹く先生はいたものだ。
ああ日本史の先生を講談師がやってくれたら、どれほどみんなが夢中になるだろうか。

 反対にホリエモンとかが話している内容は大して面白くなくなるだろう。

そのものが十分面白いから。
「そこで成功してしまっている」からだ。
つまり「面白くない話」というのはそれだけで失敗なのではないだろうか。  
先日エンジンの大家に聞いたヘリコプターのエンジンの話は、実に面白いものだった。
(よくそんな高度な内燃機関を人が作り出すものだ、と舌を巻いた)
 
悲しい話は悲しめるように。
馬鹿話は笑い飛ばせるように。
知的な話は事実に引き込まれるように。
 
まとめると。
自分が受け手の時には「なぜに面白くないのか」を考える。(面白ければそれでよし)で自分ならどう話すかを考える。
自分が話し手の時には「そもそもなにが面白いのか」を考える。「まず今世紀のはじめ、中国でたった100年間に起こった話が三国志なんだ」と言われれば面白そうだ。
日本なら、戦国時代は今の民主主義と、どういう因果が続いてきたのだろうか。
 
そんな話を「する側」にぜひ立ってもらいたい。
つまらぬ話をする先輩や政治家は、実は格好のサンプルなのだ。
ぜひ「面白い話」をしよう。
 

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・今年の2月に亡くなった方だが、
笑福亭松之助さんのことを、わりと何度も思い出す。
お会いしたことはないが、明石家さんまさんの師匠だ。
 
ぼくはなにかにつけて「たのしめ」と思うし、
人にも「たのしんでください」と言うのだけれど、
それはもう、じぶんの生きる方法みたいなものだ。
それには、モデルになった人とことばがあって、
ひとつは矢沢永吉が、何万人の聴衆を前にして、
緊張感が最高度に達したときに、じぶんに対して、
「たのしめ」と言うのだと聞いた、その「たのしめ」だ。
 
そしてもうひとつが、明石家さんまさんから聞いた
笑福亭松之助師匠のことばだった。
弟子入りしたさんまさんが掃除をしていると、
松之助師匠が「掃除はたのしいか?」と訊いたという。
さんまさんは、うれしそうにそのときのことを話した。
「『いいえ』って答えると『そやろ』って。
『そういうのがたのしいわけがない』と、
おっしゃるんです。
そのときに、師匠に、
『掃除はどうしたらたのしいか考えろ』って
言われたんですけど…そこでしたねぇ。
あの、掃除なんて、たのしくなるわけがないんですよ。
でも、『たのしくなることを考えてることはたのしい』。
っていうところにねぇ、
18歳のときに気づかせていただいたのが
非常に助かりましたね」と。
 
これはもう、明石家さんまにとってのめしのタネだが、
それを聞いたぼくにも、めしのタネになった。
とても感心したし、一生忘れない教えになった。
それを聞く前も、その後も、
たのしくないことは、もう、毎日、いくらでもある。
苦手だとか不得意なのにやらなきゃならないことも、
立場上やらなきゃまずいだろうということもある。
でも「どうやったらたのしくなるか」考えながらやる。
これを、ずっと続けているのは、実はたのしいのだ。
ぼくは「たのしめ」と言うたびに、
笑福亭松之助さんのことを思い出している。
 
今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
毎日「今日のダーリン」という文を書くのも、同じことさ。
 

いかにつまらぬ(1)

ほぼ日より。
*[絶対に役立つ言葉]何がつまらぬ、と。
こういうカテゴリーのエントリは初めてだが、今日気づいた。
「使える言葉」だ。
言葉は言霊だというが、「言葉が繋がって意味を持つ」というのが今回のお題。
笑福亭松之助明石家さんま糸井重里、というビッグネームを持ち出すまでもなく。
(でもそういう人たちがいうとゴォオーンと響く)
毎日の拭き掃除が楽しいか、と問われれば楽しくない。
では何が楽しくない理由か。
お金がもらえないからか。
大して綺麗にもならないからか。
しかし綺麗になった様を眺めたら、気持ち良い。というのが家事の本質ではないか。
 
