藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

ビッグデータの次。

*[ウェブ進化論]経験すら作れる時代。
日経より、羽生さん×学生さんのインタビュー。
アルファゼロは将棋、囲碁、チェスのすべてで人に勝ち越したという最強ソフトなのですが、人間の打ち方のデータで学習していません。基本的なルールを覚えさせたあとは、機械自身が対戦を繰り返すなかでどんどん強くなってしまった。

 もうデータという"餌"を食べなくても、シミュレーションでそれすら作り出してしまう時代になっているらしい。

一方「人は感情で行動する」とよく言われるが、もちろん合理的にも行動する「ややこしさ」を持っている。
AIとの違いが出てくるのはこの辺りだろうか。それともその「感情」すら学習してゆくのかもしれない。
アルファゼロの棋譜も見ましたが、強いことはわかるんだけどどう強いのか説明がつかないんですよ。なんとなくブラックボックスだなあと思うこともあります。

 こうなると、最後は「なんでもAI任せ」にはできないかもしれない。

最後に残る人の感情は、特に「裁き」とか「思想・信条」の部分などを、他人や機械に委ねることはしないだろう。
もっともその時にまだ「人の制御する部分」が残っていればの話ですが。

AI時代、人はどう生きるか 羽生九段に東大生が聞く

 
2019/11/15

学生が様々な分野のトップランナーにインタビューする企画。今回は、平成の将棋界を引っ張ってきた羽生善治九段に、在学中に司法試験予備試験に合格した法律家の卵、小松詩織さん(東京大学4年)が話を聞いた。テーマは人工知能(AI)と法律、AI時代の人間の個性など多岐にわたった。
小松 私は中学3年生で冤罪(えんざい)の研究を始めました。冤罪を生み出す社会の理不尽さを、自らが弁護士としていつか変えたいと思っています。法曹界はAIどころかIT化も進んでおらず、新しい視点を取り入れることで、法曹界そのものを変えてみたいとも思っています。将棋界はAIと人がすでに上手に共存している気がします。きょうは色々とヒントを得たいと思っています。
 
羽生 実は将棋AIはもう30年くらい前から開発されていました。急激に強くなったのは、2010年ごろに画像認識のレベルが上がったのがきっかけです。将棋ソフトに盤面をひたすら覚え込ませたのです
 
小松 AIに覚えさせるデータは、羽生さんをはじめ将棋がすごく強い方々のデータだと思うのですが、あえて全然将棋ができない人のデータも入れたりするんですか。
 
羽生 それはすばらしい質問です。AIに何かを覚えさせるときは、どんなデータをどう学習させるかがプログラマーの腕の見せどころなんですよね。微妙なチューニングをしているようなものですね。ところが、「アルファゼロ」というソフトが出てきて、そういう常識が打ち破られました。アルファゼロは将棋、囲碁、チェスのすべてで人に勝ち越したという最強ソフトなのですが、人間の打ち方のデータで学習していません。基本的なルールを覚えさせたあとは、機械自身が対戦を繰り返すなかでどんどん強くなってしまった。今はAIに覚えさせるためのビッグデータが必要だといわれているけれど、もしかするとこの先はデータも必要なくなるのかもしれないですよ
 
小松 法曹界にAIが入ってきたら、人はどう思うのでしょうか。AIに裁かれるようなことになったら、拒否反応もあると思うんです。

羽生 米国には囚人の仮釈放の判断をAIにさせている州があるらしいですよね
小松 そうなんです。
羽生 ご存じですよね。ところが、何回申請しても仮釈放されない人がいた。この人に「実はAIが判断している」と伝えたところ、ひどく怒り出したというんです
小松 そういう問題が起きますよね。

AIを完璧だと思い込んでは危険

羽生 人間が相手なら許せるけれど、AIだと許せないということは確かにある。論理とは別の感情の問題です。裁判官、検察官、弁護士が全てAIだったらスピード決裁できるのでしょうけれど、それで本当に間違いがないのか、そしてみんなが納得するのか。正解はないですよね。もう一つ、AIって決して完璧ではないという点も忘れてはいけない。人間って不思議で、今はまだAIにアレルギーもありますけれど、ある程度AIが実用的に運用されるようになると、完璧なものと思い込んでしまうでしょう
 
小松 AIも機械ですから、ミスすることもある。確かにそうです。
羽生 人間よりは間違えないかもしれないけれど、ミスをする可能性もある。たとえばATMがミスしたら怒るでしょう? でも、本当はATMだって間違えることはあるはず。人間はATMを受け入れたとたんに完全に信用してしまっているんです。これと同じで、AIだって完璧ではないんです。しかし「ミスするかもしれない」という技術は、世の中に普及しない。「完璧です」って言って普及させようとする。だからこそ、将来AIで何か深刻なトラブルが起きたときに収拾がつかなくなってしまうかもしれないなあと恐れています。

小松 AI将棋はどうでしょう。違和感を覚えることはありますか。
羽生 AI将棋はどこかおみくじを引いているようなところもあるんですよ。出てくる手がランダムなんです。例えば人間ならば、同じ人が時間の経過とともに「こう判断した」という部分が見えますが、AIはその時その時で点数が高い手を選んでいるから、方向性がありません。アルファゼロの棋譜も見ましたが、強いことはわかるんだけどどう強いのか説明がつかないんですよ。なんとなくブラックボックスだなあと思うこともあります。
小松 完璧じゃないとなると、AI時代も人間の出番は残ると思いますか。
 
羽生 AIが奪う職業に弁護士も挙がりますが、私は人間がやらなければいけないことがあると思っています。AIは問題を解かせたらすごいけれど、正しい問題設定ができるわけではありません。法曹の世界でいえば、法律相談には法律上はどうにもならない相談もきますよね。でも、「法律ではどうにもならなくても、そこをなんとかしてほしい」という人間の気持ちの問題も存在する。

知らないからこそ将棋の世界に飛び込めた

小松 そうなんです。判決文をデータとしてAIに覚えさせるのは簡単です。しかし、実際に裁判官が判決文を書くまでには、検察官が起訴した理由や裁判官の判断の経緯など、いろいろなことがあって判決文ができあがる。そういう経緯をAIは把握できないので、人間との差はまだ大きいと思っています。
 
羽生 人間かAIか、どちらかだけになるのではなく、AIと人間がうまく分担していく制度ができれば、片方ずつでやるより精度が上がるはずです。人間が苦手なところと、AIの死角とか盲点を、お互いに補完し合う社会になるといいんじゃないかと思っています。
小松 AIネーティブ棋士がこれから増えたら、将棋界も変わりますか。
羽生 将棋の世界でも、最後は一人ひとりの個性がカギを握るのかなと思うことがあります。いま将棋を学んでいる小学生の世代は、AI将棋を使って強くなっていっています。この子たちが10年後に棋士になってどんな将棋を指すのか、とても興味深いです。同じような環境で同じソフトを使って研究したら、結局同じことしか覚えられない。結局はその人の独自性や個性みたいなものが勝負の分かれ目になるのかな。
 
小松 今は弁護士志望ですが、以前は競泳に打ち込んでいました。小学5年のときにわずかの差でジュニアオリンピック出場を逃すという悔しい経験をして、6年生で競泳をやめてしまったんです。羽生さんは15歳でプロになって以来、将棋一筋ですが、どう心を決めたのですか。

羽生 2年前に引退なさった加藤一二三先生は現役生活が67年でした。私はそれと比較するとやっと折り返し地点にたどり着いたくらい。その果てしない道の長さを感じることはありますが、あまり考えないようにしているんです。トライアスロンに挑もうとするときに、「これからマラソン40キロメートル、次は自転車100キロメートル」とか言われたら嫌じゃないですか。急にやる気がなくなっちゃいますから。だから、目の前の1キロメートルをがんばろうかな、とか。そういうふうに考えていかないと、ずっと長く続けていくのは難しいです。
 
小松 長い道のりは覚悟なさっていましたか。
羽生 わからないままだったからこの世界に飛び込めたという面はあるように思います。谷川浩司九段にあこがれて将棋の世界に入ったのですが、最初に抱いた夢とかあこがれと、実際に入ってからの景色は全然違いました。1段ずつ階段を上がっていかなければいけない険しさとか大変さを、何も知りませんでした。当時はインターネットもなく、どれくらい大変なのか、どんな努力が必要なのか情報がなかったからです。今はいろいろ調べられる時代ですが、競争が大変そうだとか10年くらいかかるらしいなんてことを先に知ってしまうと、前に踏み出せないということはあるのではないかなと思いますね。若い人の強みは、リスクがありそうでも、大胆な選択にみえても、可能性を信じて前に進んでいけることだと思っています。
(文・構成 藤原仁美)

コンテンツとの距離

*[若者文化]アイコン化する文豪。

もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら (宝島SUGOI文庫)

もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら (宝島SUGOI文庫)

 
月の読書時間ゼロが48%を超え、本を読まなくなった若者が…と書いて、自分は人生のほとんどでビジネス書以外を読んでいないことに気づく。自分もそっち側だった。
でそんな若者が多様化し、自分の好きなテキストだけを貪るようになったら「共通体験」を求めて、結局文豪にたどり着いた、と言う話。
けれど
「1973年のカップ焼きそば
きみがカップ焼きそばを作ろうとしている事実について、僕は何も興味を持っていないし、何かを言う権利もない。エレベーターの階数表示を眺めるように、ただ見ているだけだ。(後略)」
と読むとニヤッとさせられる。
SNSに投稿されて拡散しているというから、今の若い人は共通体験が欲しいのか、それとも他人との関わりは煩わしいのか。
 