学校の授業も面白くない。(なかった)
だから真面目に受けなかったが、これでは二流のままだ。
この先生の「一体何がこうもつまらないのか」を考えるべきだった。
経済原論で、マルクス主義を唱える先生の、あれほどつまらない授業はどういう成り立ちだったのか。
ひょっとして自分に知識が備わっていれば面白かったのか。
いや、そうとも思えない。
だから自分がマルクスを説明するなら、せめてもう少し学生さんに興味を持ってもらえる説明をどうしただろうか。
ひょっとしてこれって池上彰さんのやっていることと同じなのだろうか。
(つづく)
 
 
 

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・今年の2月に亡くなった方だが、
笑福亭松之助さんのことを、わりと何度も思い出す。
お会いしたことはないが、明石家さんまさんの師匠だ。
 
ぼくはなにかにつけて「たのしめ」と思うし、
人にも「たのしんでください」と言うのだけれど、
それはもう、じぶんの生きる方法みたいなものだ。
それには、モデルになった人とことばがあって、
ひとつは矢沢永吉が、何万人の聴衆を前にして、
緊張感が最高度に達したときに、じぶんに対して、
「たのしめ」と言うのだと聞いた、その「たのしめ」だ。
 
そしてもうひとつが、明石家さんまさんから聞いた
笑福亭松之助師匠のことばだった。
弟子入りしたさんまさんが掃除をしていると、
松之助師匠が「掃除はたのしいか?」と訊いたという。
さんまさんは、うれしそうにそのときのことを話した。
「『いいえ』って答えると『そやろ』って。
『そういうのがたのしいわけがない』と、
おっしゃるんです。
そのときに、師匠に、
『掃除はどうしたらたのしいか考えろ』って
言われたんですけど…そこでしたねぇ。
あの、掃除なんて、たのしくなるわけがないんですよ。
でも、『たのしくなることを考えてることはたのしい』。
っていうところにねぇ、
18歳のときに気づかせていただいたのが
非常に助かりましたね」と。
 
これはもう、明石家さんまにとってのめしのタネだが、
それを聞いたぼくにも、めしのタネになった。
とても感心したし、一生忘れない教えになった。
それを聞く前も、その後も、
たのしくないことは、もう、毎日、いくらでもある。
苦手だとか不得意なのにやらなきゃならないことも、
立場上やらなきゃまずいだろうということもある。
でも「どうやったらたのしくなるか」考えながらやる。
これを、ずっと続けているのは、実はたのしいのだ。
ぼくは「たのしめ」と言うたびに、
笑福亭松之助さんのことを思い出している。
 
今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
毎日「今日のダーリン」という文を書くのも、同じことさ。

 

やっぱり検索。

*[ウェブ進化論]今度は旅行
Googleって、デビューから知っているけど「ずっとアーーーーァァァ」と思って見ている存在だった。
「世界中の情報を整理し尽くす」って言葉の意味はわかったけど、それがどういう未来を予想するものだったのか。
 
こうした変化をポーッと見ていた自分は心底恥ずかしい。
ネット検索を制するエンジンを持つ、ということがどれほどのことなのか? を想像する力がまるでなかった。
そのグーグルが旅行代理店を始めるという。
しかもGmailの中身を見ながら「最適な旅行会社やエアー便やホテルとか観光案内」をしてくれるという。
ちょっとズルくないですか、と思いながらもどんどん便利になっていくだろう。
 
「地元の人と触れ合いたい」「おすすめの観光コースで珍しいもの」とかバリエーションは無限にある。
さらに「そこに住みたい」とか「民泊したい」とか「恋人が欲しい」とか、いくらでも広がりそうだ。
 
その分人間はGoogleに頼ってしまうわけだが、それでも「スピードと便利の力」の前では抗えないだろう。
最高の旅行コンシェルジェもGoogleの手に落ちてしまいそうだ。
 