それにしてもコンテンツは増えに増え、リーチする距離は限りなく身近になり、「文学作品」が実に売れにくい世の中になっている。選択肢の山の中に埋もれてしまっている。
文藝春秋が完全に電子化される頃には純文学は滅びているのか、それとも若い読者を増やして再興しているだろうか。

文豪いじりSNS映え 奇書「もしそば」が売れる理由学生消費 裏からみると…(2)

 
2019/12/16

「もしそば」を手にする著者の1人、菊池良氏(左)と担当編集者の九内俊彦氏(右)

「もしそば」を手にする著者の1人、菊池良氏(左)と担当編集者の九内俊彦氏(右)
U22世代に売れた商品について、そのヒットの要因や、仕掛け人の動きを追う新企画。今回は、文豪や有名作家の文体をまねてつくったベストセラー本「もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら」(神田桂一・菊池良著 宝島社 通称・もしそば)を取り上げる。若者の活字離れがいわれる中で、学校の教科書にも載っている文豪や有名作家の文体をパロディーにするスタイルと、ツイッターやインスタグラムなどのSNSにフィットする内容とが相まって若い世代に受け入れられたようだ。
「もしそば」は、100人以上の国内外の文豪や有名作家の文体をまねて、カップ焼きそばの作り方を延々と書き連ねた本だ。太宰治芥川龍之介などの文豪から、小沢健二星野源などのミュージシャン、さらには、やまもといちろう、ちきりんなどのブロガーまでが登場する。早速、本の中から引用してみよう。
1973年のカップ焼きそば
きみがカップ焼きそばを作ろうとしている事実について、僕は何も興味を持っていないし、何かを言う権利もない。エレベーターの階数表示を眺めるように、ただ見ているだけだ。勝手に液体ソースとかやくを取り出せばいいし、容器にお湯を入れて三分待てばいい。その間、きみが何をしようと自由だ。少なくとも、何もしない時間がそこに存在している。好むと好まざるとにかかわらず。読みかけの本を開いてもいいし、買ったばかりのレコードを聞いてもいい。同居人の退屈な話に耳を傾けたっていい。それも悪くない選択だ。結局のところ、三分間待てばいいのだ。それ以上でもそれ以下でもない。ただ、一つだけ確実に言えることがある。完璧な湯切りは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。
村上春樹作品を読んだことがある人ならニヤリとすることだろう。このまわりくどい表現は、村上春樹の初期作品あるあるとして、マニアはもちろん、代表作しか読んでいない人でもわかる。
その後も、文体模写芸はこれでもかと続く。
麺の細道 から容器 大食いどもが 夢の跡
池上彰なら
今回はなかなかニュースでは取り上げられることのない「カップ焼きそばの作り方」について解説したいと思います。
カップ焼きそばは、「適当」に作れるところが、よいところだと思う。
 
これ以外にも、どこかで聞いたことのあるような、読んだことのあるような文体模写芸が続いていく。その人物のことや文体を理解しきれていなくても、くすりと笑える。
全国大学生活協同組合連合会が2019年2月に発表した『第54回学生生活実態調査の概要報告』によると、読書時間「0」の学生は48.0%だった。1日の読書時間の平均は5年ぶりに伸びて30分(前年比+6.4分)、読書時間60分以上の人が26.7%と前年から8.4ポイント増加するなど明るい兆しもあるが、大学生の約半数が読書習慣なしというのが実態だ。
そんな中で、もしそばは2017年6月に初版2万部でリリース後、すぐに増刷がかかり、2019年10月時点でシリーズ全体で15万部のベストセラーとなっている。文庫化され、最近では電子版もリリースされたほか、台湾版、韓国版と国際展開も進んでいる。出版した宝島社によると、読者の3分の1が10代から20代の若い層。「埼玉県の高校図書館司書が選んだイチオシ本2017」にも選ばれたほか、大学生と本のタッチポイントである大学生協でも売れ行きは好調で、SNSへの表紙の投稿が相次いだ。

なぜ、本を読まないとされる若い世代に受け入れられたのか。著者の一人である菊池良氏と、宝島社の担当編集者九内俊彦氏に話を伺った。
著者の菊池氏はあるとき、読書離れの進む若者世代にも、共通の読書体験があることに気づいた。それが、教科書に載っている「文豪」と呼ばれる人たちの作品だった。インターネットで情報が手に入り、お金や時間をかけて読書をする習慣がなくても、教科書だけは読むのだ。
実際、ツイッターなどのSNSで評判になる、文体や設定を模写したパロディー投稿でも「鉄板」でウケるのは太宰治の「走れメロス」や、芥川龍之介の「羅生門」など、教科書で頻繁に見る作品だ。
文豪のキャラクター化も進んでいる。泉鏡花芥川龍之介が登場するゲーム「文豪とアルケミスト」(DMM GAMES)や春河35朝霧カフカが書いた「文豪ストレイドッグス」(KADOKAWA)などが若者にヒットしている。価値観や志向の多様化が進む中、文豪こそが実は共通体験になっている。
文体の模写など、作品を「いじる」投稿は若者も含め、SNS上で盛り上がりを見せる。菊池さんは2015年に村上春樹風の投稿をTwitterに投稿して反響を呼び、テレビ番組の中でも一部、取り上げられたほどだ。
ちなみに、現在、32歳の菊池さんが最初に読んだ村上春樹は「海辺のカフカ」だったという。村上春樹が書かないようなことを、彼の文体でSNSに投稿したら、ウケた、バズった。「面白くて、初めて上下巻読みきった小説でした。文体が格好良く、模写したものも格好良くなるので書いていて気持ちいいです」と語る菊池さん。この「文体模写芸」が売れる素地を感じたという。

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まずは経営から

*[ウェブ進化論]AIコンサル。
日経より。
AI利用で電気やガスのメーター読み取りの手間が7割減になったという話。
こういう話はこれから山のように出てくるだろう。
AIでなくなる仕事は「まず手間仕事から」になるから、有難い話に違いない。
今、自分がその「手間仕事」で食べているからそれがなくなるのは脅威だ、と言う論調は正しくないと思う。
むしろ自分の仕事でAIができない仕事は何か、いやそんなものがあるのかを考えるとうすら寒い。
プレゼン資料を作るとか、営業方針を考えるとか、商品を設計するとかはまだ「フルオート」では難しそうだが、「こういう内容で業界の人向けの説明資料を」くらいの設定があれば、チャキチャキと資料を揃えて組み立てる、くらいのことはできそうだ。
いやその前の問題設定ですら、現状の分析資料などがあればAIの方が優れてくるだろう。なんだかんだ言っても多くの経営者は保守的だ。
 
企業経営がフルに自動化されるのは(感覚的には)もう少し先かもしれないが、経営について的確なアドバイスができるAIは、今年中にも登場するのではないだろうか。
コンサルティングはその重要性からして真っ先にAI化のターゲットになるような気がしている。
 
東芝、AIでメーター読み取り、ビル管理のコスト削減 
 
  2019年10月4日 20:05
 
東芝人工知能(AI)を活用し、電気やガスのメーターを読み取る新サービスを始める。タブレット端末でメーターを撮影するとエネルギー使用量を自動認識しデータ入力する仕組み。オフィスビルや商業施設では通常、作業員がテナントごとの使用量を目視した上で、手書きで紙に転載していた。現場での人為ミスや作業時間を減らし、コスト削減できる。
 
ビル管理会社の作業員がビルを巡回する際に活用する。電気やガス、水道のメーターとあらかじめ貼り付けておいたQRコードを撮影すれば自動的に数値を登録できる。
 
東芝によると、ビル18棟、計850台のメーターを設置している駅ビル運営会社が東芝のシステムを使用したところ、検針とその後の確認作業にかかる時間は従来比約7割減の40時間弱になったという。
 
東芝の設備点検のクラウドサービス「シェアレポ」の新規サービスとして今月から展開する。同サービスは現在、数十社で従業員約2000人が利用しているが、2023年には数百社で5万人の利用を見込む。
 
東芝は社会インフラとデジタル技術を組み合わせたビジネスを、今後の収益の柱と位置付ける。エレベーターなどビル設備で開拓した販路を強みに、設備検針の効率化サービスを売り込む考えだ。
 
 

 

同調を超えて

 
*[経営]オンリーワンでもなく。
日経産業より。
日本はよく「ベンチャー起業家が少ない」「投資家も少ない」「失敗を許容しない」「特に大企業からはイノベーションが起きない」と言われる。
よくアメリカと比較されるが、規模も利益もまったく敵わない。
イノベーション」を政府もあげる(革命ともいいますが)くらいだが、こうも低空飛行が続く、と言われ続けると果たして本当に周囲のいうスタンダードが正解なの?と疑問に思う。
 
最近でこそ環境投資、グリーン企業などというが、おそらく自分たちはこれまで「経済成長」以外の指標を知らない。
今でも国の繁栄はずーっと経済成長率とGDPで語られているし、「満足度」があまりにも主観的すぎて「数字」でしか計れていないように感じて仕方ない。
 
大前研一さんは今の日本を「低欲望社会」と名付けていたが、低欲望ならそれで良いのではと思うのだ。
いたずらにカネだ、地位だと言うよりもよほど上品ではないだろうか。
変に数字を追いかけるいびつな議論をするのではなく、「満足とは何か」を自分なりに考えられる風潮であるべきだろう。
老後に2000万足りない、とかさもしい話が政治家から出てくるのは寂しい限りだ。
 
経営者が交代する意義
 
2019年10月4日 4:30
 
今回は経営者交代について書きたい。私が経営者になったのはハンゲームジャパンからNHN Japanになるときだった。年齢的には35歳と、ベンチャー企業としては早くも遅くもないかもしれない。

 
1989年筑波大卒。ソニーなどを経て2003年ハンゲームジャパン(現LINE=ライン)入社、07年社長。15年3月退任、4月C Channelを設立し、代表取締役に就任。
日本法人の創業社長は韓国人で、いずれ日本人に任せたいと話していた。さらに日本法人は韓国とは別のビジネスモデルとサービスモデルで成長し、ほぼ独立していた。
 
初代社長は新規事業を立ち上げる才覚がある方で、色々なアイデアを一緒に形にしてきた。創業者はグローバルのゲームの責任者として韓国におり、私が実質的に日本の代表だった。だから社長になる際には大きな不安はなかったが、実際には単なる代表と社長とは大きく違うことを深く実感した。
 
事業やサービスの責任、そして社員や家族への責任が肩に乗ってきた。
 
そして社長になりライブドアのグループ入りやLINEの誕生と成長など様々な経験をして、次の社長にバトンタッチをする経験もした。
 
LINEの退任については、ある程度やりきって次の能力ある経営者に任せた方が成長するだろうと思っていた。ゲームやスタンプ、EC(電子商取引)で成長したところから広告などでさらに成長させるタイミングだったが、私の専門分野ではなかったからだ。
 
日本では成功しているときに退任すると「何かある」と思われがちだ。しかし良いときだからこそ辞められると思っていた。
 
反対に、うまくいっているときほど次の経営者は大変でもある。少しでも数字が下がると「前任者の方が良かった」と言われるし、ある程度は悪い状態の方が立て直しどころは満載なのだから。
 
最近、若い起業家と議論する中でバイアウトを目標として起業するという起業家を多く見かける。しかし目標がバイアウトというのは、どうなのだろう。やはり起業は、ミッションやビジョンがあってこそではないだろうか。
 
こう思って苦言を呈することも多い。しかし実際に日本の現状を考えると、大企業からイノベーションがなかなか起こらないことも事実だ。
 
むしろ起業家が大企業にバイアウトして、大企業の資源でさらなる成長を目指すというのが次の日本のイノベーションをリードする1つの方法なのではないか。そんなふうに考えることもある。
 
変化が速い時代だから、1つの戦略や1つのコンセプトで成長し続けることには限界がある。そのためには経営者の考え方が変わったり、経営者そのものが変わったりすることも大事になってくるのだろう。
 
そんな変化を続けながら、昭和の名経営者を超えるような経営者が日本からたくさん出てくることを期待している。
 
日経産業新聞2019年10月2日付]

総・テクノロジー企業化(2)

 *[ウェブ進化論]オープン・フードの街。

昨日、サービスや小売業の零細店がいよいよ「データ(共有)企業」を標榜するようになるという話を書いていたら、

大事なことを忘れていた。お店のソフト(商品)の共有化のこと。

居酒屋ならば仕入れとメニューだ。

今でも仲のよいお店同士ではレシピの交換などをしているけれど。

もっともっとオープンなやつ。

和洋中、それこそすごい数の小さなお店があるから、いっそすべてを共有する。 

気が向けば共同で仕入れをしてもいいだろう。

人気メニューは垣根を取り払って、みんなで共有するのもいい。

もつ焼き屋さんに美味しい餃子があってもいい。

現に締めのカレーが人気の和食屋なんてのもある。

 

でそうすることで何がいいって「街全体」のレベルがアップすることだ。

それぞれの店の看板メニューがあり、街の人気商品もあり、予約状況も分かれば自分なら「その街」に通うだろう。今でも人気の街というのは「いいお店が集まる雰囲気」があるが、それを科学的に進めていけば「これからの町おこし」の策としては有望ではないだろうか。

逆に「賃料を取るために大手チェーンしか入れない」なんて街は急速に魅力をなくすに違いない。

地元のシャッター商店街に一度相談してみようと思います。

総・テクノロジー企業化(1)

*[ウェブ進化論]大波近し。
日経産業より。
色んなところにセンサーやAIが使われて、ゲームから二足歩行ロボとか、それこそ雨後の筍のように開発が盛んになったのが昨年の特徴だったように思う。
閾値を超えつつある」状態だろう。
そうするとその影響はより大きくなって「産業の根幹」に影響してくるらしい。
それはそうだ。
記事の中はIT横文字のオンパレードだが、肝心なのは「従来型産業企業は、どの程度まで実際のテクノロジー企業へと進化する必要があるか。」なんて厳(いかめ)しいことを、もう中小零細企業も考えなきゃならない時代に突入していることだろう。
 
いつの間にか(少なくなったけど)街の八百屋さんも、居酒屋もスマホで在庫確認とかしているし、いずれ彼らの売上データとかが共有されだしたら、完全に「産業のテクノロジー化」の話である。
よいものを品揃えし、提供するという目的は変わらないが、技術がその下支えをかなりできるようになるだろう。
サービス業の将来は明るいのではないだろうか。
 
 
オープン型技術への移行
 
2019年10月4日 4:30
 
世界各地の企業役員室において新たな価値はクラウドコンピューティングビッグデータ人工知能(AI)などの採用から生み出されることが広く認識されている。だが、その可能性のすべてを実現するには既存のテクノロジープラットフォームから移行する必要があり、短期的な混乱や痛みが伴いかねない。

 
ジョアナ・ドレイク Current TVなどのメディア関連企業の幹部やDeNA Westの最高執行責任者を経て、コア・ベンチャーズ・グループのジェネラルパートナー。スタンフォード修士、カリフォルニア大バークレー校卒。
移行とは何を指しているだろうか。エンタープライズITは閉じられたオンプレミスの自社所有エンタープライズ・ソフトウエア・ソリューションから、ホスティングされた相互運用可能なクラウドネーティブアーキテクチャー・ソフトウエアへと移行している。
 
セールスフォース・ドットコムなどの顧客情報管理(CRM)企業は、非テクノロジー企業が最新のエンタープライズクラウド・モデルで独自のテックスタックを構築できるようにしている。セールスフォースは、主要なエンタープライズクラウド・プラットフォームへと成長している。CRMを超えて、新アプリケーション開発を通じて自社独自データから最大限のものを引き出すことを目指す顧客向けに開発者プラットフォームとして機能するまでに拡張を見た。
 
事態は急速に進展しつつある。2~3年のうちにドッカーは異なるプラットフォーム間でソフトウエア・パッケージの広範な展開を可能にする支配的なオープンソース・コンテナ・ソフトウエアになっている。
 
コンテナ化されたソフトウエアを活用するIT部門は、2016年の22%から18年は80%以上にまで拡大した(PitchBook調査)。
 
他方で、オープンソースソフトウエアは従来型産業でも全般的に普及しつつあり、。企業重役の69%が自社戦略目標にとって重要と見なしている(レッドハット、ザ・ステート・オブ・エンタープライズオープンソースレポート2019)。米クラウドフレアは9月、公開市場に力強いデビューを果たしたが、特に市場カテゴリーにおいて、19年に見られた非ハイテクインフラ企業の興奮度のやや低い新規株式公開(IPO)とは対照的に見える。
 
テックスタック・カテゴリーへのベンチャー投資の規模に一致して、私たちはより潜在力の高いIT自動化サービス開発スタートアップを目にしつつある。コア・ベンチャーズ・グループの投資先企業であるアセンドは、機械学習とAIを利用してデータパイプラインプロセスを自動化し、データサイエンティストがデータモデルに注力できるようにしている。従来型産業企業では、今でもデータサイエンティストがデータエンジニアリングにあまりに多くの時間を費やしているのは明らかだ。
 
従来型産業企業は、どの程度まで実際のテクノロジー企業へと進化する必要があるか。ビジネス戦略の中核としてデータ・クラウドコンピューティングを採用する好機は何か。読者の方々も新たなテックスタックを採用して急速な現代化を遂げておられると察する。ぜひ、そのプロセスやご苦労話をお聞きしたい。
 
日経産業新聞2019年10月1日付]

アマゾン・サイドウォーク。

*[ウェブ進化論]ネット網もアマゾン。
FTより。
さてこの本を読めばもう粗暴とか乱痴気、と言ってよいレベルにアマゾンが四方八方に手を広げていることがよくわかる。
amazon 世界最先端の戦略がわかる

amazon 世界最先端の戦略がわかる

 

 

FTの記事の中では「じっくり仕上げるアップル」と対比されているがその"やんちゃぶり"が勝利しつつありそうだ。
ECと物流を制覇したら、今度はネットワークそのものも狙っているらしい。
同社が9月の製品発表会で明らかにした新しいネットワーク技術「アマゾン・サイドウォーク」だ。これはWiFiと広帯域モバイルネットワークのギャップを埋める技術で、(後略)
AIスピーカーと家電を組み合わせ、家中の家電を丸ごとネットワークする。
その中心にアマゾンがいるという話。
壮大すぎる計画だが、もはやこれを冗談だと思う人はいないだろう。
 