グーグルが旅行検索を統合 予約大手の脅威に
2019年6月1日 19:30
米グーグルは2019年5月、旅行サービス「グーグルトラベル」を始めた。航空券、宿泊などのサービスを統合した。Gmailに届いたメールの内容を基に旅程を一覧化したり、検索履歴などから旅行先を予測したりして、プランの作成や管理を支援する。米エクスペディアなどの予約サイト大手にとっては脅威となりそうだ。
「グーグルトラベル」の画面。航空券、宿泊などのサービスを統合した
「我々の最大の競合はグーグルだ。インターネット上で多くの人が集まる場所を持っている」。米予約サイト大手のエクスペディア・グループのマーク・オカストロムCEO(最高経営責任者)が言うように、グーグルが旅行業界で存在感を増している。
まずはグーグルで検索して、旅行の行き先や料金のあたりをつけるという行動が一般化している。これまでは航空券、宿泊など、それぞれ別々にしか調べられなかったが、今回のグーグル・トラベルはそれらを統合した。
例えば、トップ画面で行き先として「Tokyo」を入れると、東京でのアクティビティー、航空券、宿泊、パッケージが一覧で表示される。
目玉と言えるのが、旅行の予約や検索などを管理する「Trips」だ。
旅行の予約や検索などを管理する「Trips」
グーグルのアカウントと連携し、Gmailに送られた宿泊やフライトなどさまざまな予約メールの内容を解釈。Tripsの画面上に一覧としてまとめてくれる。Googleカレンダーに差し込まれていた旅行予定を統合的に管理できるようにしたものと言える。さまざまな航空会社、エクスペディアやエアビーアンドビーなどの宿泊予約などを解釈できる。出張などの精算の際にも、航空券や宿泊の領収書の情報を探しやすくなる。
Google Travelで検索した航空券や宿泊は、エクスペディアなどの予約サイトや航空会社のサイトなどに移動して決済する。グーグルは手数料を得るビジネスモデルだ。エクスペディアなどの旅行サイトや航空会社にとっては直接予約よりも取り分が少なくなる。

検索履歴から旅行先推測

Tripsは、ユーザーの検索履歴から推測した旅行先も提示する。それまでの検索結果を保持しており、再度価格や条件をチェックするのが容易だ。Tripsでは、外部旅行サイトの予約情報も含め、これらの情報が統合的に管理される。利用者にとっては便利だが、競合にとっては厳しい一撃だ。
もともと航空券を検索する「Flights」は多くの航空会社や経路を検索できることから、利用しているユーザーも多かった。従来はグーグル検索の画面を利用する格好だったが、これもTravelの画面に統合されている。
航空券検索の「Flights」もTravelに統合された
米国では比較的近くに複数の空港がある。そうした空港を利用した、航空券の価格比較もできる。
Flightsで周辺の空港の航空券価格を比較したところ
旅行先での周遊プランの作成も支援する。「Explore」では、各エリアでの旅行プランを提案してくれる。例えば、「Tokyo」と入れると、「東京での48時間の1日目と2日目」などを提示してくれる。グーグルの地図サービス上に、旅程の順番も示してくれる。グーグル検索と連動した各利用者のレビューも見ることができる。
Google Travelは旅行の計画と旅行中、そしてレビューによる旅行後や体験後までを包括的にカバーするサービスとなる。エクスペディアやブッキング・ドットコムなどの旅行予約サービスにとっては脅威となり得るだろう。
日経BPシリコンバレー支局 市嶋洋平)
[日経クロストレンド 2019年5月21日の記事を再構成]
 

 

現金の死滅。

*[ウェブ進化論]主役の交代
日経より。
ペイペイのキャンペーンが起爆剤になって一気にモバイル決済が普及しているという。
そりゃ便利ですから。
記事では「どのアプリが決済のシェアを取るか」に触れているが、何のことはない「これまでのクレジットカードの縮図」のようになるだろう。
つまりVISAとUCとAMEXみたいなことだ。
7-8個のアプリが共存して、またポイントの争いみたいになると思う。
それより問題は「現金」との関係だ。
今70歳以上の人たちは現金指向が強いが、あと十五年でどうなるだろうか。
 
どこかのタイミングで「現金排除」の波が一気に押し寄せるだろう。
それは、現在の団塊の世代(今70歳)が寿命を迎え始めた時だと自分は予想する。
つまりあと十五年くらいは、日本の小売店は「現金よさらば」というわけには行かなそうだ。
 