さらには
どんな機器でもアレクサを搭載しやすくするチップセットを第三者メーカーに販売する戦略だという。
 
まさに「底辺から頂上まで」を本気で制覇する計画は野望と呼ぶにふさわしい。
さて自分たちはその野望を、まるで景色のように眺めているだけにはしたくないものだ。
 

「アレクサ」外販に込められた野望

アマゾンがもう一つ力を入れているのが、どんな機器でもアレクサを搭載しやすくするチップセットを第三者メーカーに販売する戦略だ。
 
[FT]アマゾンがIoTで狙う覇権
 
2019年10月3日 23:00
 

Financial Times

どんな些細(ささい)な会話も聞き漏らさないスマートデバイスに囲まれて、常に監視されているような生活を想像してみてほしい。そんな未来はおぞましいと思うかもしれない。だが、これこそが米アマゾン・ドット・コムが描く未来だ。そしてその未来は、読者が想像している以上に早く到来しつつある。
 
大手テック各社は今、次々に様々なガジェット(目新しい電子機器)を発売している。機器を売ることで、自社のデジタルサービスの契約につなげようというのがハイテク各社共通の戦略だ。

 
アマゾンは9月25日恒例の新製品発表会でAI搭載の機器を多く発表、そこにはIoTの中心的存在になる戦略がある=AP
フェイスブックは9月18日に開いた製品発表会でビデオチャットができる機器、スマートスクリーン「Portal」の第2世代の機種を発表した。米グーグルは近く、クリスマス商戦に向けて複数の個人用ガジェットを発売する。そのすべてはグーグルが提供するサービスを受けるためのプラットフォームになっている。
 
米アップルでさえ、自社が提供するサービスの受け皿としてのガジェットの投入に力を入れている。同社が提供するニュースや音楽、動画、ゲームなどのサービスにもっと多くの消費者を取り込もうと、9月に発表した新型iPhoneの主力機種では、価格の引き下げに踏み切った。
 

アップルとは対極の低価格戦略を展開

しかし、いずれの企業が抱く野心も、その大きさではアマゾンにかなわない。アマゾンは1年前、驚くほど多くの消費者向けデバイスを一気に発表した。同社が投入した初の電子レンジを含め、そのすべてにはアマゾンの人工知能(AI)「アレクサ」が搭載されている。
 
さらに今年9月25日に開いた毎年恒例の製品発表会では、タップすると内蔵されたアレクサと会話できる指輪型デバイス「エコーループ」や、同じくアレクサを搭載した眼鏡「エコーフレーム」など、目新しい新商品を低価格で発売することを明らかにした。
 
多種多様なハードウエアの開発になりふり構わず突き進むアマゾンのこの姿勢は、アップルとは対極にある。アップルといえば、職人技とこだわりによる徹底した開発を秘密裏に進め、完璧な製品に仕上がると、それにふさわしい高価格で発売する。これに対しアマゾンは、猛スピードで片っ端から製品開発を進め、完璧にならなくてもそれらを圧倒的競争力を持つ価格で市場に投入し、勝ち抜いていくという戦略だ。
 

スマホ市場での失敗を取り返すのが狙い

アマゾンがこれだけの競争力を持つに至ったのは、同社がEC(電子商取引)という土俵だけで戦ってきたわけではないからだ。そのことは、この9月の製品発表会で様々な新分野への進出を明らかにしたことで明白になった。いろんな分野に進出する目的は一つだ。従来では考えられないほど多くの新しい電子機器が登場してくる中、その中心にアマゾンが提供するサービスを据えることだ。
 
スマホ市場への参入に失敗した同社は、その失敗を取り返そうとしているのだ。
 
アマゾンが新しく進めている戦術の一つが、アップルの得意分野を攻めることだ。9月に発表した新製品のうち、アマゾンが初めて出すワイヤレスイヤホン「エコーバズ」には米オーディオメーカーのボーズのノイズ除去機能を搭載、高性能スピーカー「エコースタジオ」にはドルビーの「3Dサウンド」を搭載した。だが、価格はアップルの製品に比べはるかに安い。アマゾンが世界最強の買い物サイトも展開していることを考えると、同社はアップルの手ごわい競合になるということだ。
 

ハード分野でグーグルが中途半端な理由

同じくハードの強化を進めるグーグルとも比べてみよう。検索エンジンとしてスタートした同社はハードの分野に進出して4年目になるが、高品質高価格市場と量産品市場を前にどっちつかずの状態に陥っている。スマホ搭載のカメラなど素晴らしい技術を複数持っているのに、多数の熱烈なファンを一気にひきつけるような独自性のある製品を出せていない。一方、ネット上のサービスでは数十億人にも上るユーザーを抱える企業でありながら、その大量の消費者をつかむような大胆な価格も提示できていない。
 
アマゾンの新戦術の2つ目の特徴は、見えにくいが長期的には重要な意味を持つ。それは、自社で様々なスマート機器を生み出していくだけでなく、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」の時代の到来に備え、アマゾンのサービスがその中心にくるよう、その土台作りを進めていくというものだ。
 
これを可能にする一つの要素が、同社が9月の製品発表会で明らかにした新しいネットワーク技術「アマゾン・サイドウォーク」だ。これはWiFiと広帯域モバイルネットワークのギャップを埋める技術で、家庭用のネットワークを広げ、今の制限が多い従来のネットワークではカバーしきれない様々なスマートデバイスをすべて接続できるようにするものだ。
 
もし十分な数の顧客がこのサービスを契約してくれれば、個々のネットワークが重なり合いながら大きな通信網を形成することになる。そうするとこの通信網によって、アマゾンが今後提供していく次世代の様々なスマートデバイスやサービスの利用が可能になっていくというわけだ。
 

「アレクサ」外販に込められた野望

アマゾンがもう一つ力を入れているのが、どんな機器でもアレクサを搭載しやすくするチップセットを第三者メーカーに販売する戦略だ。「アレクサ入ってる」というキャッチコピーで1年前から外販を始めたが、そのチップセットはここへきてさらに性能を高めている。最新版は調理機能まで備えており、このことは将来、今よりはるかに高レベルのAIを搭載していけば、毎日のこまごまとした仕事は簡単にこなしてもらえる日が来ることを示唆している。
 
9月の製品発表会の前日、アマゾンはアレクサをもっと普及させるための計画も発表した。この計画には既に29社が参加しており、一つのデバイスでも複数のAIアシスタントを搭載可能で、異なる「ウェイクワード」で呼びかければそれぞれを使い分けられる、というものだ。ただ、興味深いことにグーグルとアップルは現時点ではこの計画には加わっていない。
 
アマゾンによるこれらの取り組みは、IoTの時代が到来した際は、すべての中心に同社のサービスがあるという状況にするための布石だ。アマゾンのハードを買うか否かにかかわらず、同社の壮大な野望にのみ込まれることはもはや避けられないのかもしれない。
 
By Richard Waters

生き残る遺伝子

*[ウェブ進化論]家具屋の逆襲。
FTより。
イケア(って家具世界最大手だったんですね)が過去最大の投資をしているという。
スマートホーム分野でトップを目指すと。
確かにこれからは「電化製品でないもの(センサー)」もネットに取り込まれるだろう。椅子とかベッドとかトイレとか浴槽とか。
 
それにしてもイケアが過去に色々と工夫をして、長い繁栄をしてきたという話には驚いた。
失敗もあったというが、このスウェーデンの世界企業には「生き残るための遺伝子」を感じる。
「イケアだけでやるべきではない。我々は異種混合のアプローチを好む。それでこそパーソナルで質の高い製品ができる。スマートホーム分野には、ニッチなプレーヤーも含め、数多くのプレーヤーが必要だ」
予め独占を謳わないあたりも新鮮だ。
 
[FT]イケアがスマートホーム機器に注力
 
2019年10月3日 17:14
 

Financial Times

家具世界最大手のイケア(スウェーデン)がスマートホーム分野でもトップ企業の仲間入りを目指している。同分野に過去20年で最大の投資を行い、米国のグーグルやアマゾン・ドット・コムといったシリコンバレーの巨大企業に対抗する構えだ。

 
イケアはスマートホーム分野でトップ企業の仲間入りを目指している=ロイター
「イケア」ブランドを所有するインター・イケアのトルビョーン・ルーフ最高経営責任者(CEO)はフィナンシャル・タイムズ(FT)紙の取材に対し、スピーカー、ブラインド、電球といった次々に投入される同社の商品に、新たに空気清浄機などを追加することを検討していると答えた。
 
「我々が参入すべき非常に興味深い分野だと考えている。よりシンプルな商品を手ごろな価格で提供したい」とルーフ氏は話す。さらに「イケアはスマートホームの分野をリードする役割を担えるのではないか」と述べた。
 
イケアはインターネット販売の促進や組み立てなどのサービス充実のほか、実験的な中心市街地への小規模店舗の出店も行っており、76年前の創業以来、最大の変革のさなかにある。現在はオランダに本拠を置くイケアグループは、電子商取引(EC)が急拡大する一方でショッピングモールや多数の実店舗の集客数が減少するなか、こうした小売業界の劇的な環境変化に対応しようとしている。
 
イケアによると、同社が現在行っている投資は、1997年に子供向けの商品群を展開し始めて以来最大という。スマートホームへの進出は2年前で、アプリで操作可能なスマート電球の投入から始まった。同社は財務状況の詳細を明らかにしていない。
 
シリコンバレーとは違うアプローチ」
 
同社は今夏、米音響機器メーカーのソノスと共同開発したスマートスピーカーを発売した。商品の一つは電気スタンドと一体になっている。新発売のスマートブラインドとともに、いずれも同じアプリを使って連携させることができる。
 
イケアはこれらを「ホームスマート」部門と呼ぶ。同部門を統括するビョーン・ブロック氏は、イケアはこれまでスマートホーム分野を支配してきたシリコンバレー企業やスタートアップ企業とは違うアプローチを取るつもりだと話す。
 
「我々にとってはホームが先だ。テクノロジー企業のなかにはスマート技術から始まったところもあるが、我々はホームから始まった企業だ」とブロック氏はFTに語った。
 
イケアはスウェーデン南部エルムフルトの主要拠点にソフトウエアエンジニアを集める一方、米国やアジアで開発拠点を立ち上げることも検討しているとブロック氏は話す。
 
同氏はまた、イケアはスマート機器の商品数を大幅に増やすことを検討していると説明したが、詳細は明らかにしなかった。同氏はイケアが取り組むべき世界的に重要な課題として、水不足や大気汚染を挙げた。
 
イケアはかつて、発売しようとしたテレビが厳しく批評されたことがある。ブロック氏は、イケアはこうした過去の失敗から学び、音楽のように新しい分野に進出する際には、ソノスのような顧客に信頼される名のある企業と組むようにしたと話す。
 
同氏は、テクノロジー企業は単なる「競争相手ではなく、協力相手にもなりうる」と強調する。ただし一緒になって「おもちゃ」を作るのではなく、問題を解決する製品を作るべきだとも語った。
 
「イケアだけでやるべきではない。我々は異種混合のアプローチを好む。それでこそパーソナルで質の高い製品ができる。スマートホーム分野には、ニッチなプレーヤーも含め、数多くのプレーヤーが必要だ」
 
By Richard Milne
 
(2019年10月2日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/
 

健康とネット

*[ウェブ進化論]健康を楽しく。
日経MJより。
もうネットに繋がないものを探す方が難しい世の中になりそうな。
フィットネス機器とネットをつなぐ。
そしてスマホでいろいろと確認する。
そのくらいなら思いつく。
 
けど機械の上で走りながら映画を見るとか。
走りながら(ディスプレイの)コーチからアドバイスや励ましを受けるとか。
会員同士でコミュニティを作るとか。
そしてそれらにはサブスクで課金と。
実に美しいビジネスモデルに頷くしかない。
 
これ、病院とかでも使えますよ。
医者とのコミュニケーション。
病人どうし。
もちろん時間つぶし。
 
結構「健康のためにしている何か」の時間は穴場なのではないだろうか。
今ある家電や雑貨も全部ネットとつなぐ社会になるのでしょう。
まだまだ細かくやれることはありそうだ。
 
フィットネスクラブ、機器販売×番組サブスクで稼ぐ 
 
  2019年10月3日 4:30
 

20万円以上するハードウエアを売りさばき、さらにサブスクリプション(継続課金)で映像や音楽を提供――。こんなビジネスで急成長中と言われて、どんな企業を思い描くだろうか。音楽ならスポティファイ、映像ならネットフリックスだろうか。アップルやアマゾン・ドット・コムのようにハードもソフトもそして映像や音楽もという巨大IT(情報技術)企業か、とアタマをひねりそうだ。

 
    ペロトンは機器の販売にフィットネス番組というサブスクリプションサービスを組み合わせた 
その答えは、つい先日、米国ナスダック市場に上場したばかりのペロトンだ。フィットネスと健康をテーマに、独自のビジネスモデルを確立して話題を呼ぶ新興企業だ。「フィットネス界のアップル」という声まである。
 
ユニークさのポイントは、目論見書で自社を「フィットネス、テクノロジーそしてメディアを結びつけた」と胸をはる点にある。単体の自転車型トレーニングマシンを最初に発売してから間もなく、ワークアウトの結果や分析を記録するスマートフォンアプリを開発。ネット接続型のバイクやトレッドミルを発売し、さらに6千とも言われるワークアウト番組もそろえる。
 
健康をテーマにしたメディアという特徴も持つ。ジムや家庭に設置できる機器を販売し、付随した大型のディスプレーが人気インストラクターによるフィットネス番組をネット経由で流す。番組を無制限に見ながらワークアウトをするには、ネットフリックスやHuluなどのように月額課金が求められる。
 
番組は、単に見るだけではない双方向性を盛り込んでいる。バイクやトレッドミルがユーザーの運動量や状態を検知して画面に表示するのはもちろん、それに沿って番組の中のインストラクターが声をかけてくれ飽きさせない。
 
好みの番組とインストラクターを選んで自分のペースで運動できるのに加え、同時に接続している他のユーザーと運動量を競えるライブ番組も用意している。まさにパーソナルインストラクターを指名していつでもワークアウトできる高級ジムがバーチャルに実現するというわけだ。

 
    ふじむら・あつお 法政大経卒。アスキー系雑誌の編集長、外資系IT(情報技術)企業のマーケティング責任者を経て2000年にネットベンチャーを創業、その後の合併でアイティメディア会長。13年からスマートニュース執行役員。18年7月からフェロー。東京都出身。 
ユーザーは140万人に達し、継続率は95%を誇る。つらくさぼりたくもなるフィットネスだが、ネット経由ながらトレーナーやメンバー間のつながり、映像や演出の楽しさによって運動をやめさせないのが強みだ。
 
ビジネス面から見ると、単体売り切りの高額なフィットネス機器と、それを通じた継続課金(月額約4千円)が主力商品となる。さらにユーザーとインストラクター、あるいはユーザー間のコミュニティービジネスへと成長する兆しも見せる。人気ユーチューバーのようなインストラクターも現れるかもしれない。
 
何よりも興味深いのは、ペロトンがメディアとしてのビジネスの成長を強く意識していることだ。ジムや家庭で使うフィットネス機器は、その入り口というわけだ。
 
一方で、人気インストラクターが主役の番組で流している楽曲の著作権使用料をめぐって、業界団体がすでに訴訟の動きを見せている。この点でもユーチューブなどと同様、現代のメディアとしての可能性と課題を早くも示しているともいえる。
 
  [日経MJ2019年9月30日付] 

技術の津波の中で

*[ウェブ進化論]得ると失うもの。
個人情報保護について。日経より。
EUはデータの域外移転を原則認めず(一般データ保護規則・GDPR、18年施行)、一方米国は個人情報保護法を持たないという。

 GPSとか声とか顔とか履歴とか。

どんどんと日増しにデーターが増えていく中で、法律や規制は完全に出遅れた。
無理もないと思う。
アナログの分野でも、特にビジネスとか環境の話題なんかは、規制が後手後手に回ってきた。
それがデジタルの「爆発的なレバレッジ」に追いつけないのは仕方もないと思う。
それはともかく。
 
これからどうなるか。
自分にはどうも、家中、街中、世界中に広がる「センサー社会」の進む中で、いろんな会社や団体が「厳格に個人情報を管理している姿」が目に浮かばない。
個人が便利を手にすれば、自分の何かが犠牲になるのは自然の摂理だと思う。
これまでも自分たちは自動車とか、半導体とか、ネットワークを必ずしも平和利用だけしてきたわけではない。
原発だってまだ賛否がある。
けれど人は開発を止めない生き物なのだ。
そのための犠牲は、実はあらかじめ覚悟して参加する必要があるのではないだろうか。
 
 
データの円滑な越境、日本が主導 個人情報保護法 
 
  2019年10月3日 2:00
 
政府は2020年の通常国会個人情報保護法の改正案を出す方針だ。グローバル化とデジタル化が加速するなかで、個人情報の保護に関する民間企業の責任は一段と重みを増している。信頼に足る国にデータを安全かつ円滑に移転できるようにするのも世界的な課題だ。ニュース解説イベント「日経緊急解説Live!」を9月26日に開催し、政府の個人情報保護委員会の其田真理事務局長と最新動向について話し合った。

 
    個人情報保護委員会の其田真理事務局長 
其田氏はイベントに登壇し、委員会の取り組みを披露。委員会が現在かかえる政策課題として、「信頼が確保された国際的なデータ流通実現への取り組み」「保護法の付則12条にもとづく3年ごとの法見直しへ向けた作業」などを挙げた。
 
安倍晋三首相はことし1月にスイスで開いた世界経済フォーラムダボス会議)で「Data Free Flow with Trust」(信頼ある自由なデータ流通)という考え方を提唱した。データが安全に保護されることを前提にしつつ、国境を自由に越えられるようにしようという呼びかけだ。
 
個人情報保護のあり方について欧州連合EU)と米国は対照的な哲学を持っている。EUはデータの域外移転を原則認めない一般データ保護規則(GDPR、18年施行)に象徴されるように、公的な規制を重視している。一方、米国は連邦法としての個人情報保護法を持たず、自己規律を尊重する。
 

3極対話で欧米を取り持つ

この点に関しては欧米間にはイデオロギーの違いがあるといっていい。日本政府としてその間を取りもつべく、其田氏は「3極対話を提案し、協議に入っている」と語り、いわゆる西側陣営として制度の調和を推し進める考えを示した。
 
ただ世界にはデータの保護と活用についてまったく異質の哲学を持つ国がある。代表は中国だ。国内に置くことを義務づけた個人データを共産党指導部がいつでも入手でき、監視の目を光らせる体制を築いてきた。このやり方に対して「個人の権利を制限するだけでなく、経済成長にもマイナスの影響がおよぶ」いう意見では日米欧も一致している。
 
中国のようなやり方が拡散するのをどう防ぐのか。其田氏は経済協力開発機構OECD)加盟国が共有するプライバシー・ガイドラインを挙げて「国家が個人データを全面的に管理することはやめるよう議論を巻き起こしてゆきたい」と話した。
 
3年ごとに実施すると付則に定められた個人情報保護法の改正は、事務局の改正案づくりがこれから佳境に入る。委員会は4月に中間整理を公表し、検討項目として6本の柱を明らかにしている。
 