この十五年のギャップがどれほど他国との差になってしまっているか。
現金もクレジットすらも激減する時代がいよいよ始まった。
 
 
スマホ決済、還元で利用者拡大 7カ月で約3倍に
2019年5月31日 19:30
モバイル決済アプリ「ペイペイ」の2度にわたる100億円還元キャンペーンが盛況のうちに幕を閉じた。筆者が所属するフラー(千葉県柏市)のアプリ分析ツール「AppApe(アップ・エイプ)」によると、ペイペイの4月末時点の月間利用者数(MAU、アンドロイド・iOS合算)は第1弾キャンペーンがあった昨年12月に比べ6割増の300万人に達した。
「ペイペイ」のキャンペーンが火を付けた
第1弾は認知の獲得、2~5月の第2弾は利用回数の拡大に狙いを定めたマーケティング戦略が奏功した。モバイル決済の中心に一気になだれこんだ形だ。
ペイペイの登場を皮切りにさまざまなモバイル決済サービスが相次いで生まれる中、業界内の競争が激化しているとの見方は強いかもしれない。一面では間違いないがアプリの利用データを見ると、限られたパイを奪い合うよりも、ペイペイをきっかけに決済手段としての認知が拡大し市場全体が活性化していると言えるだろう。
モバイル決済の専門アプリのうちグーグルプレイの無料ランキングで上位に入る、おサイフケータイ▽ペイペイ▽d払い▽楽天ペイ▽モバイルスイカ▽オリガミ▽キャッシュの7アプリのMAU(アンドロイドのみ)の推移を調べた。「LINEペイ」など本体アプリの機能の一部の場合は、比較が難しいため対象から外した。
ペイペイが登場した2018年10月以降、各アプリが利用者数を大きく伸ばしている。合計MAUは4月までの7カ月間で2.9倍の670万人に伸長。ペイペイを除く6アプリの合計も2.3倍の540万人と大きな成長を遂げた。
ペイペイの一連のキャンペーンは自社だけでなくモバイル決済そのものへの認知を高めた。結果としてモバイル決済を取り巻く業界全体の底上げにつながっている様子が、データから垣間見える。
モバイル決済を含むファイナンスアプリの市場は日を追うごとに盛り上がりを見せている。AppApeでまとめた4月のMAU(iOS含む)上位200アプリの合計は、1年前の2.3倍の2100万人に達している。
今後の大きなポイントはメガアプリのマーケティング施策と新規参入だ。LINEペイではペイペイを上回る総額300億円のキャンペーンを展開。千円分のチャージを利用者同士で送りあえる。LINEという巨大プラットフォームを通じた消費が少額決済を中心に加速していることは容易に想像がつく。
さらにセブン―イレブン・ジャパンは、新たなモバイル決済サービス「セブンペイ」を7月に始める。18年6月のリニューアルをきっかけに圧倒的なユーザー獲得に成功したセブン―イレブンアプリを通じて登録できる。決済専用アプリも予定している。業界全体が拡大し利用も増える中、どのアプリがモバイル決済の覇権を握るだろうか。
[日経MJ2019年5月29日付]

相談の本質。

*[次の世代に]自由な眼
日経より。
静岡の富士市に行れのできる経営相談所があるという。
富士市産業支援センター」という無料相談所だがその秘密はなんだろうか。
記事中ではマルミヤ食品の経営相談だがふと「自由な視点」ではないかと思い当たった。
「扱えるのは小ロット」ならば「小ロットのニーズがあるところ」に話を持ち込めばいい、とか。
「なんでもレトルト化できる」のなら「余り物をレトルト化したい」と思っていそうな生産者に声をかけてみる、とか。

なんだろう。

自分では気づかない、自分の会社の能力の可能性を考えること。
つまりとらわれない発想だ。
本業に専心していると、往々にして自分を客観的に見ることは難しい。
業界のことも知っているし、商売の慣習もある。
いつの間にか自由な発想がなくなっている、というのがこの記事のエッセンスではないだろうか。
 