このうち個人の権利のあり方については、事務局が設けた相談ダイヤルに寄せられる消費者からの相談や問い合わせの多くが「個人情報を消してほしいという要望に企業が対応してくれない」という類いのものだという。委員会として企業側のコストが過重にならないようにしながらも、消費者の不満をやわらげるにはどんなやり方があるかを探る考えだ。
 
編集委員 大林尚)

スマート営業

*[ウェブ進化論]見えてきた先。
日経産業より。
いよいよ営業にも来ましたね。
セールスフォースの次。
おきまりのAI判定つきだ。
営業は人の最後の砦、と言われてはいるが、それもいつまでのことだろうか。
自分も営業出身だが「今日はあの件で」という以外にあまり考えたことはなかった。
だからいくらでも改善するところがあるなぁと実感する。
しかし各社のサービスはあくまで道具にすぎず、最後は営業担当者の資質が決め手になることは変わらない。

 自分の会話の内容を採点したり、顧客の笑いを計測したり。

今はまだ"対面"を超えるものではなさそうだが、逆にそれが恐ろしい。
じっくりノウハウがたまったら、この分野でも一気に「人超え」が起きるのではないだろうか。
 
「スゴ腕営業」の技をシェア スタートアップが支援 
 
  2019年10月3日 2:00
 

営業担当者が電話で根気よくアポイントを取り、足しげく訪問して取引を拡大する。そんな「根性営業」の現場をスタートアップ企業の「セールスサポートテック」が変えようとしている。これまで多くの企業は個人の力量に頼って営業成績を伸ばしてきたが、人手不足で状況は厳しい。ある営業マンの日常から、スタートアップが支援するスマートな現場を見てみよう。
 

 僕の名前は営業駆(えいぎょう・かける)。電子部品メーカーに入社して10年目で、仕事は営業一筋だ。うちの会社は大きくはないが、技術力には自信がある。頑張って我が社の製品を、多くのお客様に売り込むぞ。
 今日は新規顧客を開拓しよう。事前に調べておいた電機メーカーに片っ端から電話をかけて、調達部門に回してもらう。以前は電話でのアポ取りが苦手だったけど「お手本」ができてからは成功率が上がった気がするなあ。よし、また1件アポを取れた。この調子だ。

電話のやり取りをAIが採点

音声解析スタートアップのレブコム(東京・渋谷)は人工知能(AI)が営業電話の内容を分析するサービス「ミーテル」を提供している。今年5月から、様々な観点で「良いところ」と「悪い点」を解析してスコアを付けるサービスも始めた。顧客の話にしっかり耳を傾け、反応できれば得点。話している途中で割り込んでしまうと失点など、採点項目は幅広い。
 
スコアが出ることで社内の「高得点者」を簡単に割り出し、お手本を作れるようになった。電話をかける回数や話すスピードなどの職人技を社内で共有できる。電話を切った直後に自分の会話を聞き直し、改善点を見つけられる機能もある。
 
ミーテルの利用価格は1アカウントあたり月額税別で5980円。100人が利用しても約60万円で済む。レブコムの会田武史代表取締役は「ブラウザーでサービスを提供するSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)方式なので、この価格で提供できる。特定企業の専用システムを開発すれば数千万円は必要だろう」と話す。
 
 明日からの訪問予定は決まったから、今日はお得意様への顔つなぎに時間を使おう。以前は「近くまで来ましたもので……」なんて言いながら訪問したそうだけど、それって非効率だったんじゃないかなあ。さてパソコンに向かって、と。
 自席のパソコンに向かいながら、取引先に電話をかける。「ああ、大口商事の麦芽井部長。いつもお世話になっております。うちの製品にご不満など、ございませんか」。これから先方のパソコン画面に僕の顔が映るぞ。笑顔、笑顔で……。

「顧客が笑うほど営業の成功確率は高い」

ウェブ会議システムスタートアップのベルフェイス(東京・中央)はオフィスにいながらパソコン画面越しに取引先の顔を見ながら話せる営業SaaSを提供している。「顧客が笑った回数が多いほど、営業は成功しやすくなるとわかっている。営業の現場を可視化して、効率を高められる」中島一明社長はサービスの特徴を、こう話す。
 
営業担当者はまず顧客に電話をかけ、ベルフェイスのホームページに指定の番号を入力するように求める。顧客が応じると営業担当者の顔がパソコンに表示される。顧客も顔を映すことに同意すれば、互いに顔を見ながら話せる仕組みだ。
 
年内には専用通話アプリを通じ、顧客の表情や笑い声なども記録できるようにする予定。社名をはじめとする固有名詞や業界用語もAIが解析し、テキストデータで残せる。営業担当者と顧客しか知らない「ブラックボックス」だった営業トークを社内で共有する取り組みだ。「顧客がどんな言葉に喜び、どんな物言いで機嫌が悪くなったのか正確に分析できる。営業効率は必ず上がる」と中島社長は強調する。
 
いま営業SaaSが注目を集める背景にはサブスクリプション(定額利用)の広がりもある。自動車業界でいえば従来は300万円の乗用車を売るため月給30万円の営業担当者が顧客を何度も訪問していたが、月額利用料が数万円の利用契約を取るために訪問を繰り返しては割に合わない。営業の生産性向上は多くの業界に共通の課題だ。
 
 きょうは社用車を運転して得意先を回ろう。どんな順番で行けばいいのかな。地図が示す通りに訪問すればいいんだから、便利になったよ。
 

データに基づいて訪問の順番決定

営業管理ツールスタートアップのアップワード(東京・中央)は米セールスフォース・ドット・コムの顧客管理システムと情報を連携し、どの顧客を優先的に訪問すべきかアプリの地図に表示するサービスを提供している。基となるデータは過去の訪問回数や案件の内容、所要時間などだ。
 
アップワードの金木竜介社長は「営業のIT活用が進んだ現在でも、直接接触の効果は無視できない」と語る。地図に現れる優先顧客との関係を深めることが、事業拡大への「近道」となる。
 
サービスを導入した業務用大型プリンター製造のローランドディージーでは「訪問先の決定にかかる時間が6分の1に減った」という。これにより、18年度の訪問実績は前年度の3倍強にまで増えた。
 
セールスサポートテックはAIなどを駆使して営業活動を後押しする。しかし各社のサービスはあくまで道具にすぎず、最後は営業担当者の資質が決め手になることは変わらない。むしろ現場がスマートになればなるほど、資質の差は鮮明になる。サービスを利用する各社はテック活用と並行して、人材教育にも力を入れていく必要がある。
 
(企業報道部 矢野摂士)
 
  [日経産業新聞 2019年10月2日付] 

ニッチキング

 
*[ウェブ進化論]商機はこれから。
日経MJより。
ニッチ市場というのは以前から注目されていたが、それがウェブ全盛の時代になって却ってチャンスが増えているような気がする。
営業利益率が30%を超えるという三つの企業はどれも「あっ」と驚くような仕組みではないけれど、「リース切れで長距離の中古車の値付け」とか「複数の予約サイトの情報整理」とか「適性テストのクラウド化」とか実に隙間だ。

 こういう記事を見ていると、実はこれからが「なんでもwebの時代」だからいくらでも事業のチャンスはあるのに違いないと思う。

そういうチャンスを生かして起業してみるのもよし。
目の前に見えるチャンスよりも、もっと大きな流れにチャレンジしてみるのもよし。
 
ユーザー目線で欲しいものを考えてみれば、むしろこれからの方が商機は多いのに違いない。
若い人はぜひそんな目で時代を見てもらいたいと思うのです。
 
 
高収益な新興企業「ニッチキング」、3つの秘密

NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞

営業利益が30%以上の高収益企業は、ジャスダック東証マザーズなど新興市場にも15社ある(9月13日現在)。IT(情報技術)系の企業が多いが、製造業も含まれている。今回は新興市場から独自の事業モデルで成長する3つの企業の高収益の秘密に迫る。
 

リースバック車のオークション主催

 
システム・ロケーションの千村岳彦社長
ジャスダック上場のシステム・ロケーションは自動車の車種データベースや中古車の価値をビッグデータを基に算定するサービスを手掛ける。19年3月期の売上高は9億3000万円、営業利益は3億1500万円。売上高に対する営業利益率は33.9%と高い。
 
日本IBM出身の千村岳彦社長が92年に設立、リースを終えた中古車は走行距離が長く、国内では売れなかったが海外からは引き合いがあった。千村社長はそこに目を付け、入札会と呼ぶオークションを始めた。
 
売り手からは出品料、買い手からは固定の落札料を得る仕組みだが、利益の源泉は実はオークションから得た売買データの活用にある。千村社長が中古車のオークションを始めた当時は、自動車の車種などオークションのデータが整備されていなかった。
 

データ蓄積、残価算定の仕組み編み出す

 
手間いらずの渡辺哲男社長
宿泊施設向けのシステムを手掛ける手間いらずは、上場企業全体でも2位につける高収益企業だ。19年6月期の売上高13億5800万円に対し営業利益は8億8300万円。売上高に対する営業利益率は65.0%だ。
 
同社は現社長の渡辺哲男氏が03年に起業した比較・comが前身だ。同名の比較サイトを運営し業績を伸ばし、06年6月期は営業利益率46%に達した。同年、東証マザーズに上場した。
 
だが、その後の業績は芳しくなかった。カカクコムなどとの競合環境が厳しいことや金融商品の比較サービスが低調だったことなどが要因だ。旅行サイトの運営も始めるが「既に競合が多く、時期が遅かった」(渡辺社長)。07年から3期連続の営業赤字に陥った。旅行サイトからは撤退し、代わりに強化したのが宿泊施設向けのサービス「TEMAIRAZU(手間いらず)」だ。
 
ホテルなどが複数の予約サイトに登録して空き室の予約を受け付ける場合、どのサイトで何部屋の予約が入っているかの確認は宿泊施設がする必要があった。この煩わしさを解消したのが手間いらずのシステムだ。国内外50以上のサイトと連携し、予約状況が自動的に更新される。料金の変更なども宿泊施設の担当者が一括でできる。
 
サイトコントローラーと呼ぶこのシステムを開発したプラスアルファを07年に買収。10年からはクラウド型の提供を始め、営業チームを編成し本格的に販売を始めた。
 
旅行サイトが乱立し管理がより複雑になったことに加え、訪日外国人の増加でネット予約が飛躍的に増えたこと、20年の東京五輪の開催に伴うホテルの建設ラッシュなどが追い風となり、現在は4000の宿泊施設が導入している。15年6月期から営業利益率が急速に回復し、19年6月期には65%を超えた。
 
楽天リクルートグループも同様のサービスを展開する。市場は広がっているが、今後も導入社数を確実に増やす戦略が欠かせない。
 

就活生向け適性テスト販売

 
長期間安定して高い利益率を保持しているのがジャスダック上場で就活生向けの適性テストなどを手掛ける日本エス・エイチ・エルだ。
 
18年9月期の売上高は27億円、営業利益は11億6100万円で売上高に対する営業利益率は42.9%。同社は10年9月期から9期連続で40%を超えている。19年9月期も41.8%を見込む。
 
同社は1987年の設立。英SHLグループが開発した適性テストの日本語版の開発、販売の権利を得たのがスタートだ。新卒の採用時に活用される総合適性テスト「GAB(ギャブ)」は言語と計数能力の測定、性格を診断する。
 
GABはリクルートマネジメントソリューションズ(東京・品川)が提供している「SPI」ともに就活生の適性試験で多くの企業が採用している。取引社数は約7000社、年間7~8%のペースで増え続けている。企業の採用意欲が活発で、適性テストを活用する企業が増えているのが要因だ。
 

紙からウェブに切り替え、利益率向上

紙からウェブへの切り替えが利益率を押し上げる。就活生がエス・エイチ・エルの適性テストの受験を複数の会社から求められると、同社が就活生の承諾を得て会社にテスト結果を提供する。1人の学生のテスト結果を複数社に提供すれば売り上げが増える仕組みだ。テストの導入企業が増えれば受験者数が減っても売り上げを伸ばせる。
 
3社に共通するのは独自のシステムを構築しニッチな市場で高いシェアを持っていること。新興市場の高収益企業の秘密は、そのあたりにありそうだ。
 
(企業報道部 宇賀神宰司)

クラウド保険。

*[ウェブ進化論]再びロイズ。
FTより。
世界最大の保険組合であるロイズの将来について。
海運の船荷を無限責任で引き受けていたという発祥だが、まだ体質はそのまま残っているらしい。

ロイズでは個々のアンダーライターが直接保険取引を行うのではなく、シンジケートと呼ばれる会社を通じて保険を引き受ける。(wikiより)

などといろいろとその仕組みは複雑らしいけれど、こうしたものこそ「クラウド化」してはどうだろうか。
 
記事では「ハイテク化で再建をめざす」と書かれているが、個人が自分のリスクで保険を引き受けて「お金を供託」し、損失が起こらなければ保険料をもらう。という仕組みは十分実現可能である。
査定とか保険レートとかは既存の保険会社のものを利用していけばいいだろう。
自分の負える財産の中で「一人保険引き受け」を解禁すれば、怪しいFXや仮想通貨に手を出すよりよほど納得感があると思う。

 とここまで書いてそれって「そもそものロイズそのもの」だということに気づいた。

最初の発想をクラウド化するだけだが、シンプルで良いのではないだろうか。
 
でもまた「それ」を細かく証券化する人たちが出てきたりして、どんどん目に見えないものにはなっていくのでしょうが…
 
 
 
  [FT・Lex]英ロイズ保険組合、ハイテク化で再建めざす 

世界最大の保険組織である英ロイズ保険組合。楽観的な名称をつけた救済計画を打ち出してはそれを中断してきたのが最近の歴史だ。保険市場が破綻の瀬戸際にあった1990年代半ばには「再建と再生」戦略が作成された。9月30日に発表された最新の「ブループリント・ワン」は過去2年間の巨額損失の挽回を目指しているが、これもまた明るい将来を約束する最後のPDFファイルにはなりそうにない。

 
    ロンドンのシティーにあるロイズ保険組合で働く人々=ロイター 

まん延するセクハラ撲滅が最優先

ロイズは300年以上にわたって世界の競争相手を寄せつけなかった。会員に金融取引の場を提供する市場の最後の生き残りのひとつであり、他では購入できない専門的な保険を提供してきた。そうした長い伝統が最近では重荷に見えるようになっている。
 
銀行や企業経営の進化発展とは無縁できたロイズ。それはさながら粗野でバンカラな昔ながらの男子校文化を保つロンドンの金融街、シティーの最後の砦だ。調査でセクハラがまん延していることまで発覚している。それを終わらせることが昨年10月に最高経営責任者(CEO)に就任したジョン・ニール氏の最優先課題で、ブループリント・ワンにもこれが優先順位第1位と明記されている。
 
同計画が焦点を合わせる第2の優先事項はブローカー(保険契約仲介業者)とアンダーライター(保険引受業者)が持つ既得権、高コストの改善だ。2017年と18年で計30億ポンド(約3960億円)に及んだ損失は大規模な自然災害があったことと保険引き受けが弱かったことに起因する。こうしたことで市場にもともとあった非効率性は覆い隠されてしまった。
 
90年代以降、機関投資家の資金がそれまでの伝統だった無限責任を負う個人である「ネーム」の資金にとって代わるようになった。しかし、保険の販売手法は複雑なままだ。保険料収入に対する事業費率は約40%で、スイスのチューリッヒ保険など競合他社より10ポイントも高い。
 

高コスト改善、ハイテク化を求める

ニール氏はロイズをハイテクを駆使したオープンソースの保険プラットフォームに変身させる計画だ。そうなれば事業費率は約30%に抑えられるだろうし、安価なシステムを活用して事業を単純化すれば3年以内にさらに5ポイント引き下げられる可能性も出てくるだろう。
 
夢のような話といえばその通りかもしれない。ロイズの保険の約半分は標準的保険商品のため、取引の自動化は簡単なはずだ。しかし、ロイズの強みは専門的な保険の引受業務にあり、それには人と人が直接顔を合わせるやりとりが必要でコストは高くなる。
 
そうではあるが、ロイズに加盟する保険会社の中には成功を収めているところもある。それは市場全体の強化も可能であることを示唆している。世界金融危機以降、そうした保険会社で上場しているビーズリーランカシャー・ホールディングス、ヒスコックスの株価は欧州の保険会社をしのいでいる。
 
ロンドンの他の大型会員制市場はすべて過去のものになってしまった。会員が奮起しないとロイズも同じ道をたどることになる。
 
 

根本策なく

*[ウェブ進化論]平和を作れるか。
FTよりサイバー戦争への取組みについて。
 
サイバー戦争は「情報戦争の一環だと見なす」というのは大きな間違いで、ミサイルを打ち込んだりする戦争となんら変わらない。
コンピューターが今ほど人間に密着し、さらにこれからは「体の一部」にまでなるだろうことを考えると「まだ世界で法的な合意がない」などというのは愚かである。
今の「リアルな戦争についての最低限の規約程度のもの」は早急に必要で、でも先進国や独裁国は「むしろぐずぐずしている」のではないだろうか。
だってリアルでも核合意がどう、ミサイル協定がどう、とどうにも収まりそうな気配がない。
「各国が脆弱性を開示するほうがよいと主張する。(中略)

理論的には、そうすることで世界のサイバーセキュリティーは改善し、信頼性が向上する。」という理屈は実に的を射ているが、リアルワールドの様子を見る限り実現ははるかに遠そうだ。 

人類がコンピューターという(たぶん)史上最強の武器を手にして、さて本物の英知を発揮できるかどうか。
そんな"試金石の時代"ではないだろうか。
 
つまり結局は今のリアル世界の問題と、全く生き写しの話だと思う。
 
 
[FT]サイバー戦争どこまで許容? 苦慮する専門家 
 

19世紀以降、世界各国は規制と制裁によって戦争行為を形作ってきた。インターネットの到来でそれが一変した。「国家にとってはサイバー戦争のほうが物理的な戦争よりもはるかに好都合だ」と英オックスフォード大学インターネット研究所内のデジタル倫理研究所の研究員で副所長を務めるマリアロザリア・タッデオ氏は言う。従来の兵器に比べてデジタル攻撃手段は安価であり、攻撃への関与を否定するのも容易だからだ。

 
    7月、イスラエルのサイバー戦争訓練施設で訓練を受ける男性=ロイター 
過去10年間だけでも数々のサイバー攻撃が行われた、と英シンクタンク、ロイヤル・ユナイテッド・サービス・インスティテュートのアソシエイトフェロー、ユアン・ローソン氏は指摘する。2010年にイランの核施設に損害を与えたコンピューターウイルス「スタックスネット」や、ウクライナの送電網をまひさせた15年と16年のサイバー攻撃サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコに対する17年の攻撃などだ。
 