ビジネスも人間関係も、経験が蓄積するほどに「そこから離れて考える」ということがコツなのだという気がする。
一度自分について改めて考えてみるのはどうだろう。
 
 
お金かけず知恵で変える
2019年6月11日 19:30
 富士山の麓、静岡県富士市。市立図書館の一画に起業家の卵や悩める中小企業の経営者などがひっきりなしに訪れる部屋がある。年間に寄せられる相談は4000件超。「行列のできる経営相談所」と呼ぶ人もいる。その名は富士市産業支援センター(f-Biz、エフビズ)。市の公的機関だから相談は無料。率いる小出宗昭センター長(59)が編み出した支援術は「エフビズモデル」とも言われ、全国に広がる。
2012年の今ごろだったと記憶しています。地元の加工食品メーカーであるマルミヤ食品(静岡県焼津市)の社長さんが深刻な表情でセンターを訪れました。「設備の老朽化で廃業を考えています」。下請けとしてレトルト食品をつくっていたのですが、仕事の依頼が少なくなり、お手上げの状態だったのです。
「廃業」という言葉が飛び出しましたが、うちを訪ねてきたということは「何らかのアドバイスがあれば」という期待があるのだろうと思いました。センターを開設して約4年。それなりに実績を重ねてきたころです。
 センターのモットーは相手を「褒めて励ます」ことだ。
「最小の生産ロットはどれぐらいですか」と聞くと、社長は「設備が古いから100個からです。生産効率が上がらないのです」と話されました。私はこれを聞いて「すごいじゃないですか。こんな小ロットから対応できるだなんて、すばらしいことですよ」。社長はキョトンとしていましたね。でも本当にすばらしいことなのですよ。
こいで・むねあき 1959年(昭和34年)生まれ。83年法政大経営卒、静岡銀行入行。支店や国際部、情報営業部(M&A担当)などを経験。創業支援施設などへの出向を経て08年に退職し、「富士市産業支援センター」のセンター長に就任。
というのも小ロットは小回りがききます。これまでにレトルト食品にしたい商材があっても工場側がロットの小ささを理由に難色を示して商談にならないケースがあったことを知っていました。レトルト業界では最低ロットは1000くらいからでした。
企業支援の要諦はターゲットとニーズが明快で競合がいないことです。マルミヤ食品はまさにこれが当てはまったのです。社長さん本人が気が付いていないセールスポイントに気づかせることが大切なのです。うなだれていた人を褒めまくるのです。
そこでレシピの数はどれくらいあるか聞いてみました。すると「長くやっているからどんな商品でもレトルトにできます」というではありませんか。すかさず「すごいですね。必ず取引先が見つかるようにします」と答えました。社長さんは「そんなに仕事はあるのですか。そんなところがあるのですか」と半信半疑。私はこう答えました。「大丈夫ですよ」
 明確な根拠は無かったが勝算はあった。国が進めている農業の6次産業化のトレンドも追い風だった。
レトルトの技術は農家にとっても福音になるはずです。例えば大きさのまちまちな規格外のトウモロコシがあるとしましょう。これまでなら廃棄を余儀なくされていたモノがレトルトのコーンスープにできるのです。ロットが少ないから機動力がいかせます。6次産業化の話しをすると社長さんはさらに驚かれていました。「農家からも話しがあるのですか」
地元企業の経営者らからの相談を聞く(中央が本人)
次は行動あるのみです。お金はありませんが、ネットの時代ですから誰でも発信できます。ブログを立ち上げて会社の取り組みを紹介し、地元新聞にも取り上げられるとすぐに引き合いがありました。
初めに問い合わせてきたのはホテルチェーンでした。このホテルは朝食でおいしいカレーを提供することで知られていましたが、仕込みに手間暇がかかり従業員の負担になっていたのです。以前、このカレーをレトルトにしようと食品会社に相談すると、最低のロットが5000~10000と言われたそうです。賞味期限内にはそれだけの量をさばけないので断念した経緯がありました。当然、今回は商談成立です。
数カ月の内にいろんな話がきました。北陸の漁業者からは「魚が取れすぎたので何でもいいからレトルトにしてほしい」と依頼されました。カンピョウの話もいただきました。おかげでマルミヤ食品の業績はV字回復です。
お金をかけずに知恵を使って流れを変える。こんなに早く結果が出るとは思っても見ませんでしたね。業績が良くなると後継者や事業継承の問題も円滑に進みます。
日本では全企業に占める中小企業の割合は99.7%です。これから起業をしようとする人も起業したての人も最初は零細です。小さな会社ならではの悩み事は尽きません。この記事を読んで何らかのビジネスのヒントを得てもらえればありがたいです。
編集委員 田中陽)
日経産業新聞2019年6月11日付]