サイバー戦争は国家の安全保障と国民の生命にとり明白な脅威となる。だが現在、それを規制する法的拘束力のある国際的枠組みは存在していない。英アラン・チューリング研究所のチューリング・フェローでもあるタッデオ氏によれば、理由の一つはデジタル技術の新奇性と複雑性にある。従来の紛争との違いにも起因する。サイバー攻撃は非物理的な対象を標的とし、破壊ではなくまひさせることを狙うのが一般的であるため、「均衡性原則」といった従来の考え方を適用するのが難しい場合がある。
 

国際的合意が欠如

「許容限界が定まっておらず、何を国家の『禁止事項』とすべきかについても国際的な合意がとれていない。原発を標的にするのは合法的か? 軍事作戦を支援するのは?」
 
1990年代からこの分野を研究している英エクセター大学のマイケル・シュミット教授(国際公法)は、「当時はサイバー攻撃を非常にドラマチックなできごとだと位置付けていた」と話す。「時を経た今、少なくとも(学問的見地からすれば)、日々発生する悪意ある攻撃に最も注目すべきだったのだとわかる」

 
    イランの核施設はサイバー攻撃を受けた(15年、ブシェール原発を訪問するロウハニ大統領)=AP 
海軍大学校の教授でもあるシュミット氏によると、01年9月11日に起きたニューヨークの世界貿易センタービルへの攻撃以降、サイバー戦争は議題に上らなくなった。だが07年のエストニアに対するサイバー攻撃や、08年のロシア・ジョージア戦争でのサイバー兵器の使用をきっかけに管理を求める機運が再燃し、13年には同教授も監修に加わった「タリン・マニュアル」がまとめられた。学術的であり法的拘束力はないものの、現在の国際法に基づき政府が守る154のルールを示しており、最も綿密な検討結果の一つとなっている。
 
ローソン氏によると、マニュアルには既存の国際法がサイバー戦争にも適用できるという欧米諸国の見方が反映されている。「英国や米国のように、とりわけ効果的なデジタルスパイ能力をもつ国家にとって好都合なものだ」と同氏は言う。もう一方の側にはロシアのように、サイバー戦争をオフラインの紛争とは根本的に異なるものだと主張する国がある。「これらの国々はサイバー上の攻撃手段を、広義の情報戦争の一環だとみなす傾向がある」
 
3人の専門家が一致するのは、概念上の相違や国益の対立が政治的に組み合わさり、これまでで最も有望な取り組みを誘発したという点だ。それは国連の政府専門家会合(GGE)が17年に発表した、国際安全保障における情報と通信の発展に関する報告書である。だが大きな進展にもかかわらず、当時のGGEは最終勧告リストを国連総会に提出できなかったとタッデオ氏は指摘する。
 
シュミット教授は、その責任はロシアや中国、キューバといった国々にあるという。同教授は、既存の国際法の適用を求めることも含む勧告に反対したこうした国々には批判的だ。「真面目な将校なら、サイバー戦は(既存の)戦時国際法に縛られないとはだれも考えないだろう」
 
シュミット教授はGGEが19年に再開されるとの決定に多少の望みをつないでいるが、その場でコンセンサスが得られる可能性はますます低下している。その大きな要因は、ロシアの提案により国連内にGGEとは別の無期限の作業部会が設置されたことだ。教授は、作業部会に参加する小規模な国がロシアによる操作に影響される可能性とともに、GGEと作業部会がサイバー戦争の国際ルールに関してそれぞれ異なる結論を導きだすのではないかと懸念している。

 
    マクロン仏大統領は18年、サイバー空間の安全保障に関する宣言を打ち出した=AP 
それでもサイバー戦争と管理への関心は高まっている、とシュミット教授は指摘する。「近ごろは誰もがそのことを考えている」と言う教授が一例に挙げるのが、18年にフランスのマクロン大統領が発表した「サイバー空間の信頼性と安全性のためのパリ・コール」だ。パリ・コールは平時における悪意あるサイバー活動を非難し、デジタル技術に国際人道法が適用可能であることを改めて宣言している。
 
宣言には67の国のほか、多数の民間企業や団体が署名した。主要プレーヤーである米国やロシア、中国は署名していないものの、ローソン氏はいかなる問題解決にも対話の継続が必要だと述べる。
 
ローソン氏は、国どうしのコミュニケーションは時折すれ違うものだと考えている。「サイバー戦争に関しては、国家や組織はわざと曖昧な態度をとったり、時には少々不誠実にふるまったりすることがよくあるように思える。だが実のところ、ある程度は話がすれ違うのが人間の性(さが)なのだ」
 

脆弱性の相互開示を

同氏は、軍備管理の枠組みを構築するよりも各国が脆弱性を開示するほうがよいと主張する。これはサイバーセキュリティーの考え方を根本から転換することになる。敵対国のシステムに存在する攻撃可能な欠陥についての情報を収集して隠し持つのではなく、各国が相互に公表しあうのだ。理論的には、そうすることで世界のサイバーセキュリティーは改善し、信頼性が向上する。実現までの道程は長いように思えるが、同氏はそれ以外のやり方では効果が見込めないと確信している。「今後(サイバー戦争を)管理していくは、それが唯一合理的な方法だ」
 
By Siddharth Venkataramakrishnan
 
 

合理性と健康と

*[ウェブ進化論]健康をおまかせ、の時代。
製薬大手のノバルティスとマイクロソフトがAI創薬で提携するという。
個人ごとに治療法や薬の用量を決める「オーダーメード医療」を実現するとか。
なるほど薬の調合も「その人次第」の時代がくるかもしれない。
 
それにしてもいずれ「自分の健康管理」をAIにしてもらう日が程なくやって来そうだ。
さらにその先には「寝たきりにならない社会」が待っているかもしれない。
そうなったら人は"AI様"にお伺いを立てずには何もできなくなるだろうか。
 
へべれけに酔っ払ったり、たまには好きなだけ揚げ物を食べたりといった人間くさい行動が一切なくなって、誰もがほどほどに運動してバランスよく栄養をとる社会は、どこか不気味な気がする。
 
居酒屋につきものの、病気自慢や健康法なんかの話題が一掃されてしまうのはどこかさみしい。
 
 
  [FT]ノバルティスとマイクロソフト、AI創薬で提携 
 
  2019年10月2日 12:56
 

スイスの製薬大手ノバルティスと米マイクロソフト人工知能(AI)を活用した難治性疾病治療の創薬で提携する。製薬大手とテクノロジー大手による最も広範な提携事例になりそうだ。
 
提携期間は5年で、1年ごとに更新される。主に2つの目的があり、1つ目は資金調達から生産に至るまでノバルティスのあらゆる事業を簡便化するため、AIを活用した新システムを開発すること。2つ目はAIに近年目覚ましい進歩をもたらした機械学習を活用し、ノバルティスの新薬開発の速度と精度を向上させることだ。

 
    ナラシンハンCEOはノバルティスをデータサイエンス企業にする目標を掲げている=ロイター 
ノバルティスのバサント・ナラシンハン最高経営責任者(CEO)は、AIは個人ごとに治療法や薬の用量を決める「オーダーメード医療」の分野で特に有望で、新たな治療が最も効きそうな患者を特定しやすくなると語った。
 

ビッグデータを駆使して研究開発を加速

製薬業界は当初、デジタル技術の医療への応用にほとんど関心を示さなかったが、ここ数年で急速に認識が高まり、英グラクソ・スミスクラインや仏サノフィなど企業がビッグデータを駆使して研究開発を加速させる手法を検証している。
 
ノバルティスはいち早くその可能性に気付き、2018年2月にCEOに就任したナラシンハン氏は同社をデータサイエンス企業にする目標を掲げている。同氏によると、同社は社内の情報を3つの大規模なデータファイルに保存しており、属性の異なるため統合が難しいデータでも簡単に組み合わせて活用できる。同社では約800人のデータサイエンティストとバイオ統計学者が働いている。
 
ナラシンハン氏は今回の提携で、ノバルティスは同業他社を引き離せると期待する。「何としてもこの分野で先頭に立ちたい」と述べ、AIを研究開発や生産、資金調達、販促や調達に活用する構想を示した。さらに「当社のバリューチェーン全体にAIを活用できれば、いずれ大きな差別化につながる」と語った。
 
両社はまず、加齢黄斑変性症、細胞・遺伝子療法、創薬の3つの分野に注力する。スイスのノバルティス本社やアイルランドのダブリンにある同社のグローバルサービスセンターで共同研究を進める。英国の機械学習の権威であるクリストファー・ビショップ氏が所長を務める英ケンブリッジマイクロソフトの研究所も参加する。
 
新薬の発見から実用化までにかかる期間は平均14年、費用は最大25億ドルでここ数十年間ほとんど変わっていない。
 

新薬開発コストを確実に削減

今回の共同研究では3年以内に「目に見える効果」を示せるようにする。ナラシンハン氏は「新薬の発見・開発コストを確実に削減できるようにしたい」と語った。
 
さらに同氏は「当社の大規模な臨床・前臨床データ作成にAIを活用することで、『その薬が特によく効く』患者グループや、薬によって効き目が異なる患者グループを特定できるようになる。それが次の臨床試験(治験)にも有効利用できると考えている」と述べた。
 
その結果、一人ひとりの患者に応じた薬を開発でき、ノバルティスが「医療システムにより優れた価値を提案できるようになる」と期待を示した。
 
By Sarah Neville and Richard Waters